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カクテル : ウィキペディア日本語版
カクテル

カクテル()とは、ベース(基酒)となるに、他の酒またはジュースなどを混ぜて作るアルコール飲料のこと。混酒。ただし、アルコール分を含まないか、1%未満程度のノンアルコールカクテルもある。
カクテルを具体的に表現したとき、しばしば「酒+何か」と表現される〔2007新版 HBAバーテンダーズオフィシャルブック p188〕〔読むカクテル百科 p17〕〔新版バーテンダーズマニュアル p218〕。例えば、スタンダードなカクテルとして紹介される「スクリュー・ドライバー」というカクテルは、「ウォッカオレンジ・ジュース」で構成されており、この表現に当てはまる。しかし、「マティーニ」というカクテルは「ジンドライ・ベルモット」、つまり「酒+酒」ということになる。
ここから、カクテルをより正確に定義づけるには「酒+その他の酒 and/or その他の副材料」と考えることができる〔2007新版 HBAバーテンダーズオフィシャルブック p188〕〔「新版バーテンダーズマニュアル(p218)」では、「酒と何らかの材料を混ぜた飲料=ミクスト・ドリンク」と定義し、「酒+=カクテル=ミクスト・ドリンク」であるという解説を行っている。〕。
== 歴史 ==
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原始的なカクテルが作られはじめたのは、古代ローマ古代ギリシャ古代エジプトの時代だったと考えられている。これは、当時のアルコール飲料(ワインビールであった)の質が現代に比べてはるかに劣るものであり、その味を補正するための手段であった〔2007新版 HBAバーテンダーズオフィシャルブック p189 ~ p190〕〔読むカクテル百科 p43〕〔新版バーテンダーズマニュアル p221〕。
古代ローマ、古代ギリシャでは、そのまま保存したのでは劣化・酸化してしまうワインに熱を加え、凝縮したうえで副材料(草根木皮や粘土など〔読むカクテル百科 p46〕)を混ぜたものを保存していた。それを水で割って飲むことが一般的なワインの飲み方とされており〔読むカクテル百科 p47-48〕〔そうしない者は酒に耽溺する者、つまり現在におけるアルコール依存症患者として扱われ、非難を受けていたことが参考文献「読むカクテル百科(p48)」や「新版バーテンダーズマニュアル(p221)」によって紹介されている。〕、これは「酒+何か」の定義に当てはまる。
また、古代エジプトではビールにさまざまな副材料を加えたものが飲用されており、これには、カルミ(calmi、蜂蜜を加えたもの)、チズム(zythum、ういきょうサフランなどを加えたもの)、コルマ(korma、生姜蜂蜜を加えたもの)があった。こちらも「酒+何か」の定義に当てはまる。
他にも、原始的なカクテルとしては、で作られていた「ワイン+馬乳」というものがある。
このように、「常温」で飲まれていたカクテルであったが〔福西英三は、参考文献「読むカクテル百科(p48-49)」の中で、「従来行なわれている「ホット」「コールド」の分類に「常温」を加えるのが妥当」と述べている。〕、中世の時代になると、寒い冬の時期に「カクテルを温めて飲む」という習慣が生まれていく。その名残として、現代でもフランスヴァン・ショー()、ドイツグリューヴァイン()、北欧グレッグ(、)といったものが飲用されている〔読むカクテル百科 p55〕。さらに、中世は蒸留酒錬金術師たちによって作り出された時代でもあり、様々なカクテルが誕生した時代でもある。この時代に生まれたものとして特筆されるのはイギリス陸軍大佐フランシス・ニーガス()が考案したニーガス(、ポート・ワイン+湯+砂糖+レモンナツメグブランデー)、インドが発祥といわれる「パンチ・スタイル」がある〔(2007新版 HBAバーテンダーズオフィシャルブック p189、読むカクテル百科 p56)。〕。
近年では、を用いた「コールド・ドリンク」が主流であるが、そうしたカクテルが登場するのはずっと後、19世紀末から20世紀初頭になってからのことである。「氷は近代になるまで貴重品であったから」というのがその理由であった〔読むカクテル百科 p52〕が、1876年にカール・フォン・リンデ製氷機を開発したことによって、一年を通していつでも氷を入手できるようになった。これにより、「マティーニ」や「マンハッタン」といった、新しいジャンルの、現在ではカクテルの代表格とされるレシピが発案されていったのである。
それらの新しいカクテルはアメリカで生まれたものであったが、第一次世界大戦禁酒法により職を失ったバーテンダーヨーロッパへ移っていったことによって、全世界に広がっていくことになったのである。
1920-30年代のヨーロッパにジャズなどのアメリカ文化が流入し、その一端としてカクテルブームが起きた。イギリスでは第一次世界大戦以前はディナーの前に酒を飲む習慣はほとんど無かったが、アフタヌーン・ティーの時間に女性も含めた仲間が連れ立ってホテルのバーなどに集まり、強いカクテルを飲むことが当たり前のようになった〔当時の雰囲気はアガサ・クリスティの『名探偵ポワロ』シリーズなどが参考になる。〕。カクテル・タイムと呼ばれるこの新しい習慣は、若い世代を中心にあっという間に受け入れられた〔海野弘 『酒場の文化史』 講談社学術文庫、2009年、pp198-202〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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