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エントロピー()は、熱力学および統計力学において定義される示量性の状態量である。熱力学において断熱条件下での不可逆性を表す指標として導入され、統計力学において系の微視的な「乱雑さ」〔「でたらめさ」と表現されることもある。ここでいう「でたらめ」とは、矛盾や誤りを含んでいたり、的外れであるという意味ではなく、相関がなくランダムであるという意味である。〕を表す物理量という意味付けがなされた。統計力学での結果から、系から得られる情報に関係があることが指摘され、情報理論にも応用されるようになった。物理学者ののようにむしろ物理学におけるエントロピーを情報理論の一応用とみなすべきだと主張する者もいる。 エントロピーはエネルギーを温度で割った次元を持ち、SIにおける単位はジュール毎ケルビン(記号: J/K)である。エントロピーと同じ次元を持つ量として熱容量がある。エントロピーは一般に記号 を用いて表される。 == 概要 == エントロピーは、熱力学、統計力学、情報理論など様々な分野で使われている。しかし分野によって、その定義や意味付けは異なる。よってエントロピーを一言で説明することは難しいが、大まかに「何をすることができて、何をすることができないかを、その大小で表すような量」であると言える。 エントロピーに関わる有名な性質として、熱力学におけるエントロピー増大則がある。エントロピー増大則は、断熱条件の下で系がある平衡状態から別の平衡状態へ移るとき、遷移の前後で系のエントロピーが減少せず、殆ど必ず増加することを主張する。断熱条件の下で系の平衡状態が から への遷移が可能な場合、系のそれぞれの平衡状態におけるエントロピーの間には の関係が成り立つ。等号が成り立ち、状態を移る前後でエントロピーが変化しない場合には、逆向きの から への遷移が可能である。逆向きの遷移が可能なのは準静的な断熱過程だけである。逆向きの断熱過程が存在しないならば、状態の遷移に伴ってエントロピーが必ず増加する。 エントロピー増大則は熱力学の特徴である可逆性と不可逆性を特徴付ける法則であり、エントロピーは熱力学における最も基本的な量である。 エントロピーに関する法則としてもう一つよく知られるものに、統計力学におけるボルツマンの原理がある。ボルツマンの原理は、ある巨視的な系のエントロピーを、その系が取り得る微視的な状態の数と関係づける。微視的な状態数が のときのエントロピーは で表される。比例係数 はボルツマン定数と呼ばれる〔IUPAC Gold Book〕。系の巨視的な状態は、系のエネルギーや体積、物質量などの巨視的な物理量の組によって定められるが、それらの巨視的な物理量を定めたとしても系の微視的状態は完全には定まらず、いくつかの状態を取り得る。状態数とは巨視的な拘束条件の下で可能な微視的状態の数を見積もったものである。ボルツマンの原理から、可能な微視的状態の数が増えるほどにエントロピーが大きいことが解る(対数は狭義の単調増加関数である)。逆に、微視的状態が確定する〔ここでいう「微視的状態が確定する」ということは、あらゆる物理量の値が確定するという意味ではなく、なんらかの固有状態に定まるという意味である。従って量子力学的な不確定性は残る。〕 の状況ではエントロピーが となる。可能な微視的状態の数が増えるということは、巨視的な情報しか知り得ないとすれば、それだけ微視的世界に関する情報が欠如していると捉えることができ、この意味でボルツマンの原理はエントロピーの微視的乱雑さを表す指標としての性格を示している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「エントロピー」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Entropy 」があります。 スポンサード リンク
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