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コンパクトカセットは、オランダの電機メーカーであるフィリップス社が、フェライトを素に1962年に開発したオーディオ用磁気記録テープ媒体の規格である。一般的に「カセットテープ」、もしくは「アナログカセット」とも呼ばれる。また1980年代終盤に登場したDCC(デジタルコンパクトカセット)に対するレトロニムとして、ACC「アナログコンパクトカセット」と表記することもある。 民生用の録音規格としては、2000年代前半から若年層を中心にミニディスク (MD) にその割合を超えられ、2000年代後半からはデジタルオーディオプレーヤーやICレコーダー(リニアPCMレコーダー含む)も台頭してきた。 なお、コンピューター分野ではCMT(''Cassette Magnetic Tape'' : カセット磁気テープ)と呼ばれていた。データレコーダ参照。 == 概要 == 当初オープンリール式であった録音用テープを扱いやすくするため、テープとリールをケースに封入した規格が数多く発表された。その中でもコンパクトカセットはフィリップスが互換性厳守を条件に基本特許を無償公開したため、多くのメーカーの参入を得て事実上の標準規格となった。このことから「フィリップスカセット」とも呼ばれる。 初期はテープ幅の小ささやテープ走行速度の遅さによる性能の制約から会議録音など業務用のメディアと考えられ、語学学習などの活用も推奨されていたが、1960年代後半以降著しく性能が向上し、1970年代以後は携帯の容易な音楽用メディアとして広く普及し、手軽な録音媒体としてレコードのダビング、放送番組を録音するエアチェックなどに幅広く活用された。 カーオーディオの分野においても、先行する8トラックカートリッジ方式に比べて小さなコンパクトカセットはスペースの限られる自動車のダッシュボードにデッキを配置しやすく、メディアが廉価で長時間再生に適することもあって、1970年代から1980年代にかけ隆盛を極めた。 しかし欠点もあった。 * 音質は録音するデッキにより大きく左右され、たいていは高額なレコーダーほど高音質になる傾向(主に3ヘッド・クローズドループ・デュアルキャプスタン方式のメカニズムを搭載した上位機種)があったため、廉価なレコーダーしか持てないユーザーは雑音・音のこもり(主に高音域)など、録音上の音質劣化を許容せねばならなかった。特に、ノイズリダクションを全く搭載していなかったり、消去ヘッドが永久磁石押し当て式の消去ヘッドになっている、廉価なCDラジカセや会話録音用のポータブルレコーダーなどは音質劣化の傾向が強かった。またダビングには通常、レコードおよびテープの実再生時間を要し、手間がかかった。ダブルデッキ式のレコーダーには倍速、3倍速録音の機能を備えた事例も多かったが、音質(S/N比)の悪化やテープ負荷の増大は避けられなかった。また、メーカーごとにピッチがまちまちで、メーカーによって出荷基準のピッチの誤差範囲が違う〔誤差±1%未満のメーカーから±3%未満のメーカーまである〕ので録音したデッキのメーカーと違うメーカーのデッキで再生するとピッチが若干ずれて聞こえてしまう。ピッチ調節用のつまみを備えたデッキもあるが、それが搭載されていないデッキも多く、その場合はピッチのずれを許容せねばならなかった。ただデッキが新品である時はピッチの差が気になるほどでは無いがむしろデッキを使いこんでいくうちにモーター、ベルト、コンデンサーなどの劣化しやすい電子部品の疲労によるずれが一番の問題であった。 * 構造的に頭出し・リピートなどが難しく、テープ進行に伴って回転する付属のメーター(カウンター)で進度を確認するしかなかったが、このカウンターの精度にもデッキによる個体差を伴った(これも廉価なデッキでは精度が低かった)。中級以上のデッキや機械式では無いフルロジック(フェザータッチ)機構のヘッドホンステレオではテープの音声の有無によって急速頭出しを図る機能もあったが、これはヘッドとテープの強い摩擦を伴い、テープ自体に大きなダメージを与えるものであった。 これらの課題を根本的に解消するのは難しく、1980年代以降CDなどのデジタルオーディオが普及し、コンパクトカセットはデジタルオーディオの安定した高音質やランダムアクセスによる容易な選曲に慣れたユーザーから次第に敬遠されるようになった。 1990年代初頭にはコンパクトカセットの後継として、音声データをデジタルで記録・再生でき、コンパクトカセットとの再生互換性を持たせたデジタルコンパクトカセット (DCC) がフィリップスと松下電器産業(現 : パナソニック)との共同開発で誕生した。ほぼ同時にソニーから登場したミニディスク (MD) とポータブルオーディオ戦争を繰り広げるかと思われたが、音質ではミニディスクを凌駕していたものの、DCCレコーダーではコンパクトカセットの録音ができなかったこと、テープ方式に起因する欠点を引きずったこと、さらにMDはおろかDATに対してもポータブル録再機のラインアップが非常に少なかったことなどで結果的にMDの圧勝に終わり、DCCは姿を消した。 2000年頃からポータブルMDプレーヤーなどの小型化、再生時間の長時間・大容量化が進み、発売当初の本体の巨大さや短い電池持続時間が解消され日本の若年層ユーザーはそれらの新しいメディアへ移行するようになったが、小売店では売価2,000 - 5,000円程度のモノラルラジカセ、CDラジカセと録音済音楽テープが引き続き廉売されており、取り扱いが簡易なこともあって主に70歳以上の高年齢層のコンパクトカセット支持は根強い。信頼性の高さ、録音内容をその場ですぐに聴けること、81分以上の長時間かつ手軽に録音できる同等の媒体が2010年代でも出現していない(CD-Rは容量700メガバイト・80分の制限がある)こともあり、ラヂオプレスではいまだに用いられている。工事現場などでの朝礼前のラジオ体操時に使われるラジカセやワイヤレスアンプはCDよりもカセットテープ利用時の方が電池の残量が低下しにくいため現在でもカセットでの体操が多い。J-POPや洋楽などの国内向けミュージックカセットテープは国内盤だと1990年代末に、アジア圏などへの輸出向けなど逆輸入盤だと2000年代半ばに消滅したが演歌や輸入盤(ジャズ、クラシックなど)では2015年現在においてもCDとカセットの同時発売が依然として続いている。なお、2013年に入るとカーオーディオの分野からは自動車メーカー純正品(ただし輸出用は除く)、社外品に関わらず1DIN、2DIN規格ともどもカセット対応カーオーディオはラインナップから消滅している。 また発展途上国や一部の先進国でも、音楽・音声用メディアとして今なお広く使われている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「コンパクトカセット」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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