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エンシエロ()は、祭礼などで牡牛の群れの前を人間が走る行為。前を走るのは人間だが、日本語では牛追いとも表記される。スペイン語のエンセラール(encerrar、囲う)という動詞に由来する。 エンシエロはスペインやラテンアメリカの多くの村(pueblo)やいくつかの都市(ciudad)での祝祭における伝統的な闘牛の慣習のひとつである。 先頭牛に率いられたある一定の数の牡牛(toro)、若牡牛(novillo)、若牝牛(vaquilla)などの群れの前を走ることである。一般的に牛たちにより近いポジションで、牛と接触せずに走るのが優秀な走り手とされる。慣れていない走り手が躓いたり、混雑により走路が渋滞状態になることがこの祝祭行事における最大の危険である。 一般にエンシエロは、闘牛祭り期間の毎日午前に、一つの柵もしくは二重の柵が設置された市街地ルートで行われ、エンシエロの牛のうちの6頭の牡牛は午後に行われる闘牛に登場する牛である。 自治体によって走り手の年齢制限が定められている場合がある。例えばサン・セバスティアン・デ・ロス・レイジェスでは16歳以上と決められているが、一般的には年齢制限はない。 スペイン・ナバーラ州パンプローナのサン・フェルミン祭で行われるエンシエロがもっとも有名である。この行事は、牡牛が夜間を過ごした屋外の囲い場から闘牛場に輸送する必要性に由来する。パンプローナなどの町では、エンシエロに使用された6頭の牛が同日午後にで行われる闘牛にも使用される。牡牛をルートに沿って誘導し、路地に入らないようにするため、エンシエロの開始前にはルートに木製または鉄製の柵が設置される。参加者が危険を感じた際に素早くルートから脱出できるように、柵が二重に設置されている個所もある。二重部分は人間が避難するのに十分な幅だが、牡牛は阻止できる程度に狭く作られる。 == 歴史 == 記録に残る最古のエンシエロは、1215年にカスティーリャ地方(現セゴビア県)のクエリャルで行われたものであり、夜明け前に牧童たちが牧場から村までの6.5kmを走ったとされている〔川成洋・下山静香『マドリードとカスティーリャを知るための60章』(エリア・スタディーズ), 明石書店, 2014年, p.112〕。牡牛を市場まで移動させる際、牛飼いは恐ろしく刺激的な方法を用いて牛を急がせた。この数年後、牛を速やかに移動させることは競技のひとつとなり、若者は追い抜かされることなく牡牛の前を走って牡牛を囲いに入れることに挑戦した。この習慣はやがて人気を増し、またスペインの都市人口が増加するとますます注目されるようになり、伝統となって今日に至っている〔Running of the Bulls 2011 Live Stream (Event Information) 〕。フランコ政権下ではエンシエロ自体が禁止されたが、には闘牛をしのぐ人気となり、1982年には左派のスペイン社会労働党(PSOE)政権がフランコ時代の牛追い禁止令を廃止した〔野々山真輝帆『スペインを知るための60章』(エリア・スタディーズ), 明石書店, 2002年, p.276〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「エンシエロ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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