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宅急便(たっきゅうびん)とは、ヤマト運輸が提供する宅配便サービスの商標である。黒い猫、通称「クロネコ」をトレードマークにしている。同社の親会社であるヤマトホールディングスの登録商標(第3023793号ほか)である。 == 沿革== 元々、当時の大和運輸(現・ヤマトホールディングス)は三越(現三越伊勢丹)や松下電器産業(現パナソニック)などの専属配送業者であったが、1960年代、全国に高速道路が整備され他社が長距離運送に参入していく中で大和運輸は乗り遅れ、ここにオイルショックが重なり、経営危機が噂されるほど業績が低迷した。 1971年に社長になった小倉昌男は、当時の運送業界の常識であった「集荷・配達に手間がかかる小口荷物より、大口の荷物を一度に運ぶ方が合理的で得」という理屈が誤りだと悟る。小倉は「小口の荷物の方が、1kg当たりの単価が高いのだから、小口貨物をたくさん扱えば収入が多くなる」と確信した。 また、当時、個人が荷物を送るには郵便局に持参する郵便小包(現在の「ゆうパック」に相当する宅配便サービス)があったが、重量は6kgまでであった。一方鉄道を利用する「チッキ」という制度があり、こちらは30kgまで送れたが、差出はしっかりと梱包し紐で縛って小荷物取り扱い駅に持参し、受取人は駅に取りに行かなければならないという制度であった。どちらも一つ一つの荷物の番号管理をしておらず、いつ届くのかさえわからないサービスであった。小倉昌男はこの状況を見て、サービスを向上させて参入すればライバルは存在せず、必ず成功すると確信した。 そして、1975年の夏「宅急便開発要項」を社内発表、現会長の瀬戸薫(当時27歳、グループ内最年少)を含む若手社員を中心としたワーキンググループが1975年9月から新商品開発を進めた。1976年1月23日「電話1本で集荷・1個でも家庭へ集荷・翌日配達・運賃は安くて明瞭・荷造りが簡単」というコンセプトの商品『宅急便』が誕生した。1日目の取扱量は11個だったが、その後急速に取扱量が増え、半年ほどで店に置ききれないほどの荷物がもちこまれる日も出るようになり、1976年度の想定取り扱いは20万個だったが、実際には170万個になった〔日本経済新聞1月6日付朝刊第11面〕。日本通運など他社も同様のサービスを開始した。全国津々浦々を網羅する営業所を作るには、警察が通報を受けて駆けつけるのと同じくらいの距離に営業所を置くのがよいとの考えから、1200署あった警察署の数を目標とし、取次店は郵便ポストの数を目標としたというエピソードがある。 その後も営業地域の拡大を続け、1997年の小笠原諸島での営業開始をもって、離島を含む全国展開が完了した。 1990年にアメリカの貨物航空会社大手UPSと提携、合弁会社「UPSヤマトエクスプレス」を設立をした際にヤマト運輸の営業所から日本国外に配送する「UPS宅急便」(現地ではUPSのドライバーが配達)というサービスもあったが、2004年に合弁解消と同時に終了し(日本国外への輸送に関しての提携は継続)。現在では「国際宅急便」を代替サービスとして提供している。 2000年(平成12年)から台湾統一速達とのライセンス契約により、日本国外へ進出した。なお、台湾でもセブンイレブンが取り扱い代理店となっているが、これはセブンイレブンを経営するのが、同じ統一企業グループだからである。 2010年より東アジア及び東南アジアでの宅配便業界へ進出を始め、1月にはシンガポールと中国上海で事業を開始した。今後はマレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、香港、北京などへの進出が計画されている。日本国外での名称は「TA-Q-BIN」としている。漢字文化圏では「宅急便」という名称も表記していく予定であるが、日本発ブランドとして差別化する意味もあり読み方として「TA-Q-BIN」も併記している。 2015年6月現在では、駐車禁止の規制強化とエコロジーの両面から、都心部では数kmおきに営業所を設置、営業所までトラック輸送した後、そこから先は自転車や台車で配達している。それ以前からも東京銀座地区など都心の一部ではリヤカーで配達している。京都市では京福電気鉄道と提携し、路面電車とリヤカーを併用して集配業務を行ったり〔[クロネコヤマトの宅急便電車]路面電車を使った配達サービス 京都で開始 - Response・2011年5月18日〕、岩手県では岩手県北自動車と提携し、トラック輸送の代わりに106急行バスの車両を改造して営業所へ輸送する試みも行われている〔路線バスを活用した宅急便輸送「貨客混載」の開始について ヤマト運輸 2015年6月3日〕〔路線バスで荷物も輸送 県北自動車とヤマト運輸 岩手日報 2015年6月4日〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「宅急便」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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