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ウェッジ積 ( リダイレクト:外積代数 ) : ウィキペディア日本語版
外積代数[がいせき]
数学におけるベクトルの外積(がいせき、)あるいは楔積(くさびせき、ウェッジ積、)はクロス積をある特定の性質に着目して、より高次元の場合へ一般化する代数的な構成である。クロス積やスカラー三重積のようにベクトル同士の外積はユークリッド幾何学において面積体積およびそれらの高次元における類似物の研究に用いられる。線型代数学において外積は、線型変換行列式小行列式を記述する基底の取り方に依存しない抽象代数的な仕方を提供し、階数線型独立性といった概念に根本的に関係してくる。
外積代数(がいせきだいすう、)は、ヘルマン・グラスマンに因んでグラスマン代数(グラスマンだいすう、)〔 では拡大された代数 として導入されている (cf. )。おそらく現代的な線型代数学において定義されるところの outer product との区別のために、グラスマンは彼の定義した(今日では便利に外積 と呼ばれる)積 を指し示すだけのために (逐語訳すれば外の (') あるいは外部の('))という言葉を用いた。〕としても知られ、与えられた 上のベクトル空間 上の外積によって生成される多元環である。多重線型代数やその関連分野と同様に、微分形式の成す多元環を通じて現代幾何学、特に微分幾何学代数幾何学において広く用いられる。
形式的には、外積代数は あるいは で表され、 を線型部分空間として含む、楔積あるいは外積と呼ばれる で表される乗法を持つ、体 上の単位的結合代数である。楔積は結合的双線型な乗法
:\textstyle \wedge\colon \bigwedge(V) \times \bigwedge(V) \to\bigwedge(V);\, (\alpha,\beta)\mapsto \alpha\wedge\beta
であり、本質的な性質として 上の交代性
:(1) v\wedge v = 0 \mboxv\in V
を持つものである。これは以下の性質
:(2) u\wedge v = - v\wedge u \quad\mbox u,v\in V
:(3) v_1\wedge v_2\wedge\cdots \wedge v_k = 0\quad\mbox v_1, \ldots, v_k \in V \mbox
をも特別の場合として含む〔注意すべきは、多元環 の任意の元に対して成立が要請される結合性や双線型性とは異なり、ここに挙げられる 3 つの条件は、この多元環の部分空間である 上でのみ制約として課せられているということである。ここで条件 (1) と条件 (3) は同値であり、条件 (1) と条件 (2) は の標数が でない限り同値である。〕。
圏論の言葉で言えば、外積代数は普遍構成によって与えられる、ベクトル空間の圏上の函手の典型である。この普遍構成によって、体上のベクトル空間だけに限らず、可換環上の加群やもっとほかの興味ある構造にたいしても外積代数を定義することができる。外積代数は双代数のひとつの例である。つまり、外積代数の(ベクトル空間としての)双対空間にも乗法が定義され、その双対的な乗法が楔積と両立する。この双対代数は特に 上の重線型形式全体の成す多元環で、外積代数とその双対代数との双対性は内積によって与えられる。) あるいは外部の('))という言葉を用いた。〕としても知られ、与えられた 上のベクトル空間 上の外積によって生成される多元環である。多重線型代数やその関連分野と同様に、微分形式の成す多元環を通じて現代幾何学、特に微分幾何学代数幾何学において広く用いられる。
形式的には、外積代数は あるいは で表され、 を線型部分空間として含む、楔積あるいは外積と呼ばれる で表される乗法を持つ、体 上の単位的結合代数である。楔積は結合的双線型な乗法
:\textstyle \wedge\colon \bigwedge(V) \times \bigwedge(V) \to\bigwedge(V);\, (\alpha,\beta)\mapsto \alpha\wedge\beta
であり、本質的な性質として 上の交代性
:(1) v\wedge v = 0 \mboxv\in V
を持つものである。これは以下の性質
:(2) u\wedge v = - v\wedge u \quad\mbox u,v\in V
:(3) v_1\wedge v_2\wedge\cdots \wedge v_k = 0\quad\mbox v_1, \ldots, v_k \in V \mbox
をも特別の場合として含む〔注意すべきは、多元環 の任意の元に対して成立が要請される結合性や双線型性とは異なり、ここに挙げられる 3 つの条件は、この多元環の部分空間である 上でのみ制約として課せられているということである。ここで条件 (1) と条件 (3) は同値であり、条件 (1) と条件 (2) は の標数が でない限り同値である。〕。
圏論の言葉で言えば、外積代数は普遍構成によって与えられる、ベクトル空間の圏上の函手の典型である。この普遍構成によって、体上のベクトル空間だけに限らず、可換環上の加群やもっとほかの興味ある構造にたいしても外積代数を定義することができる。外積代数は双代数のひとつの例である。つまり、外積代数の(ベクトル空間としての)双対空間にも乗法が定義され、その双対的な乗法が楔積と両立する。この双対代数は特に 上の重線型形式全体の成す多元環で、外積代数とその双対代数との双対性は内積によって与えられる。))という言葉を用いた。〕としても知られ、与えられた 上のベクトル空間 上の外積によって生成される多元環である。多重線型代数やその関連分野と同様に、微分形式の成す多元環を通じて現代幾何学、特に微分幾何学代数幾何学において広く用いられる。
形式的には、外積代数は あるいは で表され、 を線型部分空間として含む、楔積あるいは外積と呼ばれる で表される乗法を持つ、体 上の単位的結合代数である。楔積は結合的双線型な乗法
:\textstyle \wedge\colon \bigwedge(V) \times \bigwedge(V) \to\bigwedge(V);\, (\alpha,\beta)\mapsto \alpha\wedge\beta
であり、本質的な性質として 上の交代性
:(1) v\wedge v = 0 \mboxv\in V
を持つものである。これは以下の性質
:(2) u\wedge v = - v\wedge u \quad\mbox u,v\in V
:(3) v_1\wedge v_2\wedge\cdots \wedge v_k = 0\quad\mbox v_1, \ldots, v_k \in V \mbox
をも特別の場合として含む〔注意すべきは、多元環 の任意の元に対して成立が要請される結合性や双線型性とは異なり、ここに挙げられる 3 つの条件は、この多元環の部分空間である 上でのみ制約として課せられているということである。ここで条件 (1) と条件 (3) は同値であり、条件 (1) と条件 (2) は の標数が でない限り同値である。〕。
圏論の言葉で言えば、外積代数は普遍構成によって与えられる、ベクトル空間の圏上の函手の典型である。この普遍構成によって、体上のベクトル空間だけに限らず、可換環上の加群やもっとほかの興味ある構造にたいしても外積代数を定義することができる。外積代数は双代数のひとつの例である。つまり、外積代数の(ベクトル空間としての)双対空間にも乗法が定義され、その双対的な乗法が楔積と両立する。この双対代数は特に 上の重線型形式全体の成す多元環で、外積代数とその双対代数との双対性は内積によって与えられる。
== 動機付けとなる例 ==

