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cyanocobalamin ===========================
シアノコバラミン(cyanocobalamin)は、ヒドロキソコバラミンなどと共にビタミンB12とも呼ばれる代表的なコバラミンの一種であり、ビタミンの中で水溶性ビタミンに分類される生理活性物質である。化学式 C63H88O14N14PCo。分子量 1355.4 g/mol。赤色又はピンク色を呈するため「赤いビタミン」とも呼ばれている。 B群ビタミンのひとつだが、12は見付かった順番を表す数字ではない。相継いで発見されたB群ビタミンと重複しないように大き目の数字を付けたらしい。シアノコバラミンは化合物を単離する際に得られる人工産物で、喫煙者などの特殊な場合を除き、体内ではシアノコバラミンは存在していないと考えるのが普通になっている。 ポルフィリン類似のコリン環(図の赤色部位)とヌクレオチド(図の緑色部位)の構造をもつ、コバルトの錯体である。アミノ酸や脂肪酸の代謝および葉酸の生合成に用いられる。これ自体に補酵素活性は無く、生体内で補酵素型であるメチルコバラミンおよびアデノシルコバラミンに変換される。 シアノコバラミンは眼精疲労の治療薬として各市販薬に配合されているほか、医療用として参天製薬より「サンコバ点眼液0.02%」として販売されている。他にも補酵素型ビタミンB12のメチルコバラミンも医療用医薬品として販売されており、末梢神経障害や巨赤芽球性貧血の治療に用いられる。 == 機能 == ビタミンB12は、身体のすべての細胞の代謝に関与しており、特にDNA合成と調整に加え脂肪酸の合成とエネルギー産生に関与している。 しかしながら、体内でビタミンB12が葉酸(ビタミンB9)の再生産に利用されているため、すべてではないが多くのビタミンB12の機能は十分な量の葉酸によって代替される。 チミンやプリン体の合成のための十分な量の葉酸が体内に存在しない場合にはDNA合成障害を引き起こし、その葉酸欠乏症状は悪性貧血症状や巨赤芽球性貧血を引き起こすため、ほとんどのビタミンB12欠乏症状は実際には葉酸欠乏症状である〔Argument for providing B12 with food fortification of folate, since otherwise folate will correct hematological symptoms while leaving neurological symptoms to progress 〕。 十分な量の葉酸が利用できる場合には、メチルマロン酸(MMA)を代謝するビタミンB12依存酵素であるメチルマロニルCoAムターゼ(MUT)やホモシステインを基質としてメチオニンを合成する酵素として知られている5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステインメチルトランスフェラーゼ(MTR)を助けることになり、ビタミンB12欠乏症として知られるほとんどの症状は正常化される。 ビタミンB12補酵素の反応性の高いC-Co結合が3つの主な酵素反応に関連している。 1番目は異性化酵素反応である。1番目の置換基である水素原子と酸素原子、アルコール基、アミノ基などと、1番目の置換基と隣り合った2番目の置換基である炭素原子(X基)を直接移動させる再配置である。例として、メチルマロニルCoAをスクシニルCoAに変換する反応である。 2番目はメチル基転移反応である。メチル基が2つの分子間を移動する。例として5-メチルテトラヒドロ葉酸を脱メチル化してテトラヒドロ葉酸に変化させると同時に、ホモシステインをメチル化してメチオニンへ変換させる。 3番目は脱ハロゲン反応である。有機化合物からハロゲン原子が離脱される反応である。この種の酵素はヒトからは発見されていない。 ヒトにおいては、上記最初の2つの反応に対応した2つの主要なビタミンB12依存酵素が知られている。それらは次に示す2種類の酵素である。 【第1の酵素】 MUT(メチルマロニルCoAムターゼ)は、アデノシルコバラミン型と炭素骨格の再配置(X基は-COSCoA)を触媒する反応型1の異性化酵素である。MUTの反応は、メチルマロニルCoAをスクシニルCoAに変換し、タンパク質や脂肪からエネルギーを抽出する重要なステップを担っている。この機能はビタミンB12欠乏症により失われてしまい、その機能はメチルマロン酸血中濃度で医学的に測定することができる。メチルマロン酸の濃度上昇はビタミンB12欠乏症に鋭敏に反応するが、不運にもその濃度上昇が必ずしもビタミンB12欠乏症のみによるものではないことである。ビタミンB12欠乏症患者の90-98%は、メチルマロン酸の濃度が増加する。この試験は大変微妙なものがあり、70歳を超える被験者の20-25%はメチルマロン酸の濃度が増加するが、それらの25-33%はビタミンB12欠乏症ではない。この理由により高齢者にはメチルマロン酸濃度での判定は勧められない。ビタミンB12の欠乏が起こると体内組織は備蓄したビタミンB12を取り崩して血中濃度を維持するため、ビタミンB12欠乏症の黄金律試験は存在しないのである〔。それゆえ欠乏症を示し始めるビタミンB12血中濃度が、必要最低限のビタミンB12の状態を示しているわけではない。ミエリン形成や中枢神経の働きに必要なビタミンB12依存酵素MUTの機能は葉酸摂取に影響を受けることはない。MTR(5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステインメチルトランスフェラーゼ)機能障害に関連したDNA合成に関わるビタミンB12のその他の機能は葉酸摂取によって正常化することができるが、MTRによるメチオニンへ通常変換されるホモシステインの濃度上昇を正常化することはできない。 ---> 【第2の酵素】 MTR(5-メチルテトラヒドロ葉酸-ホモシステインメチルトランスフェラーゼ)は、メチオニン合成酵素として知られており、ビタミンB12の一種であるメチルコバラミンを利用してホモシステインをメチオニンに変換する第2の種類の反応を触媒するメチル基転移酵素である。 この転移機能はビタミンB12欠乏症で失われ、医学的にホモシステインの濃度の上昇で判定することができる。 ビタミンB12は、葉酸の活性型であるテトラヒドロ葉酸(THF)の再生産を手助けしているため、葉酸欠乏症でもホモシステイン濃度の上昇が起こり得る。 ビタミンB12なしではテトラヒドロ葉酸は5-メチルテトラヒドロ葉酸に変化してテトラヒドロ葉酸に戻ることができない。MTRはホモシステインの存在下で5-メチルテトラヒドロ葉酸と反応してメチオニンとTHFを生成し、それゆえ食餌からの新たな葉酸の摂取の必要性が少なくなる。THFはホモシステインからメチオニンへの変換に伴って生成されるか、食餌から得られることとなる。 それはビタミンB12非依存のチミン合成に関わる5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸(5,10-メチレン-THF)のプロセスによって変換される。 5,10-メチレン-THFの利用の減少はDNA合成に障害をもたらし、血球や吸収を司る腸壁細胞のように回転率の高い細胞分裂で障害が生じる。 血球細胞の合成障害は、かつて致死性の病として恐れられていた悪性貧血を引き起こす。 悪性貧血の巨赤芽球性貧血を含めたすべてのDNA合成の影響は、十分な葉酸の存在により解決される。これは十分な葉酸があれば必要な5,10-メチレン-THFが残るからである。 DNA合成、細胞分裂や悪性貧血に関連するビタミンB12の最もよく知られている機能は、効率的なDNA生成に必要な活性型の葉酸のビタミンB12による維持機能である。その他のコバラミンを必要とするメチル基転移酵素は、バクテリア中のMメチル転移酵素(Me-H4-MPT)が知られている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「シアノコバラミン」の詳細全文を読む
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