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『もっきり屋の少女』(もっきりやのしょうじょ)は、つげ義春による漫画作品。1968年(昭和43年)8月に、『ガロ』(青林堂)に発表された全16頁からなる短編漫画作品である。 == 概要 == つげの代表作のひとつで「旅もの」の系譜に分類される作品。『沼』、『紅い花』などに登場した未成熟なおかっぱの少女が登場する。小品ながら、大人になる前の少女の持つ特有のエロスと、つげ独自の叙情性が感じられる。1966年から『沼』(1966年2月)、『海辺の叙景』(1967年9月)、『紅い花』(1967年10月)、『オンドル小屋』(1968年4月)と立て続けに少女を描いてきたつげは、直後に『ねじ式』(1968年6月)、『ゲンセンカン主人』(1968年7月)と肉感的な中年女性を登場させるが、その翌月にはこの作品で再びおかっぱの少女を描いた。しかし、ここではおかっぱの少女は『沼』、『紅い花』の観念的なものとは異なる、現実的、肉感的な存在としてリアルに描かれることとなった。 1966年につげは会津の塔の岪に旅したが、このときに味噌おでんを食べた小さな茶屋の軒下の暖簾に書かれていた会津地方の方言に大変興味を持ち、それを手帳に書き写した。そのうちの2、3箇所の一部をこの作品に使っている。特に「むげいのおどっつあはきぐしねくてやんだおら」(向かいの家のお父さんはものの道理が分からなくて私はいやだ)は、ほぼそのまま使った。当初、つげはこの旅行の際のエピソードを使って『方言について』というタイトルで描くつもりで『ガロ』にも予告していたが、やめてこの作品に結実させた。ちなみにこの『方言について』という作品は、お土産の手拭いに書かれていた会津の方言のヒントにして着想された4頁ないしは8頁の作品で、上段に絵があり、下段に方言についてのエッセイらしきものが書かれた物語性の少ない絵物語のようなものだったらしいが、結局マンガじゃないと描く気が起こらないという理由で完成しなかった〔つげ義春 『つげ義春漫画術』(下) ワイズ出版、1993年10月 ISBN 4-948735-19-1〕。 またこの作品には、1967年4月には友人の立石慎太郎と旅館寿恵比楼を再訪した際に、『紅い花』のモデルにもなった宿の少女が「どてらを着て寝ると切ない」といった言葉を、もっきり屋の少女、コバヤシチヨジのセリフとして利用している。つげ自身はこの作品では、方言というよりも言葉の使い方に対する興味で描いている。例えば、コバヤシチヨジが何度も、何を聞いても「みじめです」を繰り返すが、こうした単純な言葉で自分自身の気持ちを現すということ、こうした言葉と意識の関係を念頭に置いたと述べている。最後のほうのシーンで主人公の青年が「ほんとうはこの土地の言葉づかいに興味を持っただけなのさ」という部分は言葉と意識に対してつげなりの答えとして出たセリフであるとも述懐している。 この作品は、1968年6月頃に描き上げ、『ガロ』8月号に発表されたが、9月にはつげは九州に蒸発してしまう。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「もっきり屋の少女」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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