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カド番 ( リダイレクト:角番 ) : ウィキペディア日本語版
角番[かどばん]

角番(かどばん)は、大相撲本場所において負け越しをした場合に、その地位から陥落するという状況である。現在では、大関の地位にいる現役力士らに対して、この概念がよく用いられている。また、永く幕内に定着していた力士が負け越せば十両落ちの危機にある場合にも、この表現が適用される事が有る〔例として2009年7月場所の出島武春は十両陥落の危機にあり、場所中の朝日新聞の記事に「幕内角番」と説明された。〕。但し大関と同じ三役の地位ながら、1場所の負け越しでほぼ陥落が決まる関脇小結の現役力士に対して、「角番」という表現は殆ど用いられない〔関脇・小結の地位で7勝8敗の負け越しで、幕内上位に勝ち越した力士が少ない時は、翌場所も運良く同じ地位に留まれる場合が有る。〕。さらに新聞などでは「」の漢字を「かく」「つの」等と読み間違えしない配慮で「カド番」「かど番」とかな字で表記する場合が多い。
==概要==
大相撲においては、負け越しの場合に番付が下がることが普通であるが、その地位に上がるための規則が変則的な大関については、異なる基準によってその陥落を決めている。なお、大相撲の最高位である横綱については、下位になるという規定がないため、負けが込んだ場合については、より重い「引退」という決断をしなければならない〔かつて1953年に、第41代横綱・千代の山が休場等の続く成績不振で「大関降格」を自ら申し出たことがあったが、認められなかった経緯がある。〕。
大関の地位では、本場所で負け越しをしたその翌場所が「角番」と言われるようになる。その大関角番の場所で勝ち越しすれば、「角番を脱出する」と言う。なお大関に関して、本場所を2場所連続で負け越すと大関の地位から陥落するという制度は昭和初年に確立したが、この頃は復帰に関しての特に明確な規定は存在していなかった(1949年1月場所に関脇へ転落した汐ノ海が、1950年1月場所で再び大関に復活したのが唯一のケースである)。その後、1958年に年6場所制が実施されたときに、「3場所連続負け越し」で陥落することに定められた(この制度下での大関陥落者は、松登(昇進当時は2場所連続負越で降下)と若羽黒の二力士)。しかし「これでは甘過ぎる」という意見も出たために、1969年7月場所からは再び「2場所連続負け越し」での降下に改められた。
大関が角番の場所で負け越すと、翌場所関脇に陥落が決まるものの、その関脇に転落した直後の場所に限り、取り組み日数(現在通常15日)の三分の二以上の勝星(同10勝)〔国家的な行事、突発的な災害などにより日数に増減があった場合は実際の取り組み日数に基づく(例:13日に短縮された場合、9勝以上)。〕を挙げれば特例として大関に復帰できるという救済措置もその際に定められ、現在に至る。ただし関脇に転落した場所で規定数の勝星を挙げられなかった場合、大関に復帰するには新大関昇進の時と同様、三役(関脇・小結)の地位で3場所続けて優秀な成績を挙げなければならない(3場所合計33勝以上が目安)ので、9勝以下に終わった場合は、「完全に大関から陥落」となってしまう。1969年5月場所以前の「3場所連続負け越しで陥落」という制度では「負越→負越→8勝」で大関に残留出来たが、現行制度では「負越→負越→10勝」と一旦関脇陥落後に大関特例復帰と、少し厳しくなった。
なお、かつて大相撲で公傷制度が実施されていた時は、公傷が認められた全休場所はカウントされず、その翌場所が角番場所となっていた。公傷制度が始まった1972年1月場所当初は、大関のみ適用外であったが、1983年5月場所からは大関も公傷適用の対象に該当された〔大関で最初に公傷適用された力士は1983年9月場所の朝潮、大関で最後に公傷適用された力士は2003年1月場所の栃東だった。〕。しかしその後、場所中に公傷適用による休場力士が増加し、さらに当時の大関陣が休場すれば公傷と認定される弊害が多く出た理由もあって、2003年11月場所限りで公傷制度は廃止となった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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