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アブグレイブ刑務所における捕虜虐待 : ミニ英和和英辞書
アブグレイブ刑務所における捕虜虐待[あぶぐれいぶけいむしょにおけるほりょぎゃくたい]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [けい]
  1. (n,n-suf,vs) penalty 2. sentence 3. punishment 
刑務所 : [けいむしょ]
 【名詞】 1. prison 2. penitentiary 
: [ところ, どころ]
 (suf) place
捕虜 : [ほりょ]
 【名詞】 1. prisoner (of war) 
: [とりこ]
 【名詞】 1. (1) captive 2. prisoner 3. (2) victim 4. slave
虐待 : [ぎゃくたい]
  1. (n,vs) ill-treatment 2. oppression 

アブグレイブ刑務所における捕虜虐待 : ウィキペディア日本語版
アブグレイブ刑務所における捕虜虐待[あぶぐれいぶけいむしょにおけるほりょぎゃくたい]

アブグレイブ刑務所における捕虜虐待2004年アブグレイブ刑務所で発覚したイラク戦争における大規模な虐待事件である。米国国防省は、17人の軍人及び職員を解任した。2004年5月から2005年9月までの間に、7人の軍人が軍法会議で有罪となった。
== 経緯 ==

イラク戦争サッダーム・フセインの政権が崩壊した後、拘留施設として米軍が運営していたアブグレイブ刑務所で、2003年10月から12月にかけて被収容者(捕虜)に対する著しい虐待(拷問)が行われていた。この事実が発覚したのは2004年のことだった。
=== 米軍による内部調査から、世間の関心を集めるまで ===
この事件について陸軍ジョセフ・ダービー兵長による内部告発があったのは2004年1月のことだったが、2003年には既にアムネスティ・インターナショナルAP通信が、米管理下にあるアブグレイブ刑務所における深刻な人権侵害の疑いを指摘していた。また、2003年11月には米軍の報告書でもアブグレイブ刑務所における人権問題のことが指摘されていた〔Context of 'February 26, 2004: Maj. Gen. Taguba Files Report on Abu Ghraib Abuses' 〕。その付近にいた兵士らの間では当時から虐待の噂が流れていたが、陸軍が内部調査を開始したのは2004年1月の告発の後だった。
内部調査の開始は、大手報道機関が報じてはいたが、ほとんど目立たなかった。米軍による深刻な人権侵害に広く人々の耳目が集まったのは、イラク人への虐待の実態を如実に示す衝撃的な写真を何点も放映した4月28日CBSの「60 Minutes II」以降のことである〔Abuse Of Iraqi POWs By GIs Probed 〕。なお、日本国内では当初はインターネット経由などでしか情報が届かず、国内の大手報道機関がアブグレイブ刑務所での被収容者虐待について報道したのは、CBSの番組放映から1週間後の5月のことであった。
そのとき既に、米軍は非公開(機密文書指定)の内部調査報告書をまとめていたが(詳細は後述)、これが何らかのルートで、米誌「ザ・ニューヨーカー」で書いているジャーナリストのシーモア・ハーシュにリークされた。報告書の内容は、5月10日号掲載(オンライン版では現地時間で4月30日にアップロード)の記事で明らかにされた。その後、オンラインで公開された報告書は米軍の行動について極めて批判的で、「2003年10月から12月にかけて、複数の収容者に対して」行なわれた虐待は「組織的かつ違法」であるとはっきりと指摘している。米ブッシュ大統領は「一部の者たちの行為は、軍全体の行動を反映するものではない」と主張して組織的関与を否定した〔Seymour M. Hersh, "Torture at Abu Ghraib", 'The New Yorker', May 10, 2004 〕が、。さらに5月5日には、ブッシュ大統領は「不快感を持っていることを知ってほしい」と個人的な感想を述べたが、同時に「民主主義は完全なものではない」とも言い、謝罪はなかった〔米占領下アブグレイブ“強制収容所”における第一級の国家犯罪・戦争犯罪 〕。
また、ハーシュの記事では、虐待を行ったとして、最終的に禁固8年の上、不名誉除隊に処せられたイヴァン・フレデリック軍曹が、家族への手紙やメールで、アブグレイブ刑務所内でCIA職員や民間の軍事企業の社員を含む軍情報チームが支配的であると語っていたことも述べられている。
2月の内部調査報告書をまとめたアントニオ・M・タグバ少将は、5月11日、米議会の上院軍事委員会の公聴会に呼ばれた際に、アブグレイブでの虐待に軍の情報部門が関与している証拠を集めたと述べ、少将が行った刑務所の運営方法に関する調査だけでなく、情報収集や尋問方法に関する調査を別途行うよう勧告したことを明らかにした。少将は2007年1月1日に退役を余儀なくされた後、米軍による虐待に関する活動を行っている。
5月7日に議会で宣誓の上、「アブグレイブであのようなことが起きているとは知らなかった」との証言を行ったラムズフェルド国防長官は、その前日の6日にタグバ少将を呼び出した際、報告書のリーク元について特に気にしており、心当たりはないかと質問していたという。
=== 軍の内部報告書(タグバ報告書)と証拠写真・映像 ===
同年1月、米軍はアントニオ・M・タグバ少将に命じて内部調査を実施した。その結果、翌2月から3月にまとめられたのがタグバ報告書である。この報告書は、全部で6000ページと膨大な量があったが、「ザ・ニューヨーカー」(5月10日号)にリークされるなどした文書は53ページに過ぎない。
タグバ少将が米議会上院軍事委員会の公聴会で証言を行った翌日である5月12日、委員らによる非公開の会合の場で、既に報道されているのとは別の虐待の証拠写真、1,800点が示された。既に公開されていた写真の内容から予想していたよりもひどいものだったと委員の1人がコメントしているそれらの写真には、犬をけしかけられている様子や、頭に袋をかぶされて自慰行為を強制されている様子、同性間で性行為を強制されている様子などが撮影されていた。また、女性が銃を突きつけられ、乳房を露出させられている写真もあった。その前日には、CBSの「60ミニッツ」で新たな映像が公開されていた。この映像は米兵のビデオ日記で、刑務所内で死亡したイラク人2人について一切の敬意を払っていないことをはっきりと示す内容だった。
このときに非公開の場で米上院議員の一部にだけ示された写真を開示すべきという訴えを、アメリカ自由人権協会 (ACLU) が起こしていたが、2014年にその訴えが一部通り、その結果として2016年2月に200点近くの写真が公開された。この段階になっても公開されていない写真も大量にある上に、公開された写真も文脈や背景情報をそぎ取られており、アブグレイブ刑務所で米軍が何をしていたかについての全容解明には程遠い状態である。ACLUでは引き続き、全面開示を求めていくとしている。
=== ラムズフェルド国防長官への追及 ===
この虐待はラムズフェルドが承認していたとザ・ニューヨーカー電子版は2004年5月15日に報道した〔米誌: 収容者への威圧、「国防長官が承認」 〕。そのため、アメリカの道義的威信を大きく損ねたことをラムズフェルドは非難される事になる。これに対しラムズフェルドはアブグレイブでの虐待行為は「例外」で「常習化したものでも習慣でもない」と主張した。アメリカ政府はこの問題に対し、2004年5月20日米国下院で308-114の圧倒的多数で、4220億ドルの国防予算法案に、アブグレイブ刑務所を取り壊し新しく近代的拘置施設を建設する計画を可決した。だが、証拠隠滅、責任転嫁の批判が起こる。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「アブグレイブ刑務所における捕虜虐待」の詳細全文を読む




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