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ドーベン・ウルフ (DÖVEN WOLF) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ(MS)」の一つ。初出は、1986年放送のテレビアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』。 作中の敵側勢力である「ネオ・ジオン軍」の量産機で、ニュータイプや強化人間などの超常的な能力者しかあつかえないサイコミュ武装を一般人用に改良した、簡易サイコミュ武装を装備しているのが特徴。ほかにも多彩な武装を内蔵しており、高い火力を持つ。劇中では、ラカン・ダカランらスペース・ウルフ隊の主力機として6機が登場する。 本項では、『ガンダム・センチネル』に登場する原型機「ガンダムMk-V(ガンダム・マークファイブ)」、『機動戦士ガンダムUC』の漫画版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』を初出とする改修機「シルヴァ・バレト」の解説も併記する。 == 機体解説 == ハンマ・ハンマの時点では完成していなかった一般兵用サイコミュ兵器(準サイコミュ兵器)を初めて本格的に搭載した量産機。 位置づけとしてはネオ・ジオンが入手したサイコガンダムMk-IIの一般兵用の小型量産機であり、また地球連邦軍よりアクシズに亡命したローレン・ナカモト博士が持ち込んだガンダムMk-Vの発展型でもある〔実際はベースとなった機体として、ガンダムMk-VかサイコガンダムMk-IIのいずれか一方しか記載していない資料が多く、どちらにも定まっていない。両方記載しているものとしては『Gジェネレーション』シリーズのプロフィールがある。『機動戦士ガンダムUC プリズマティック・モビルズ』ではガンダムMk-Vを元に、サイコガンダムMk-IIの武装データを使用したとしている。HGUCドーベン・ウルフ(ユニコーンVer.)説明書ではガンダムMk-Vとの明記はなく、ベースとなったのはインコムを装備した連邦軍の試作機と説明されている。〕。 同時期に開発されたザクIIIとの競合に勝利したという設定ながら、ネオ・ジオンの中ではグレミー・トト率いる反乱軍のみが所有しているとされ〔このことは『機動戦士ガンダムΖΖ』劇中で明言している。〕、ラカン・ダカラン率いるスペース・ウルフ隊を中心に配備された。 基本フレームはMk-Vを踏襲しつつ、サイコガンダムMk-IIの各種火器を20メートル級MS用に小型化した上で搭載している。機能的には第4世代MSに分類され、その総合火力はΖΖガンダムにも匹敵する。この機体ではパイロットの微弱な感応波を増幅する技術を応用し、コンピュータの補助によりニュータイプ能力の低い一般パイロットにも有線ハンドビームやインコムといったサイコミュ兵器の使用を可能にした。 ネオ・ジオン側の準サイコミュ開発は連邦側の物に比べ遅れており、ニュータイプが搭乗しないと使用できないものだったが、ローレンの参加とガンダムMk-Vの存在によって、一般パイロットにも使用可能なものとなった〔角川書店『機動戦士ガンダムUC プリズマティック・モビルズ』66頁。〕。 通常のサイコミュほど複雑な操作はできないとされるが、その詳細は資料によって若干内容の揺れがある。パイロットの脳波をサンプリングしているとも〔ムック『ガンダム・センチネル』292頁。〕、あくまでもコンピュータによって擬似的にサイコミュ的挙動を再現しているに過ぎないともいわれている〔『データコレクション 機動戦士ガンダムZZ』71頁。〕。インコムとハンドビーム(無線タイプ含む)はサイコミュ兵器に分類されるが、ミノフスキー通信は用いられていない〔『ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』76頁。〕。 それに加え、本機の準サイコミュはこれら遠隔兵器の操作のみならず、本機の多数の火器管制にも使用されているという〔角川書店『機動戦士ガンダムUC プリズマティック・モビルズ』69頁。〕。 なお現在の設定では準サイコミュはガンダムMk-Vからもたらされた地球連邦側の技術だが、古い資料ではネオ・ジオン側の技術としているものもある〔『ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』76頁。原型機がG-Vであるというモデルグラフィックス誌による設定より後発。〕。 。 ; 有線ハンドビーム : 掌にビーム砲があり、サイコガンダムMk-IIのように前腕部を切り離してオールレンジ攻撃ができる。有線タイプと無線タイプの二種類がある。 : 有線タイプはジオングのものと同様の遠隔操作のほか、敵機を掴み、電流で攻撃が可能。実際には劇中ではこちらの攻撃でしか使っておらず、動きも直線的なものであった。 : 指揮官機(ラカン・ダカランが搭乗したタイプ)はレーザー通信による無線通信で操作され、本体から分離して制御される。こちらは腕の発射後の本体に隠し腕が仕込まれており、マニピュレーターとしての機能が残るようになっている。また、かなり自由に操作されており、相手の武器をつかんで妨害したり、ビームサーベルで斬りかかることができた。 : 有線タイプ、無線タイプともに、劇中で本体から切り離した状態でビーム砲を使用する機会はなかった。掌のビーム自体は本体と接続した状態で発射する場面がある。 ; メガランチャー : 携行武器のビーム・ライフルは12.5MWの高出力を有し、本体腹部のメガ粒子砲に接続、加速器として用いることで最大出力40.2MWのメガ・ランチャーとして機能する。その威力は、マゼラン級宇宙戦艦を撃沈するものとされる。