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===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ ー : [ちょうおん] (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
グレート・アトラクター()は、近傍宇宙の大規模構造の一つであり、いくつかの銀河および銀河団の特異運動からその存在が予測されている銀河間空間内の重力異常である。うみへび座・ケンタウルス座超銀河団の範囲内に位置し銀河系の数万倍の質量集中を持つと考えられている。これは、グレート・アトラクターが数億光年に渡る宇宙の領域内にある銀河とそれが属する銀河団の運動に及ぼす影響の観測から推定されたものである。 これらの銀河はすべてハッブルフローに従う赤方偏移を受けているが、これらの銀河の赤方偏移の偏差は、重力異常を観測するのに十分である。これらの赤方偏移の偏差は、特有速度 ()として知られているものであり、偏角 (銀河系、グレート・アトラクター、観測される銀河に挟まれる角)に応じておよそ +700 km/s から -700 km/s までの値を取る。 ==発見== 1973年にヴェラ・ルービン他が、最初に一様な宇宙膨張からの偏差が存在する兆候を報告する論文を発表した〔Rubin, Vera C., W. Kent Ford, Jr., & C. Krishna Kumar, “Stellar Motions Near the Nucleus of M31,” Ap.J. 181, 61-78 (1973).〕。ルービン他は1976年にも再度論文を発表している〔Rubin, Vera C., W. Kent Ford, Jr., Norbert Thonnard, Morton S. Roberts, & John A. Graham, “Motion of the Galaxy and the Local Group Determined from the Velocity Anisotropy of Distant Sc I Galaxies. I. The Data Ap.J. 81, 687-718 (1976).〕 〔Rubin, Vera C., Norbert Thonnard, W. Kent Ford, Jr., & Morton S. Roberts, “Motion of the Galaxy and the Local Group Determined from the Velocity Anisotropy of Distant Sc I Galaxies. II. The Analysis for the Motion,” Astronomical Journal 81, 719-37 (1976).〕。 その後、1987年に、David Burstein、Roger Davies、Alan Dressler、サンドラ・フェイバー、ドナルド・リンデンベル、 R.J. Terlevichおよび Gary Wegner は、連名の論文 〔Dressler, Alan; Faber, S. M.; Burstein, David; Davies, Roger L.; Lynden-Bell, Donald; Terlevich, R. J.; Wegner, Gary; 1987 ''Spectroscopy and photometry of elliptical galaxies - A large-scale streaming motion in the local universe'' 〕 において銀河系から2億光年以内の大型の銀河団はうみへび座とケンタウルス座の方向にある巨大引力源「グレート・アトラクター」に向かう共通の運動成分を持つと指摘した。 さらに、同じ著者たちによる1988年の論文〔Dressler, Alan; Faber, S. M.; Burstein, David; Davies, Roger L.; Lynden-Bell, Donald; Terlevich, R. J.; Wegner, Gary; 1988 ''Spectroscopy and photometry of elliptical galaxies. V - Galaxy streaming toward the new supergalactic center'' 〕において、彼らがサーベイを行った400の楕円銀河について、後退速度の宇宙マイクロ波背景放射 (CMB) を基準としたハッブルフローからのずれである特有速度を分析し、これらが銀河座標 l = 307°、b = 9°、後退速度 4350±350 km/s (ハッブル定数を 71 km/s/Mpc として距離約2.0±0.16億光年)にある一点に向って運動している考えると、この特有速度の分布をもっとも良く回帰できることを指摘した。 また、太陽の(そしてそれを含む銀河系の)ハッブルフローに対する特有速度 570±60 km/s が全てグレート・アトラクターで説明できると仮定した場合、その質量は 5.4×1016太陽質量程度(これはおとめ座銀河団の約20倍であり超銀河団に匹敵する)になることも指摘した。〔A3627 and the hunt for the Great Attractor - atlasoftheuniverse.com 〕 なお、近年の(ハワイ大学)らによる研究では、われわれの銀河系を含む局部銀河群の特有速度は約 631 km/s でおおよそケンタウルス座銀河団の方向に向っており、これらは次の3つの運動成分の合成であるとしている。第1の成分は局部銀河群を乗せてローカルシート全体がローカル・ボイドから約 259 km/sで後退する運動である。第2の成分はおとめ座銀河団とその周辺の銀河の引力によるものであり、約 185 km/sでおとめ座銀河団の方向に向かう。第3の成分がグレート・アトラクターによるものであり、約 455 km/s で向点はおおよそケンタウルス座銀河団の方向にある。なお、偶然であるがこれらの3つの成分はほぼ直交しており、各成分の観測と分離を容易にしている。〔 Brent Tully, Edward J. Shaya, Igor D. Karachentsev, Helene Courtois, Dale D. Kocevski, Alan Peel and Luca Rizzi, ''Our Peculiar Motion Away from the Local Void'', May 2007 - arxiv.org 〕 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「グレート・アトラクター」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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