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エアロゾル (aerosol) とは、分散媒が気体の分散系、つまり、気体の中に微粒子が多数浮かんだ物質である。気中分散粒子系、煙霧体ともいう。エアロゾル中の微粒子(あるいはエアロゾルの別名)を煙霧質(えんむしつ)または気膠質という。なお俗に、微粒子のことをエアロゾルと呼ぶことがあるが間違いである。 ゾルとは分散媒が液体のコロイドのことであり、エアロゾルはそれにエアロ(空気)を付けた言葉である。ただし、分散媒は空気に限らずさまざまな気体があり、たとえばスプレーによるエアロゾルの分散媒はプロパンなどである。また、コロイド(粒子が約百nm以下)に限らず、より大きい粒子のものもある。 微粒子のサイズは、10nm程度から1mm程度までさまざまである。ある程度大きなもの(定義はさまざまだが、1µm~、0.2~10µm など)を塵埃(じんあい)という。 == 歴史 == 地球創世から今日に至るまで、大気中にはさまざまな粒子状物質が存在してきており、これらは自然現象や生命の営みの中で重要な役割を果たしてきたと考えられる。人類が火を使うようになってから、特に産業革命以後は、生産、労働、生活環境の粉塵や煙に関する人工的な粒子状物質が我々の関心を引くようになった。1900年代におけるイギリス・ロンドンにおける都市大気汚染を背景として、エアロゾルという言葉は使われていた。1940年~1970年に気温が下がったのは硫酸塩エアロゾル(硫黄酸化物)の増加によると考えられている〔石弘之著『世界史の鏡1 歴史を変えた火山噴火 ー自然災害の環境史ー』刀水書房 2012年 23-24ページ)〕。 学術文献に初めてエアロゾルという用語が登場するのはWhytlaw-Grayら (1923)〔Whytlaw-Gray, R. Speakman, B. and Campbell, H. P., Proc. Roy. Soc. (London), A102, 600 (1923).〕による「Aerosol is a system of particles of ultra-microscopic size dispersed in a gas, suggested by Prof. Donnan」といわれる。 エアロゾルの実際的研究は、ヨーロッパにおける大気汚染対策や労働衛生管理に始まった。一方、気体中の粒子は、物理学あるいはコロイド学の分野の課題として古くから研究者の興味を引いてきた。エアロゾル学は、19世紀から20世紀初頭にかけての古典的な学術の発展にその基礎を置いている。たとえば * ジョン・ティンダルによるチンダル現象は、エアロゾルの簡易測定法として広く用いられた。 * ケルヴィンによるケルヴィン効果は、粒子核生成や液滴の蒸発現象を説明する基礎である。 * マクスウェルによるエネルギー等分配の法則は、分散系の状態を記述するのに必須の概念。 * J. Aitkenは1985年に断熱凝縮法によって大気中の微小粒子を測定し、今日、エイトケン粒子としてその名を残している。 * アインシュタインのブラウン運動は、微小エアロゾル粒子のランダム運動を説明する。 * ミーの光散乱に関する厳密解により、粒子の光散乱現象の理解と応用は大きな発展を遂げた。 * スモルコフスキー(Marian Smoluchowski)の凝集理論は、エアロゾル動力学の基礎のみならず分散系の工学的利用に寄与した。 * ミリカンの油滴実験は、その後のエアロゾル実験手法の発展の契機となった。 第二次世界大戦終結後、1950~1960年代のエアロゾル研究は、原子力利用と新たな大気汚染・労働衛生問題にかかわるものが多い〔。特に国際放射線防護委員会によるLung dynamics modelは有害エアロゾル粒子の定量的評価のうえで大きな成果であった。 世界的な工業の発展と大量のエネルギー消費は新たな大気汚染問題を引き起こし、エアロゾル学の中でも、ガスの粒子転換・二次的生成汚染物の制御が重要課題となった。アメリカ・ロサンゼルスにおける光化学スモッグを対象とする研究プロジェクトは、大気エアロゾルのキャラクタリゼーション、発生源推定手法の開発など大きな成果をもたらした。 1980年代以降においては、電子機械、光学器械、原子力、宇宙、製薬、医療、生物工学の分野で、超清浄空間(クリーンルーム)技術の開発とそれに関連するエアロゾルの高度な測定・制御技術が重要になっている。 気象分野では、各種の塵象、雲の凝結核、太陽光放射、火山爆発などに関連し、もともと重要な研究対象であった。今日では、地球温暖化やオゾン層破壊など、地球規模の大気環境問題でも重要な役割が認識されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「エアロゾル」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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