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ギャスケル ( リダイレクト:エリザベス・ギャスケル ) : ウィキペディア日本語版
エリザベス・ギャスケル

エリザベス・ギャスケルElizabeth Cleghorn Gaskell, 1810年9月29日 - 1865年11月12日)は、イギリス小説家
== 生涯 ==
1810年、ユニテリアン派の元牧師の末娘エリザベス・スティーブンソンとして、ロンドンチェルシーで生まれた。1歳で母を亡くすと、マンチェスター南郊の田舎町ナッツフォード(Knutsford)に住む母方の伯母に引き取られた。父の再婚によって生じた継母や異母弟妹との気まずい関係や、ただ一人の兄や父を相次いで亡くす不幸に苦しむことはあったが、概して平穏な幼少、青年期であった。21歳で父と同じ宗派の牧師ウィリアム・ギャスケル(William Gaskell)と結婚してマンチェスターに移り住むと、よき妻よき母として家庭を支えた。「いつもにこやかで穏やかでいらっしゃるから、回りにいる者はみな性格の一番よい面が出てしまう」とは、夫の生徒による夫人の印象である。34歳の時授かった長男を9ヶ月で病死させることがなかったら、作家エリザベス・ギャスケルが誕生することはなかっただろう。悲しみを癒すために書いた『メアリ・バートン』が、出版4ヶ月にして3刷りが出るほどの好評を博したのである。
彼女は一躍文壇に認められ、以降、英文学史に名を残す作家たちと交わることになる。「あなたの創作力は、少なくとも千一夜は続くに違いない」と書いて、彼女をシェヘラザードにたとえたチャールズ・ディケンズ。互いの人格と文学を尊敬しあい、自宅を訪ねあったシャーロット・ブロンテ。そして、「私の人生観や芸術観は、『メアリ・バートン』の作者のそれと似た部分がある」と告白したジョージ・エリオット、等々。
聡明で善良な性格であったギャスケルは、ディケンズのような個性の強烈さには欠けたが、善意をもって社会問題を捉え、ペーソスとユーモアに満ちた文体によって、特に中流階級の読者を教化することができた。ジョルジュ・サンドは「ギャスケル夫人の作品を読めば、それだけいい人間になることができる」と言っている。
ギャスケルはその後17年間に、長篇小説『ルース』『北と南』『シルヴィアの恋人たち』をはじめ、『クランフォード』『従妹フィリス』などを含む約40におよぶ中・短篇小説、および伝記『シャーロット・ブロンテの生涯』を著す。今日私たちがブロンテ姉妹を知るのは、この伝記によるところが大きい。長篇『妻たちと娘たち』の完成を目前に控えた1865年秋、ハンプシャーに買った別荘で急逝。55年の生涯に幕を閉じた。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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