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『アドルフに告ぐ』(アドルフにつぐ)は、手塚治虫による日本の歴史漫画作品。 == 概要 == 1983年1月6日から1985年5月30日まで、『週刊文春』(文藝春秋)に連載された。手塚治虫が漫画雑誌でない一般週刊誌に連載したのはこれが初めてである(1970年4月17日から5月8日まで、『週刊ポスト』に『時計仕掛けのりんご』を連載)。 第二次世界大戦前後のドイツにおけるナチス興亡の時代を背景に、「アドルフ」というファーストネームを持つ3人の男達(アドルフ・ヒットラー、アドルフ・カウフマン、アドルフ・カミルの3人)を主軸とし「ヒトラーがユダヤ人の血を引く」という機密文書を巡って、2人のアドルフ少年の友情が巨大な歴史の流れに翻弄されていく様と様々な人物の数奇な人生を描く。 作品の視点は主にカウフマンとカミルであり、ヒトラーは2人のドラマからやや離れて描かれているにとどまっている。これらに日本人の峠草平が狂言回しとして加わり、ストーリーが展開する。ベルリンオリンピックやゾルゲ事件、日本やドイツの敗戦、イスラエルの建国など、登場人物たちは様々な歴史的事件に関わる事になる。『陽だまりの樹』と並び非常に綿密に設定された手塚治虫の後期の代表作。 本作でも手塚のスターシステムは健在で、手塚漫画の悪役キャラクターであるアセチレン・ランプとハム・エッグが重要な役柄で登場している。 1986年(昭和61年)度、第10回講談社漫画賞一般部門受賞。 生前の手塚が対談で語ったところによると、当初は空想的・超現実的傾向の強い作品を構想していたが、週刊文春側の要請で「フレデリック・フォーサイスタイプ」の作品になった〔『手塚治虫対談集―続「虫られっ話」』(潮出版社、1995年)に収録された巖谷國士との対談での発言。〕。また、途中の休載や単行本の総ページ数の制約により、中東紛争の歴史を背景にラストに至る必然性を描写したり、ランプや米山刑事などの「その後」について予定していたドラマなどはすべてカットされることになった〔池田啓晶『手塚治虫完全解体新書』集英社、2002年、p174 - 175。この内容は、手塚が手塚治虫漫画全集の本作第5巻に収録した「あとがきにかえて」と題した文章(さらに初出は1985年6月に刊行された『手塚ファンmagazine vol.5』に掲載された「『アドルフに告ぐ』回想」)が元になっている。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アドルフに告ぐ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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