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シアツィ ( リダイレクト:スィアチ ) : ウィキペディア日本語版
スィアチ

スィアチ〔『エッダ 古代北欧歌謡集』にみられる表記。〕(またはシアチ〔『北欧の神話』(山室静筑摩書房)にみられる表記。〕、シャチ〔『「詩語法」訳注』にみられる表記。〕、シャツィ〔『オージンのいる風景 オージン教とエッダ』(ヘルマン・パウルソン、東海大学出版会)にみられる表記。〕、チアシ〔『北欧神話と伝説』(グレンベック、新潮社)、『北欧の神話伝説〔I〕』(松村武雄、名著普及会)にみられる表記。〕、スィアツィ〔『北欧のロマン ゲルマン神話』(ドナルド・A・マッケンジー、大修館書店)にみられる表記。〕、スィヤチ〔『生と死の北欧神話』(水野知昭、松柏社)にみられる表記。〕、ティアチ〔『エッダ/グレティルのサガ 中世文学集III』(松谷健二訳、筑摩書房〈ちくま文庫〉)にみられる表記。
〕など。古ノルド語:)は、北欧神話に登場する巨人の一人。
娘はスカジ。父はアルヴァルディ(またはオルヴァルディ〔)。兄弟にイジガングがいる。
== 『詩語法』に残る神話 ==

=== イズン掠奪 ===
スノッリのエッダ』第二部『詩語法』で、彼がアース神族女神の一柱イズンを、神々に永遠の若さをもたらすリンゴもろとも略奪する経緯が紹介されている〔『「詩語法」訳注』1-3頁、『エッダ 古代北欧歌謡集』67、74頁。〕。ノルウェースカルド詩人フヴィーンのショーゾールヴル(en)の詩『長き秋』の題材にもなった〔『「詩語法」訳注』30頁、『エッダ 古代北欧歌謡集』67頁。〕。
旅行中のオーディンヘーニルロキが、昼食をとるためを捕らえて蒸し焼きにしようとしたが、なぜか肉が焼けなかった。近くの木に大きなが留まっており、これが魔法をかけていたためだった。そこで、肉を分けるから魔法を解くように言うと、鷲は承諾し、たちまち肉が焼けた。しかしその肉の中で最も良い部分を鷲がすかさず奪い取ってしまう。ロキが木の棒を振り回し、鷲に当たったところ、木の棒は鷲の体にくっついてしまい、手から棒が離れなくなったロキは鷲とともに上空へ持ち上げられた。鷲はロキの体が木々に叩きつけられる高さで飛行し、ロキに「助けてほしければ、イズンにリンゴを持って来させろ」と言い、ロキはやむを得ず承諾する。この鷲は巨人スィアチの変身した姿であった。
ロキは「永遠の若さをもたらすリンゴによく似たリンゴを見つけた。あなたのリンゴと見比べてみないか」などと言って、リンゴを持たせたイズンをアースガルズの外へ連れ出す。鷲に変身したスィアチが素早く彼女をさらってしまった。リンゴを食べられなくなった神々はたちまち老い始めた。
調査の結果ロキの関与が判明し、イズンの奪還を命じられた。ロキはフレイヤの持つ鷹の衣をまとってに変身して、スィアチの館スリュムヘイム〔巨人スリュムの館ではない。〕へ潜入しイズンを見つけると素早く呪文を唱え、彼女を一個の木の実〔『「詩語法」訳注』3頁では「木の実」、『エッダ 古代北欧歌謡集』67頁では「胡桃」。〕に変えてしまい、〔アイルランドの詩人パードリック・コラム(英語)による再話では、イズンは木の実ではなく「スズメ」にされる。〕足に握って持ち去った。すぐにスィアチが羽衣をまとって鷲に変身し、追いかけてきた。こちらへ向かってくる2羽の鳥を見つけた神々は、アースガルズの外に大量のかんな屑を置いた。そしてロキの鷹がアースガルズの砦の内側に下りると鉋屑に火を着けた。スィアチの鷲はロキを見失ったものの止まることができず、羽毛に火が移り落下した。神々はアースガルズの門の内側でスィアチを殺害したという。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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