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exergy =========================== ・ ー : [ちょうおん] (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
エクセルギー () とは、『系が外界とのみ熱・仕事を交換しながら、外界と平衡するまで状態変化するとき、系から理論上取り出せる最大の仕事量』のことである。availability、available energy、有効エネルギー などとよばれることもある。 熱力学第二法則によると、熱を仕事に変換するには常にカルノー効率による制約が伴うので、熱に関連したエネルギーを扱うときには、そのうちの有効に仕事に変換できる部分とできない部分とを区別して扱うことが必要である。前者がエクセルギーとよばれる〔 石谷清幹著編、『熱管理士教本 エクセルギーによるエネルギーの評価と管理』、共立出版 (1977)、ISBN 4-3200-8000-9. (絶版:理論編は文献 2. に継承)〕〔 久角、中西、毛利、『エクセルギーデザイン学の理解と応用 続熱管理士教本』大阪大学出版会 (2012)、ISBN 978-4-87259-414-0〕〔 高橋秀俊、エクセルギー 応用物理 第48巻 第8号 pp745-750 (1979)〕〔 押田勇雄、『エクセルギー講義』、太陽エネルギー研究所(1986)、ISBN 4-320-09704-1 C3050.〕。 熱力学第一法則(エネルギー保存則)は常に成り立つので、外界を含めた拡大系では、エネルギーの量は一定不変である。「省エネルギー」、「エネルギーを節約する」と言うときの「エネルギー」は、「エネルギーの価値」、「エネルギーの質」の意味であり、これがエクセルギーに対応していると考えられる。省エネルギーを念頭において機器の開発や改良を行う際には、エクセルギーを用いた評価法は極めて有力な手段となる。 == 歴史 == 「熱から最大いくらの仕事が取り出せるか」との問題に最初に答えようとしたのは、サディ・カルノー((N. L. Sadi Carnot))であり(1824)、その四半世紀後に、トムソン(W. Thomson, Baron Kelvin)、クラウジウス(R. J. E. Clausius)らが熱力学を確立する基礎となった。このカルノーの問題意識はエクセルギーに対する問いそのものであり、熱力学第二法則がその答えとなっている。 availability という用語は、1868年に初めてテイト(P. G. Tait) の書籍で「熱の仕事として利用できる度合い」の意味で用いられた。マクスウェル(J. C. Maxwell)やトムソンはこれを available energy とよんでいた。1873年にギブズ(J. W. Gibbs)が available energy の解析的表示を提示し、自由エネルギーの概念を発表した。1889年にグイ(Louis Georges Gouy)が ギブズと同様な表示式を提示し、1898年にストドラ(Aurel Stodola)がエントロピー発生とエクセルギー損失の関係(グイ・ストドラの定理)を発見した。アメリカでは、1930年代にキーナン(J. H. Keenan)が availability と命名して、熱力学的概念の確立と普及に大きく寄与した。 エクセルギー概念が普及するにつれ、日用語と区別できる名称の必要性が認識され、1956 年にユーゴスラビア(現スロヴェニア)の工学者 ゾラン・ラント(Zoran Rant) がエネルギー(en + ergon; 内への仕事)にならって、ラテン語由来の接頭辞 ex (外へ) とギリシア語 ergon (仕事) の合成語として、エクセルギー(exergy)の術語を提案した。現在ではほぼエクセルギーが一般的に使用されている〔〔R. W. Haywood, "A Critical Review of the Theorems of Thermodynamic Availability, with Concise Formulations", Journal of Mechanical Engineering Science, vol.16 no.3, pp.160-173 & vol.16 no.4, pp.258-267(1974).〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「エクセルギー」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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