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EATER ITER
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ITER(イーター)は、国際協力によって核融合エネルギーの実現性を研究するための実験施設である。この核融合実験炉は核融合炉を構成する機器を統合した装置であり、ブランケットやダイバータなどのプラズマ対向機器にとって総合試験装置でもある。計画が順調に行けば原型炉、実証炉または商業炉へと続く。名称は、過去には''International Thermonuclear Experimental Reactor''の略称と説明された時期もあったが、現在は公式には''iter''(羅:道)に由来する、とされている。 日本では「国際熱核融合実験炉(こくさいねつかくゆうごうじっけんろ)」または「イーター(後述する協定の和文正文等における呼称)」と呼ばれている。 建設候補地として青森県六ヶ所村(日本)とカダラッシュ(フランス)が挙げられていたが、2005年6月、カダラッシュに建設することが決定された。2006年11月にはプロジェクトの実施主体となる国際機関を設立する国際協定である「イーター事業の共同による実施のためのイーター国際核融合エネルギー機構の設立に関する協定(Agreement on the Establishment of the ITER International Fusion Energy Organization for the Joint Implementation of the ITER Project)」に対する署名が行われた後、2007年10月24日に協定の効力が発生し、イーター国際核融合エネルギー機構が国際機関として正式に設立された。 == ITERの目的 == 21世紀初頭の現在、核融合に関する研究は世界各国で活発に行われており、装置の方式についても様々な種類のものが検討されている。しかし、これまでの研究装置では、実用化するに足る規模のエネルギー(数十万kW程度)を継続的に発生させた例はなく、瞬間値としても欧州連合のJETが1997年に記録した1万6千kWが最大である。実用規模の核融合エネルギーが生じる条件下でのプラズマの物理は未知の領域であり、プラズマ物理における課題の解明が大きく期待されている。また、その解明は核融合エネルギーの実用化に不可欠な課題の一つである。ITERでは最大で50 - 70万kWの出力(熱出力)が見込まれており、実用規模のエネルギーを発生させる初の核融合装置となる。さらに、ITERではエネルギー発生プラントとしてのエネルギー収支も大きく向上され、運転維持に必要となるエネルギー(入力エネルギー)と核融合により生成されるエネルギー(出力エネルギー)との比(エネルギー増倍率)が従来装置では1程度であったところ、5 - 10を目標値としている。 また、核融合による発電を行う場合、長時間連続して核融合反応を生じさせる必要があるが、実用可能な程度に高い圧力のプラズマを保持するまでには至っておらず、韓国のKSTARが55秒を達成したのが最長である(低い圧力のプラズマについては、九州大学のTRIAMが5時間16分の記録を保持)。ITERではこれを超えて、エネルギー増倍率が10以上の場合でも300 - 500秒の長時間運転を達成できることに加え、エネルギー増倍率が5の場合には定常運転(連続運転)が可能となることを目標としている。 さらに、核融合装置はプラズマ閉じ込め用の超伝導コイル、プラズマ加熱用の加速器、保守のための遠隔ロボット等、高度な技術の集大成でもあり、ITERにおいてこれらの機器を統合的に運用して、核融合装置という特殊な環境においてもお互いに悪影響を及ぼさず、正常に運転するという経験を積むことは、核融合の実用化にあたって貴重な機会であり、これもITERの大きな目的の一つである。 一方で、核融合の実用化には、高い中性子照射に耐えるとともに、放射性物質に変化しにくい材料の開発が必要不可欠であるが、ITERは材料開発に用いるためには中性子の発生量が不十分であり、これを主な目的とはしていない。したがってITERと並行して核融合材料の開発を行う必要があり、IFMIF計画という、国際協力により材料開発のための照射設備の建設計画が、日本の青森県六ヶ所村で進行中である。 このように、ITERのみで核融合の実用化が達成されるわけではないが、ITERが実用化に向けての重要な一歩であることは間違いない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ITER」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 ITER 」があります。 スポンサード リンク
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