ただし、機体本体の固定武装となることで射角が限定されるほか、大量のエネルギー消費のため、連続使用は不可能である(劇中では接続したまま低出力で連射している)。 ; 胴体 : 腹部にサイコガンダムのようなメガ粒子砲があり、メガランチャーとして運用する際にはここにビームライフルを接続する。 : 脇の下にはグレネード弾やスモーク弾を発射可能な隠しランチャーがある。 ; バックパック : 中央部の突起にAMS-09R対艦ミサイルを装備可能(劇中未使用)。バインダーには多数のAMS-01H対MSミサイル(ガザDのものと同型)と、バインダー先端部のビームキャノンがある。 : 基部側には有線サイコミュ兵器・インコムが左右1基ずつ内蔵されている。リレーインコム(レーザー砲を搭載)という装置を経由することで方向転換し、自由な遠隔攻撃を可能としている。 ; その他 : 頭部にはバルカン砲を装備している。 : ビームサーベルは大腿部腰アーマーに内蔵され、後方攻撃用ビーム砲としても使用できる〔『ニュータイプ100%コレクション (7) 機動戦士ガンダムZZ』52頁。〕。 スペックノート上の推力値はオリジナルのMk-Vに比べ減少しているが、その推力はスペックがはるかに上のザクIIIを上回るともいわれている。姿勢制御スラスターは合計17基。 同時期に開発されたゲーマルクと比較して火力の点では一歩譲るものの(この評価は逆の場合もある)、一般兵用サイコミュを実用化した点でこちらのほうが評価が高かった。ネオ・ジオンの量産型MSとしてザクIIIと次期主力の座を争い、火力・推力面において上回っていたことからこれを下し少数が量産されているが、その後ネオ・ジオンが崩壊したこともあり、実質的な登場数はほぼ同数に留まっている。 ; 劇中での活躍 : スペース・ウルフ隊の乗機として第一次ネオ・ジオン抗争末期に6機が実戦投入され、ネオ・ジオン内乱時にはグレミー・トト率いる反乱軍に所属。隊長機であるラカン機は、その操縦技量と相まって正規軍のキャラ・スーン操るゲーマルクを圧倒するなど高い戦果を挙げる。また、彼の巧みな指揮の下、マシュマー・セロのザクIII改を部下たちとの連携で撃破する。 : しかし、スペース・ウルフ隊はザクIII改との戦いの前に1機、ザクIII改の自爆で1機、その直後にゲーマルクの攻撃を受け2機が撃墜され、ラカン機を含む2機のみとなる。その後ラカン機はゲーマルクを撃破寸前まで追い詰めるが、介入してきたジュドー・アーシタのフルアーマーΖΖガンダムと交戦し、撃墜される(小説版ではΖΖガンダムのハイ・メガキャノンの一撃で全機撃破される)。 : OVA『GUNDAM EVOLVE../10』では、第一次ネオ・ジオン抗争後に要人Mという人物が木星圏へと向かうジュピトリスIIに亡命する事件がおこり、それを阻むネオ・ジオン残党の追っ手として数機登場する。木星圏の高重力に対応した円盤状のサブフライトシステムに搭乗しており、隊長機は白く塗装されていた。最終的にはジュピトリスII所属のジュドー・アーシタの乗るΖΖガンダムによってオールレンジ攻撃を看破され、撃墜されている。インコムが映像作品で使用されたのはこれが最初の例である。 : 漫画『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』では、パラオの守備部隊の中に袖付きの装飾が施された機体が登場(機体色は青とグレー〔『月刊ガンダムエース2012年4月号』26頁。〕)。ユニコーンガンダムと交戦するが、ビーム・ガトリングガンによる銃撃を浴びて撃破される。 : 漫画『機動戦士ガンダムU.C.0096 ラスト・サン』ではブランダムール隊所属機として登場。元々はザミュ・サミュ大尉の搭乗機〔『機動戦士ガンダムU.C.0096 ラスト・サン』2巻39ページ。〕で、登録除外後にペンプティ・ラス曹長が整備を担当〔『機動戦士ガンダムU.C.0096 ラスト・サン』2巻39、56ページ。〕。赤と青に塗装され、右腕にクィン・マンサ用ビーム・サーベルが、左腕にハンマ・ハンマ用シールドがマウントされている。パイロットとして、誤射による味方殺しで収監されていたワークラッハ・バナム少尉が選抜される。 ; デザイン : メカニックデザインは明貴美加。企画時の名称はG-V(ジー・ファイブ)。すなわち、ネオ・ジオンが開発した(サイコ)ガンダムという設定であった。しかし、ガンダムをこれ以上出す必要はないという理由で没となり、頭部のデザインはクィン・マンサへ流用された。ガンダムMk-Vのデザインは本機の初期稿を元にしたものである。 : 本機登場当時、MSの設定の複雑化は劇中で演出表現しきれない域にまで達しており、さほど重要な役割ではなかった本機も過剰な武装が施され、最大の特徴であるはずのインコムをはじめ多くの武器を披露せずに終わっている。いくつかはゲーム作品で使用されているが、全てを再現した例はない。 : 『機動戦士ガンダムΖΖ』の放映末期、サンライズはアニメ製作用の塗料不足に陥っていたため、ドーベン・ウルフやゲーマルクの単色に近い色設定はその影響を受けている。なお、色指定は監督の富野由悠季によるもの〔大日本絵画『GUNDAM WARS II MISSION ΖΖ』157頁。〕。劇中ではグレミー軍用のカラーに塗装されそうになるのをラカンが激怒し、グレミー本人に直訴の末例外を認められるという一幕が描かれている。 目次に戻る 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ドーベン・ウルフ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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