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アポローン()は、ギリシア神話に登場する男神。オリュンポス十二神の一人であり、ゼウスの息子である。詩歌や音楽などの芸能・芸術の神として名高いが、羊飼いの守護神にして光明の神でもあり、イーリアスにおいてはギリシア兵を次々と倒した〔ホメロス 『イリアス(上)』 松平千秋訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1992年、13頁。〕「遠矢の神」〔ホメロス 『イリアス(上)』 松平千秋訳、11頁。〕であり、疫病の矢を放ち男を頓死させる神〔「アポローンの矢に射られる」という表現は男が頓死することを意味した(ホメロス 『イリアス(上)』 松平千秋訳、394頁)。〕であるとともに病を払う治療神でもあり、神託を授ける予言の神としての側面も持つなど、付与された性格は多岐に亘る。もとは小アジアに起源をもつ神格で、本来は繁茂する植物の精霊神から転じて牧畜を司る神となったという説や、北方の遊牧民に起源を求める説など〔呉茂一 『ギリシア神話(上)』 新潮社〈新潮文庫〉、昭和54年、132頁。〕、アポローンの出自については諸説あり、複数の神格の習合を経て成立したものとも考えられている〔松村一男、平藤喜久子、山田仁史編 『神の文化史事典』 白水社、2013年、52-53頁。〕。古典期のギリシアにおいては理想の青年像と考えられ、また、ヘーリオス(太陽)と同一視されるようにもなった。 推定される原音に近づけてその名をカナ転写すればアポルローンとなるが、日本語のカタカナ表記ではアポローン、または長母音を省略してアポロンとするのが通例である。 == 概説 == 古典期のアポローンは主神ゼウスとレートーとの息子であり、アルテミスとは双生児である(ギリシャ神話では姉、ローマ神話では妹とする説もある)。オリュンポス十二神には(諸説があるが)ほぼ確実に名を連ねる。古くから牧畜と予言の神、また、竪琴を手に執る音楽と詩歌文芸の神であった。光明神の性格を持つことから前5世紀には時としてヘーリオスと混同されて太陽神とされ、ローマ時代にはすっかり太陽神と化した〔呉茂一 『ギリシア神話(上)』 新潮社〈新潮文庫〉、昭和54年、141頁。〕。聖獣は狼および蛇、鹿で、聖鳥はヒュペルボレオイの国から飛来する白鳥および、鴉、雄鶏、鷹、禿鷹で、蝉もアポローンの使いとされる〔里中満智子 『マンガ ギリシア神話2 至高神ゼウス』 中央公論新社〕〔フェリックス・ギラン 『ギリシア神話』 青土社〕。聖樹は月桂樹、オリーブ、棕櫚、御柳〔。また、イルカ(デルピス)との関係も深く、イルカの姿に変身したという神話からデルピニオスとも呼ばれ、「デルポイ」という地名はここから来ているともいわれる〔。(デルポイは「子宮」を意味するデルピュスが語源という説もある〔マイケル・グラント、ジョン・ヘイゼル 『ギリシア・ローマ神話事典』 大修館書店〕) また、あらゆる知的文化的活動の守護神とされ、詩神ムーサイを主宰するとともに、オルペウス教の伝説的開祖である詩人オルペウスの父親ともされる。一方、人間に当たれば苦痛なく一瞬で即死する金の矢を武器とし、姉(妹)神アルテミスとともに「遠矢射るアポローン」として疫病神の性格を持ち、転じて医術の神としても信仰された。医神アスクレーピオスがアポローンの子とされるのはそのためである。このように、アポローンの性格は理性的であると同時に人間を地上に向かって放った矢から広がる疫病で虐殺したり、音楽の腕を競う賭けでサテュロスの1人マルシュアースを生きたまま全身の皮膚を剥いで殺すなどの冷酷さ、残忍さをも併せ持っている。腕力も強く、イリアスではアカイア勢の築いた頑強な城壁を素手で軽々と打ち砕いて崩壊させている。ボクシングを創始した神としても知られる。 中道や節度を重んじる神でもあったが、その言動は節度を守っているとは言いがたい点が多く、アルテミスにその点を指摘されたこともある。が、アポロンは「私は万事に節度を守って控えるようにしている。「節度を守って控えること」それ自体も節度を守って控えるようにしている」と機転というより詭弁で返している(この規律にとらわれない柔軟性も、アポロンが好かれる一因であった)。 フリードリヒ・ニーチェは、理性をつかさどる神として、ディオニューソスと対照的な存在と考えた(『悲劇の誕生』)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アポローン」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Apollo 」があります。 スポンサード リンク
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