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サンクトペテルブルクのパラドックス (St. Petersburg paradox) は、意思決定理論におけるパラドックスのひとつである。極めて少ない確率で極めて大きな利益が得られるような事例では、期待値が発散する場合があるが、このようなときに生まれる逆説である。サンクトペテルブルクの賭け、サンクトペテルブルクの問題などとも呼ばれる。「サンクトペテルブルク」の部分は表記に揺れがある。 1738年、サンクトペテルブルクに住んでいたダニエル・ベルヌーイが、学術雑誌『ペテルブルク帝国アカデミー論集』の論文「リスクの測定に関する新しい理論」で発表した。その目的は、期待値による古典的な「公平さ」が現実には必ずしも適用できないことを示し、「効用」(ラテン語: emolumentum)についての新しい理論を展開することであった。 == パラドックスの内容 == 偏りのないコイン〔表が出る確率と裏が出る確率が、それぞれ正確に1/2という意味である。〕を表が出るまで投げ続け、表が出たときに、賞金をもらえるゲームがあるとする。もらえる賞金は、1回目に表が出たら1円〔通貨単位は本質ではなく、どんなものでもいい。ベルヌーイの原論文では金貨が単位となっている。これは現在の日本円に換算すると約500円相当である。〕、1回目は裏が出て2回目に表が出たら倍の2円、2回目まで裏が出ていて3回目に初めて表が出たらそのまた倍の4円、3回目まで裏が出ていて4回目に初めて表が出たらそのまた倍の8円、というふうに倍々で増える賞金がもらえるというゲームである。 つまり表が初めて出るまでに投げた回数を ''n'' とすると、2(''n''-1)円もらえるのである。10回目に初めて表が出れば512円、20回目に初めて表が出れば52万4288円、30回目に初めて表が出れば5億3687万0912円がもらえる。ここで、このゲームには参加費(=賭け金)が必要であるとしたら、参加費の金額が何円までなら払っても損ではないと言えるだろうか。〔言い換えれば、このゲームの主催者がトータルで損を出さない為の参加費はいくらか、という問題である。当然、その参加費より実際の参加費が高ければ結局は主催者が儲け、安ければ参加者が平均して勝って主催者は損失を被る。〕 数学的には、この種の問題では、賞金の期待値を算出し、参加費がその期待値以下であれば参加者は損しないと判断する。しかし、この問題における賞金の期待値を計算してみると、その数値は無限大に発散してしまうのである。すなわち期待値を ''W'' とすると、 : となる。したがって、期待値によって判断するならば、参加費(=賭け金)がいくら大金であっても参加すべきであると結論になる。 ところが実際には、このゲームでは 1/2 の確率で1円、1/4 の確率で2円、1/1024 の確率で512円の賞金が得られるに過ぎない(賞金が512円以下にとどまる確率が1023/1024)。したがって、そんなに得であるはずがないことは直観的に分かる。これが、この問題がパラドックスとされる所以である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「サンクトペテルブルクのパラドックス」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 St. Petersburg paradox 」があります。 スポンサード リンク
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