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統計物理学において、ブロッホ=ドミニシスの定理()とは、量子多体系における熱平均で定義された多点相関関数を、2点相関関数の組み合わせ和に分解する定理。場の量子論の真空期待値に関するウィックの定理に対し、有限温度の系での類似版に相当しており、ウィックの定理とも呼ばれる。物理学者 松原武生によって、温度グリーン関数の理論展開ともに導入された〔T. Matsubara, ''Prog. Theor. Phys.'', 14, p.351 (1955)〕。定理の名は、最初に完全な証明を与えた物理学者C. ブロッホとC. T. ドミニシスに因む〔C. Bloch and C. T. de Dominicis, ''Nucl. Phys.'', 7, p.459 (1958) 〕。 == 概要 == ''A'' を生成演算子''a''α†、または消滅演算子''a''α、もしくはそれらを虚時間で相互作用表示したものとする。ここで、相互作用表示において、非摂動系の自由ハミルトニアンは : のように2次形式で表されているとする。また平均値<…>0はe-β(''H''o-μ''N'' )による非摂動系でのグランドカノニカル分布の熱平均を表すものとする。 このとき、この熱平均で定義されるn点相関関数は、nが偶数である場合のみゼロにならず、 : が成り立つ。ここで現れる2点相関関数は縮約(contraction)と呼ばれる。また、(±1)mの項はフェルミ粒子での演算子の順番の並び替えにおいて、隣合う演算子同士を置き換える際に生じる符号の反転を表しており、符号は正がボーズ粒子、負がフェルミ粒子に対応するものとする。以降、本項に現れる複合の符号は全て、上がボーズ粒子、下がフェルミ粒子に対応するものとする。 さらに、nが偶数であるときは、この結果を繰り返し適用することで、 : と全ての演算子の縮約の組み合わせ和に分解できる。ここで、''P'' は(1, 2, …, n)→(i1, i2, …, in)なる置換を表し、和Σ'において、ここの縮約で対となる演算子は、ik-1 < ikを満たし、全体としてはi1 < i3 < …< inの順序が満たされる項について和をとるものする。また、(±1)''P''は、フェルミ粒子の隣合う演算子同士の並び替えの際に付与する正負の符号の変化を表し、ボーズ粒子については+1、フェルミ粒子については演算子の並び替えの回数に応じた符号(置換の符号)を与えるものとする。これをブロッホ=ドミニシスの定理またはウィックの定理と呼ぶ〔A. L. Fetter and J. D. Walecka (2003)〕〔阿部龍蔵 (1992)〕。 縮約について、記法 : を導入すれば、全ての可能な縮約の組み合わせをとるというブロッホ=ドミニシスの定理は : とも表すことができる。但し、複数個の演算子の縮約については、 : のように、同じ右付き添え字の演算子同士の縮約を行い、さらにフェルミ粒子の場合には演算子の入れ替えの回数に応じた符号を与えるものとする。 ''A'' =''A'' (τ)が虚時間での相互作用表示の演算子であるとし、虚時間に対する時間順序積をとる場合にも、同様にブロッホ=ドミニシスの定理 : が成り立つ。 この場合も縮約について、 : となる記法を導入すれば、 : と表すことができる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ブロッホ=ドミニシスの定理」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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