===平面における面積===

平面ベクトル空間であり、
:\mathbf_1 = (1,0),\quad \mathbf_2 = (0,1)
という 2 つの単位ベクトルの組はその基底となっている。ここで、
:\mathbf = v_1\mathbf_1 + v_2\mathbf_2, \quad \mathbf = w_1\mathbf_1 + w_2\mathbf_2
という 2 つの成分表示された のベクトルが与えられたとすると、 を 2 つのとする平行四辺形が一意に存在する。この平行四辺形の面積は、行列式を用いて
:A = \left|\det\begin\mathbf & \mathbf\end\right| = |v_1w_2 - v_2w_1|
と表される。いま、 の外積を
:\begin\\
\mathbf\wedge \mathbf &= (v_1\mathbf_1 + v_2\mathbf_2)\wedge (w_1\mathbf_1 + w_2\mathbf_2)\\
&= v_1w_1(\mathbf_1 \wedge \mathbf_1) + v_1w_2(\mathbf_1 \wedge \mathbf_2) + v_2w_1(\mathbf_2 \wedge \mathbf_1) + v_2w_2(\mathbf_2 \wedge \mathbf_2)\\
&= (v_1w_2 - v_2w_1)(\mathbf_1 \wedge \mathbf_2)\end
のように定める。まず最初の部分では楔積に分配法則を適用し、ついで楔積が交代的であるという性質を用いた。最終的に得られた表式の係数はまさに行列 の行列式である。この係数が正負の値を取りうることは、直感的には、 に、それらの定義する平行四辺形の辺として時計回りあるいは反時計回りの向きがつけられることを意味する。このような面積のことを平行四辺形の「符号つき面積」という。符号つき面積の絶対値は通常の意味での面積であり、符号はその向きを与えている。
この係数が符号つき面積となったことは偶然ではない。符号つき面積を代数的構造として公理化しようとすれば、必然的に外積と結びつくことが比較的簡単に確かめられる。詳しく言えば、 と によって決まる平行四辺形の符号つき面積を と表すことにすれば、 は下に挙げる性質を満たさなくてはならない。
# 任意の実数 と について、 が成り立つ。なぜならば、どちらかの辺の長さを変えれば、それに応じて面積も変わる。また、どちらかの辺の向きを変えれば、平行四辺形の向きは変わる。
# である。なぜならば、 が決める退化した平行四辺形(すなわち、線分)の面積は である。
# である。なぜならば、 と の役割を交換すれば平行四辺形の向きは逆転する。
# である。なぜならば、 の定数倍を に足すという作用は底辺の長さも高さも変えず、したがって面積を保つ。
# である。なぜならば、単位正方形の面積は である。
最後の条件を除くと、楔積はこの面積の性質と同様の性質を満たす。ある意味で、楔積は面積の最後の性質を一般化し、適当に選んだ「標準的な」平行四辺形と比較することを許容したものであるといえる。言い換えれば、2 次元の外積は面積の「基底に依存しない」定式化である〔この面積の公理化はレオポルト・クロネッカーカール・ワイエルシュトラスによる; see 。近代的な取り扱いについては、see 。初等的な取り扱いについては、see 。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「外積代数」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Exterior algebra 」があります。




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