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サイパン丸 : ウィキペディア日本語版
サイパン丸[さいぱんまる]

サイパン丸(さいぱんまる)は、日本郵船の内南洋航路の貨客船である。内南洋航路は、南洋諸島居留民にとって生活必需品を補給し、生産物を出荷する重要航路であった。それにも関わらず旧式船中心だったところへ就航した新鋭船が、本船であった。太平洋戦争中にアメリカ潜水艦に撃沈されたが、約400人の乗客の多くを無事に避難させて、死者は一割以下に抑えた。
以下、トン数表示のみの船舶は日本郵船の船舶である。
==日本郵船の内南洋航路==
第一次世界大戦の結果、南洋諸島は国際連盟委任統治領として日本に託された。1922年南洋庁が開設されると諸島の開発は一層進められ、人員や物資の往来は増加する傾向にあった。日本郵船が日本と南洋諸島を結ぶ航路を開設したのは、委任統治領になる前の1917年のことである〔『日本郵船戦時船史 上』106ページ〕。航路は神戸あるいは横浜を起点に、サイパン島トラック諸島ポナペクサイを経てジャルート環礁に至る東廻線と、サイパン島から分かれてテニアン島ロタ島ヤップ島パラオを経てダバオマナドに至る西廻線の二航路で構成されていた〔『日本郵船戦時船史 上』106、366ページ、野間、山田,84ページの航路図〕。東廻線は、日本領内のみを航行する航路としては、おそらく最長距離を行く航路である。その後、往来の増加に対応して諸島の東西を結ぶ航路などが順次開設されていった〔『日本郵船戦時船史 上』106ページ〕。この航路では、往路では食糧や燃料、生活必需品、各種機械が運ばれ、帰途には諸島産出のコプラ砂糖マニラ麻などが日本に運ばれていった。諸島に住む人々にとっては、この航路の船舶は一種の「宝船」であり、来航するたびに歓迎していた〔『日本郵船戦時船史 上』366ページ〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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