|
クナーファ( UNGEGN式: Kunāfah)は、中東とバルカン半島の菓子(ペイストリー)、またはその材料となる、小麦粉で出来た細麺状の生地である。クナーフェ、クナフェ、ケナーフェなどと発音および表記する場合もある。 == 概要 == *クナーファ生地は水と小麦粉から作られ、これを網の目を通して熱したローラーに押し出すことによって成形する。生地は伝統的に量り売りされる。。 *菓子クナーファは地域によって異なるが、概ね、クナーファ生地でフレッシュチーズやナッツ(クルミやアーモンド)、濃厚なクリーム(カイマクなど)を挟むか包んで焼き上げシロップをかけた菓子である。形状には2層のクナーファ生地の間にフィリングを挟んだものと、クナーファ生地でフィリングを巻いたものの2種類があり、前者は大きな浅いトレーで調理される。チーズやクリームのクナーファは温かいうちに食べられ、ナッツのクナーファは冷やしても食べられる。クナーファ生地を揚げるか焼くかした後に蜂蜜をかけ、その上にクリームか刻んだナッツをかけるとクナーファ・ビル・アッサル(كنافة بالعسل)と呼ばれる。レバノンでは、チーズのクナーファをゴマをまぶしたカアク(كعك)というパンに挟んで朝食に食べることがある。 *起源はファーティマ朝である。13世紀半ばアイユーブ朝時代末期の『友人との絆』(al-Wuṣla ilā al-ḥabīb)というアラビア語の料理書などに言及され、千夜一夜物語にも靴直しのマアルフとその女房ファティマーなどにしばしば登場する。イスラム教のラマダーン期間中に好まれるデザートとして、カターイフとともに最もよく知られている〔The Ramadan Experience in Egypt アッシャルクル・アウサト2007年10月4日(英語)〕。アラブ世界以外で名称にカターイフとの混乱がみられるのは、かつてクナーファ生地とカターイフがどちらも同じ生地から、タバク(طبق)という鉄板を用いて作られていたためである〔。 *エジプトのクナーファ(コナーファ)のフィリングには、ナッツにレーズンを加えたものやカスタードクリーム、クリームを包んだものもある。 *イラクでは、クナーファ生地でナッツを巻いたものはバクラーワ・シャアリーヤ(بقلاوة شعرية、「細麺バクラヴァ」)、焼き色をつけずに仕上げたものをバクラーワ・バッルーリーヤ(بقلاوة بلورية、結晶バクラヴァ)と呼び、チーズやクリームをクナーファ生地の間に挟んで大きなトレーで調理したものをクナーファと呼ぶ〔。 *モロッコでは、きつね色に揚げたワルカ(ورقة)という薄い生地の間に揚げたアーモンドとアーモンドミルクの甘いソースを挟んで層状にしたデザートをケネッファと呼ぶ。 *トルコでは、クナーファ生地をカダユフ()と呼び〔、稀にガダイフと表記する。〕、菓子クナーファをキュネフェ(:tr:Künefe)または カダユフ・ドルマ(「カダユフ包み」)と呼ぶ。カダユフ・ドルマに関しては、ルーツの論争がある〔お菓子のルーツ論争、今度はカダイフ? 「アルメニア人に渡すな」とエルズルムの菓子職人(2006年5月24日付 Radikal紙) 東京外国語大学「日本語で読む中東メディア」("News from the Middle East")〕。カダユフ生地をパンで代用すると、エクメク・カダユフ(Ekmek Kadayıfı)というブレッドプディング風の菓子となる。 *ギリシアではクナーファをカタイフィ()と呼び、カスタードクリームやナッツを包む。 *ブルガリアでは生地と菓子両方をカダイフと呼び、ナッツを包む。 *アルメニアではナッツを包んだ菓子をテル・カダイフまたはクナフェ、チーズを包んだ菓子をバニロフ・テル ・カダイフと呼ぶ。前者には好みでイチゴやカイマクを添え、後者にはシロップをかけた後で刻んだピスタチオをふりかける。 *フランス料理やイタリア料理ではクナーファ生地をカダイフと呼び〔、デザートのほか、魚や肉を包んで調理するのに使用される。 File:Kanafeh.jpg|東エルサレムのクナーファ File:Kunafeh.jpg| File:Knafe on a plate.jpeg| クナーファ File:Künefe.jpg| トルコのキュネフェ File:Kadayif.jpg|カダユフ File:Kaymaklı Ekmek Kadayıfı.jpg|カイマクル・エクメク・カダユフ(カイマクを添えたパンのカダユフ) File:Kadaif in Sofia Bulgaria 20090404 002.JPG|ソフィアのカダイフ == 世界記録 == パレスチナでは、クナーファ・ナーブルシーヤ(:ar:كنافة نابلسية)と呼ばれるクナーファがナーブルスの名物とされる。2009年、巨大なクナーファでギネス・ワールド・レコーズに挑戦した〔パレスチナで巨大ケーキ、ギネスに挑戦 AFPBB News 2009年7月19日〕〔أكبر سدر كنافة في العالم ... نابلسي بامتياز アル・アヤーム新聞(:en:Al-Ayyam) 2009年7月19日(アラビア語)〕〔فلسطين تدخل موسوعة جنيس للارقام القياسية بالكنافة النابلسية Ma'an通信(:en:Ma'an News Agency) 2009年7月19日(画像)〕 。 *日時: 2009年7月18日 *場所: パレスチナ自治区ナーブルス *企画人: ムハンナド・アル・アラビ() *動員数: 100,000人 *ケーキのデータ *寸法: 幅105-110cm、長さ74m *重量: 1,765.011kg〔材料の総重量が1,765.011kgを上回ることから、トッピングに使用した分の重量は、この1,765.011kgから除外されている。〕 *材料: セモリナ粉700kg、ジブン・ナーブルシー(:en:Nabulsi cheese、ナーブルス産のフレッシュチーズの一種)600-700kg、乳脂肪分360kg、ローズウォーター(:en:Rose water)、砂糖300-400kg、ピスタチオ40kg *製作人員: 170人の菓子職人 *製作費用: $15,000($30,000という説もある) == 脚注 == ==関連項目== *レバノン料理 *トルコ料理 *ギリシア料理 *カターイフ *バクラヴァ de:Kadaifi tr:Kadayıf 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「クナーファ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Kanafeh 」があります。 スポンサード リンク
|