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『がきデカ』は、山上たつひこによる日本の漫画。主人公である日本初の少年警察官と自称するこまわり君と、彼が通う「逆向(さかむけ)小学校」の同級生やその周辺のキャラクター達で展開されるギャグ漫画作品。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて、1974年44号から1980年52号まで連載され、単行本の発行部数は3000万部を超える〔藤島宇策『戦後マンガ民俗史』(河合出版、1990年、ISBN 4879990248)222頁〕。 1989年にテレビアニメ化、ほぼ同時にOVAも作られているが、双方で制作会社と出演声優が異なる。時期や態勢の異なる再アニメ化は珍しくないが、同時に異なる会社でアニメ化されたケースは当時大変珍しかった。 2004年より続編の『中春こまわり君』(ちゅうしゅんこまわりくん)が『ビッグコミック』(小学館)でシリーズ連載中。 == 概要 == いわゆる「ドタバタもの」作品で、本格的ギャグ漫画の草分け的存在である。ギャグ漫画自体は赤塚不二夫の『天才バカボン』や『おそ松くん』など、『がきデカ』が登場する以前から数多く存在していたが、「ボケとツッコミ」の役割分担を明確にさせ、ボケ役(ここでは主にこまわり君)がボケて、ツッコミ役(ここでは西城君など)がそれにツッコむ、という形式を漫画に取り入れたのは本作が最初である。このスタイルは後に、小林よしのりの『東大一直線』や高橋留美子の『うる星やつら』など他のギャグ漫画作品に大きく影響を与えた。また臼井儀人の『クレヨンしんちゃん』などにも、本作品の影響が強くみられる。 また、『がきデカ』の面白さは、当時のギャグマンガとしては例のなかった〔ただし、米澤嘉博の『COMIC BOX』誌での指摘によれば、川崎のぼるの『いなかっぺ大将』を先駆者とみる文章がある。〕「劇画調の絵」によるところが大きい。「死刑」などのこまわり君の下品なポーズや、女性キャラ達のHなポーズのエロティシズム、頻繁に登場する動物たちの間抜けさ、などなど。それまでのギャグ漫画が「意味」で笑いを作っていたのに対し、劇画調のリアルなポーズそのものにより、面白さを伝えるのは画期的であった〔米澤嘉博『別冊太陽 少年マンガの世界II』(平凡社)142頁-143頁〕。 作者が大阪府育ちだったということもあり、ストーリー展開は正に吉本新喜劇そのものである。コケる、平気で人の頭を殴る、「ずるむけあかちんこ」、「人間のクズ」、「社会のゴミ」など暴言を吐くなどは当たり前で、時に西城までも「なんでやねん!」とツッコむなど大阪弁が随所に現われており、吉本新喜劇の影響を色濃く受けている。また、「直接的な肉体性から発する、下品さ」も吉本新喜劇と共通している。 流行語となった「死刑!」「八丈島のきょん!」「あふりか象が好き!」「慣れればおいしいくさやの干物」などの意味不明な一発ギャグでも有名である(ギャグ一覧はこまわり君の項目を参照)。また、少年誌での掲載ながら、こまわり君が自慰をしている所、尿をジュンにぶっかける所、ソープランド、お座敷ストリップなど過激な下ネタや描写、単語が頻発しており、連載当時は全国のPTAから槍玉にあがった。特にそれまでなかった、男性器をかぼちゃ、茄子、大根、バット、ヘチマ、ごぼう、きゅうりなどに「具象化」したことは特筆できる。 こまわり君が他の動物などに変身(メタモルフォーゼ)したのち、従来のギャグ漫画ならすぐ元の姿に戻っていたのだが、『がきデカ』では変身した姿のまま物語が暴走することが多い。この点は、従来のギャグ漫画にない画期的な点であり、文芸評論家の渡部直己が、そのデビュー時の論文でテキスト論的な指摘をした〔渡部直己『Hello Good-BY 筒井康隆』収録「露出狂の現在 マンガテキスト考」。〕。 ブームが落ち着いた頃に鴨川つばめの『マカロニほうれん荘』が連載を開始、登場人物が変身したまま物語が暴走する特徴も、『がきデカ』と共通しており作者はライバル視していた。そのせいか絵のタッチが鴨川つばめに酷似し始め〔がきデカ廉価版「鶴がくるくるクリスマスっ!!」のコラム「犬月猫日の記」で本人が告白している。〕、作中において西城君やモモちゃん、ジュンちゃんまでもが目玉が大きく3頭身のいびつなキャラとなってしまった時期もある。 大人気作ゆえ作者は連載中にかなり精神的に追い詰められていたらしく、編集長を呼びつけて嫌味を言ったり、仕事場へ訪ねてきた小学生を怒鳴り追い返しており、後に「大人気なかった」「申し訳ないことをした」と述懐している。 1974年に『週刊少年チャンピオン』誌上に第1回が掲載された時の最終コマは、友人(友犬?)の栃の嵐に制帽を奪われ逮捕されているというシーンであり、こまわり君の頭はボサボサの髪があらわになっていた。しかし連載が進むにつれ、この第1回目を読んでいないファンの間で「こまわり君の髪型はどうなっているのか?」という話題が盛り上がった。第1回目を読んだ読者からすれば「普通のボサボサの髪型だよ」となるところだが、このミステリアスなブームを長続きさせようと企図した編集部は、チャンピオン・コミックス採録時にこまわり君が制帽を被ったままの最終コマへ変更した。よって、こまわり君の髪型を確認するには連載初回時の1974年『週刊少年チャンピオン』44号を入手するか漫画雑誌を収集している図書館に行って読むか以外にない。 『週刊少年チャンピオン』連載当時の最終回は、通常の一話読み切り型で、一見すると最終回とは全く解らない話になっている。これは作者が「連載を打ち切らせてほしい」と編集部へ申し出た際、当時の編集長から「いつでも連載を再開できる形で終わらせてほしい」と頼まれ、そのような形になった、とのエピソードがある。1989年にアニメ化された際に、並行して『週刊少年チャンピオン』誌上において月1連載で全12話の『完結編』("がきデカ"ファイナル)が連載された。作者は意図的に当時の画風に合わせて描いており(作者自身は「技術的な事なので難しくはない」と後に述べている)、「あまりにも連載当時と変わらない」と言われた。最後はこまわり君が種田山頭火の句と衣装で放浪の旅に出て完結となった。 2009年には、『週刊少年チャンピオン』創刊40周年記念として、同誌19号に描き下ろし新作を掲載した。ここでは、「中春こまわり君」のキャラクターが「がきデカ」のキャラクターを演じる、という形式を取っている〔作中の西城の台詞より〕。 本作品は、水島新司の『ドカベン』(中学・高校編)や手塚治虫の『ブラック・ジャック』と共に1970年代の「週刊少年チャンピオン」の黄金期を築いた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「がきデカ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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