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アントルシャ
アントルシャ(仏:entrechat)は、バレエにおける技法の1つ。両足で踏み切って垂直に跳躍し、滞空中に両足を交差させる(打つ)動きで、両足(5番ポジション)あるいは片足(シュル・ル・ク・ド・ピエ)で着地する〔''sur le cou de pied''、直訳すると「足首の上に」という意味で、片足がもう一方の足首に触れている状態のこと。日本では「スュル・ル・ク・ド・ピエ」あるいは単に「ク・ド・ピエ」などともいう。〕〔川路(1980)、pp. 97-100.〕〔『バレエ用語集』pp. 74f.〕。足を交差させる回数によって、アントルシャ・カトル(''entrechat quatre''、4回)、アントルシャ・シス(''entrechat six''、6回)などの種類がある〔。バレエにおいては、男女の別なく頻繁に用いられる技法である〔『鑑賞者のためのバレエ・ガイド』p.42.〕〔『新版 バレエって、何?』p.107.〕。 == 歴史 == アントルシャという単語の起源は、もともとはイタリア語のイントルチアーレ(''intrecciare'')もしくはカプリオラ・イントレッチアータ(''capriola intreccoata'')からといわれる〔〔赤尾、pp. 96-103〕。''capriola''はラテン語の「''caper''(雄のヤギ)」から派生した言葉で、もともとは「ヤギの跳躍」を意味し、''intreccoata''は''intrecciare''の過去分詞のため、カプリオラ・イントレッチアータは「両足を編み合わせた跳躍」を表す〔。アントルシャはイントレッチアータ、もしくは名詞のイントレッチオ(''intreccio''、編むこと、編んだものという意味)がフランス語化したものとされる〔。 アントルシャはもともと男性のみの踊りであったが、18世紀に入ると女性ダンサーも踊り始めた〔。女性ダンサーとして初めてこれを踊ったのは、1726年にパリでデビューしたマリー・カマルゴといわれる〔〔『オックスフォード バレエダンス事典』p.45.〕〔『オックスフォード バレエダンス事典』p.125.〕。卓越した舞踊技術の持ち主だったカマルゴは、それまで男性のみの踊りとされていたカブリオール〔''cabriol''、''capriola''と同様にラテン語の「''caper''(雄のヤギ)」から派生した言葉で、真っ直ぐに伸ばした両脚を空中で打ち合わせる動き。通常は男性ダンサーが行う跳躍で、『ジゼル』第2幕のアルブレヒトのヴァリアシオンなどで見られる。〕やアントルシャ・カトル(後述)などの跳躍や素早い足技を取り入れた〔〔。カマルゴは素早いアレグロの動きを楽にこなした上で足先の細かい妙技が観客からよく見えるようにするため、当時使われていたかかと付きの舞踊靴やクジラの骨を使ったパニエで大きく膨らませた重たく非実用的なスカートを拒絶した〔。そしてかかとなしの舞踊靴を履き、膝から下がよく見えるようにスカートのすそを切り詰めた衣装で舞台に登場した〔。カマルゴの衣装改革は18世紀当時としては大胆な試みであったが、それは現代まで続くバレエ衣装改革の先駆けとなった〔。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アントルシャ」の詳細全文を読む
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