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カリス()は、ギリシア神話に登場する、美と優雅を司る女神たち。複数形はカリテス()。通常はゼウスとオーケアノスの娘エウリュノメーの娘たちとされるが〔ヘーシオドス、907~909。アポロドーロス、1巻3・1。ヒュギーヌス、序文。〕、母親はヘーラーとする説も多い。また、ヘーリオスとヘスペリスたちの一柱アイグレーの娘たち〔アンティマコス(パウサニアス、9巻35・5の引用)。〕、あるいはディオニューソスとアプロディーテーの娘たちとする説もある。ローマ神話にも取り入れられ、グラティア(Gratia、複数形グラティアエ, Gratiae)と呼ばれた。英語読みグレイス(Grace、複数形グレイシーズ, Graces)でも知られる。 元々人数は不定であったらしい。ヘーシオドスの『神統記』によれば、美しき水の女神・エウリュノメーの娘たちとしてアグライアー(「輝き (aglaia)」)、エウプロシュネー(「喜び (euphrosyne)」)、タレイア(「花盛り (thaleia)」)の3柱の名があげられており、一般的にはこの「三美神」がよく知られているが、他の叙事詩ではパーシテアー(「万物の女神 (pasithea)」)〔『イーリアス』14巻。〕、カレー(「美女 (kale)」)〔高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.100b。ロバート・グレーヴス『ギリシア神話』。〕、アウクソー(「成長 (auxo)」)とヘーゲモネー(「女王 (hegemone)」)〔パウサニアス、9巻35・2。〕、クレーター(「呼ばれる女 (kleta)」)とパエンナ(「輝く女 (phaenna)」)〔パウサニアス、3巻18・6、9巻35・1。〕、カリス(「優雅 (Charis)」)〔『イーリアス』18巻。〕などの名が挙げられている。また、ペイトー(「説得 (Peitho)」)もカリスの1柱と言われることがある〔パウサニアス、9巻35・1。〕。 パーシテアーはホメーロスの『イーリアス』に登場することでよく知られており、パーシテアー、カレー、エウプロシュネーの3柱を、ノンノスの『ディオニュソス譚』ではパーシテアー、ペイトー、アグライアーの3柱をカリスたちとする説もある。また、アテーナイではアウクソーとヘーゲモネーの2柱以外にペイトーも加えた3柱を、ラコーニア地方ではクレーターとパエンナの2柱をカリスたちとしていた。後にラコーニア地方のスパルタではアグライアー、エウプロシュネー、クレーターの3柱を指すようになった。またヘーパイストスの妻をカリスの1柱とする説があり、一般的にはこれはアグライアーであるとされるが〔ヘーシオドス、945~946。〕、ホメーロスによれば単にカリスという名であるとされており〔『イーリアス』18巻。〕、カレーを指す場合とがある〔ロバート・グレーヴス『ギリシア神話』。〕。 明らかとなっているカリスたちは下表参照。赤字は古代ギリシアの壺絵に描かれた5人のカリスの名。 カリスたちは美や愛嬌、優雅といった美しい若い娘の姿であるとされる。オリュムポス山の山頂に住み、神々の宴ではアポローンの竪琴やムーサたちの歌声と共に演舞した。神々や人々に肉体的な美しさを表して喜ばせるだけでなく、精神的な部分においても優美を与えたといわれるため、美術だけでなく技術を志す人々にも信仰された。本来は春の芽生えの活力を表した神であったと考えられている。当然ながら、愛と美の女神となってからはアプロディーテーの従者とされるようになり、またその娘とする説も生まれた。 == 脚注 == 〔 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「カリス」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Charites 」があります。 スポンサード リンク
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