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アドバンストフォトシステム (Advanced Photo System, APS) は、富士フイルム、イーストマンコダック、キヤノン、ミノルタ、ニコンによって共同で開発された「世界標準規格の新しい写真システム」。1996年4月に販売が開始された。後述のとおり2012年3月現在では事実上終焉を迎えた規格である。 APSは写真フィルムの名称ではなく、新規格の専用フィルム (IX240) を使用した「進化した写真システム」のことを指す。規格名の"IX"とは"Information Exchange"の略で、デジタルカメラのExifヘッダのように、撮影時の設定、日付・時間、プリントサイズ・枚数指定、コメントなどをフイルムにコーティングされた磁気面に記録し、プリント時に利用できるためこの名がある。240はフィルム幅の24mmに由来する。 == 概要 == 画面の露光面積は16.7×30.2mmで縦横比が従来の各種フィルムと比べて横長 (9:16) なのが特徴。その基本サイズの左右または上下をプリント時にトリミングすることで、35mm判の通常サイズ (2:3) とパノラマサイズ (1:3) に対応するプリントが可能である。これらのサイズ設定は基本的にカメラ側で設定する(一部低価格機にはCサイズ専用もある)。ただし、ラボへのプリント注文時に指定して変更は可能である。また、かつて発売されていたAPS用フォトプレイヤーでは各種設定を変更できるものもあった。 ; Hサイズ(ハイビジョン / 9 : 基本となる画面サイズで、撮影設定に関わらずフィルム面にはこのサイズで写る。プリント時には従来のL判と縦は同じで横幅が広くなる。 ; Cサイズ(クラシック / 2 : Hサイズの左右をトリミングしたサイズ。従来の35mmフィルムと同じ画面比率で、プリントも同じL判(またはKing判)のサイズ。 ; Pサイズ(パノラマ / 1 : Hサイズの上下をトリミングしたサイズ。従来の35mmパノラマ判と同じ。 また、画面サイズが小さいために35mm判と同じレンズでも画角が狭くなる。従って、35mm判と比較する場合はレンズの表記に比率を掛けて換算する必要がある。対角画面で換算すると、Hサイズ・Pサイズ=1.25倍、Cサイズ=1.4倍(ハーフ判と同等)となり、例えばAPSの24mmレンズの35mm判相当の画角は24mm×1.25=30mm(Hサイズ時)となる。ただ、Hサイズの場合は画面比率が横長なために、35mm判と同等の画角でもよりワイドさが強調されて見える。 現像後もフィルムはカートリッジの中に入れたまま返却され、焼き増しの注文は添付されるインデックスプリントでコマを確認して行う。しかし、カートリッジは嵩張って保管し難く、インデックスプリントとの関連付けも煩雑であり、インデックスプリントをなくすと写真の確認が出来にくくなる、といった欠点があった。さらにAPSの登場からは、35mmフィルムを現像した際もインデックスプリントを添付することが可能になり、APS独自の利点ではなくなった。 この規格の長所としては、従来の35mmフィルムに比べ、フィルムサイズ=カートリッジが小型であるためにカメラ自体も小型化できる点がある。他にも、 * 密閉カートリッジなので、フィルムに触れることなく装填でき失敗が少ない。 * 撮影済みのフィルムは装填できないので、二重露光などの失敗がない。 * 撮影途中でフィルム交換ができる(MRC=ミッド・ロール・チェンジ。カメラ側での対応が必要)。 などのこれまでのカメラでは難しいことが簡単になったことがあげられる。 フィルムが小型であることを強調するためか、市場に出た製品のほとんどはコンパクトカメラであった。キヤノン、ニコン、ミノルタからはレンズ交換可能な一眼レフカメラも発売されたが、35mmフィルムと比べて撮影面積が小さいことから、画質が劣ること、交換レンズの互換性の問題からあまり普及しなかった。また、フォトプレイヤーという、現像済みのカートリッジを装着してそれをテレビへ映し出す装置も発売されていた。かつてのスライド投影機のAPS版とも言えるが、BGMをつけたりカット間効果をつけながらの自動スライドショーを行ったりと、スライド投影機に比べて高機能であった。また、フィルムのIX情報を修正したりする機能も存在した。こういった機能は後のデジタルカメラの閲覧ソフトに継承され発展していった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アドバンストフォトシステム」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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