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キンウワバトビコバチ
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キンウワバトビコバチ
キンウワバトビコバチ (''Copidosoma floridanum'') は、体長1mmほどの小さな寄生蜂の一種である。ハチ目(膜翅目)・コバチ上科・トビコバチ科に属する。キンウワバトビコバチは寄主であるキンウワバ亜科の卵に寄生し、寄主幼虫体内で発生を進めるkoinobiontの卵幼虫寄生蜂である。キンウワバトビコバチの寄主としては、イラクサギンウワバ (''Trichoplusia ni'') 、ミツモンキンウワバ(''Ctenoplusia agnata'')、ガンマキンウワバ(''Autographa gamma'')等のヤガ科に属する中型のガが知られている。これらは、ニンジン、ダイズ、ゴボウ、シソなどの害虫であり、局地的に大発生し大きな被害をもたらす。キンウワバトビコバチの一つの卵からは、1,000から2,000の個体(胚)が生じる。これは現在知られている多胚性昆虫のでも極端に多い例である。このため、多胚生殖のモデル生物として発生生物学と進化の研究に用いられている。 == 発生様式== キンウワバトビコバチは多くの膜翅目昆虫と同じく半倍数性の性決定を行い、受精卵からはメスのみが、未受精卵からはオスのみが発生する。それぞれの卵からは、多胚形成によって1個あたり2000の幼虫が生じる。またキンウワバトビコバチは同一寄主に対して受精卵と未受精卵を同時に産卵することが多く、この際には同じ寄主内に雌雄が混在することになる。この場合には必ずメスによるオス殺しが行われ、雌雄比は圧倒的にメスに偏る。 キンウワバトビコバチは寄生蜂でありながら、カースト制を持つという非常に珍しい種であり、多くの研究報告がなされている。一つの卵から発生する個体は遺伝的に全く同一、つまりクローンだが、2種類の個体分化があり、前期に分化する個体は不妊の兵隊幼虫となり、後期に発生するものは生殖個体(女王)となる。これらはそれぞれ早熟型、生殖型と呼ばれる。以前は早熟幼虫と呼ばれることの多かった早熟型であるが、近年の研究で競合相手に対して排他的行動を示すことが明らかとなったため最近は、ソルジャーと呼ばれることが多い。寄主であるキンウワバ幼虫は1から5齢があり、それぞれ2日程度ずつを経過する。キンウワバトビコバチのソルジャーは、寄主幼虫が1から4齢に、生殖型個体は5齢期に分化する。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「キンウワバトビコバチ」の詳細全文を読む
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