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カドミウムイエロー (cadmium yellow) は、黄色の無機顔料のひとつ。組成は、硫化カドミウム (CdS) 及び硫化亜鉛 (ZnS) である。硫化セレン (SeS) を含有する。硫化亜鉛が多くなるほどは白くなる共に青味が増し、硫化セレンが多くなるほど黒く(暗く)なると共に赤くなる。 硫化カドミウムは天然には硫カドミウム鉱として存在する。カドミウム黄〔『絵具材料ハンドブック』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1997/4(新装普及版) ISBN 4805502878 〕とも呼ばれる。絵具などを作った場合、その絵具はカドミウムイエローと呼ばれる。顔料と絵具を区別する必要がある場合、絵具がカタカナ表記で顔料が漢字表記というのが原則〔『絵具の科学』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1994/5(新装普及版) ISBN 480550286x〕であり、この場合絵具をカドミウムイエロー、顔料をカドミウム黄と区別する〔『絵具材料ハンドブック』 ホルベイン工業技術部編 中央公論美術出版社 1997/4(新装普及版) ISBN 4805502878 〕。カドミウムイエローのColour Index Generic Nameは、Pigment Yellow 37〔The Color of Art Pigment Database : Pigment Yellow, PY 〕、カドミウムジンクイエローのColour Index Generic Nameは、Pigment Yellow 35である〔。 == 概説 == 硫化カドミウムを主成分とするものは橙黄色~鮮黄色を呈し、硫化カドミウム-硫化亜鉛(硫化カドミウムと硫化亜鉛の固溶体)を主成分とするものは鮮黄色~淡黄色。着色力が大きく、耐アルカリ性・耐熱性・耐光性に優れているが、耐酸性が低く、カドミウムを含んでいるため有毒で高価である。かつては優れた耐熱性を利用してプラスチックの着色に多く使われてきたことでも知られている。アゾ系の黄色有機顔料が登場してからも、鮮明性に優れている為、塗料・インク、プラスチック・ゴム・ガラス・陶磁器の着色に使用されてきた。その後、カドミウムイエローと同等の堅牢性を持つ比較的鮮やかな黄色無機顔料のビスマスバナジウム黄が登場してからも依然として流通している。2007年現在カドミウムイエローは絵具やプラスチックの着色に使われるのみとなっている。カドミウムイエローは淡色のものは淡色のビスマスバナジウム黄にも似た色合いであるが、濃色のカドミウム黄は濃色のビスマスバナジウム黄では到底及ばない、高彩度で不透明性の高い無機顔料である。 黄色絵具に使用される顔料としてアゾ系有機顔料はポピュラーであるが、有毒なカドミウムイエローも未だ使用されている。カドミウムイエローは高い不透明性と彩度により描画効率がよく、堅牢性にも優れる為に多くの画家に愛用されている。カドミウムイエローはその原料であるカドミウムが貴重な上、有害である。硫化亜鉛を完全に除去することは不可能であり、製造・供給されているカドミウムイエローは全て、硫化カドミウム-硫化亜鉛からなるカドミウム黄である。特にヨーロッパでは低公害化の動きが活発で、Pigment Yellow 35が多く流通している。しかしながら日本では2009年現在Pigment Yellow 37、Pigment Yellow 35ともに流通しており、絵具も販売されている。絵具においては、先述の性質から人気が高く、カドミウム黄の優れた特性を全面的に具えた代替物は存在しない〔「WINSOR&NEWTON Artist's Water Colour Perfecting the Fine Art of Water Colours ― パーフェクトな水彩絵具を目指して ―」Winsor & Newton〕。したがって、代替顔料はカドミウム顔料が持つ優れた特性を必要としない場合にこそ勧められる。また、世間ではカドミウム化合物が環境に及ぼす影響を懸念する声が一部存在するが、絵具メーカーが使用するカドミウム顔料は、実用において他の物質に溶け出すことは無い。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「カドミウムイエロー」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Cadmium pigments 」があります。 スポンサード リンク
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