|
バテイラ(馬蹄螺)、学名 ''Omphalius pfeifferi pfeifferi'' は、古腹足類のクボガイ科〔 〕〔 Citation: Bouchet, P. (2013). Omphalius Philippi, 1847. Accessed through: World Register of Marine Species at http://www.marinespecies.org/aphia.php?p=taxdetails&id=413471 on 2014-01-21 〕に分類される巻貝の一種。北海道南部~九州の太平洋沿岸の岩礁海岸に生息し、海藻類を餌としている。本州の日本海側と朝鮮半島南部に分布するオオコシダカガンガラ(大腰高岩殻)は本種の亜種 ''O. p. carpenteri'' (Dunker, 1882) とされている。 しばしば食用にも漁獲され、市場に出回るときは近縁種と同様に「シッタカ」「しったか貝」(尻高貝の意)などの名で売られることが多い。他にカジメダマ、サンカクミナなどの地方名がある。 == 特徴 == ;殻・蓋 成貝は殻高50mm、殻径55mmほどになるが、更に大成することもあり、本州の磯に棲む古腹足類としては比較的大型の種である。貝殻は正円錐形で周縁は明瞭に角張り、底面は平坦で少し凹む感じになる。約7層の螺層はほとんど膨らまず、輪郭はほぼ正三角形。ただし概ね2cm以下の小型個体は大型個体に比べて低平で、一見別種に見えることもある。殻表には弱い斜めの肋があるものからほとんど平滑なものもまである。殻色は黒褐色~灰褐色で、生きている時は真っ黒に見えるが、時に紅藻のカイノカワ ''Peyssonnelia japonica'' に覆われて全体に茶褐色に見える個体もある。また打ち上げられた古い殻は赤紫色になることもある。底面は周辺に成長線があり、白黒の細かい縞模様が中心に向かって巻き込むように入るが、中央部は白く、中心に深く丸い臍孔がある。臍孔の周囲にはそれを取り巻く1本の螺状の畝があり、畝の末端は殻口で弱い歯を形成する。殻口内は銀白色で真珠層が発達する。 蓋は円型で赤黒褐色の薄い角質、多旋型で核が中央にある。殻口の形にはぴったりとは合わない。 ;軟体 体は全体に黒いが足の裏は淡色。成熟個体では、卵巣は灰緑色、精巣は乳白色なので雌雄が識別できる〔堀川・山川, 1982〕。肉を取り出したとき側面内部に見える蚊取り線香のようなものは胃の盲管で、食べた餌をより分ける器官である。 ;生態 潮間帯下部から水深30mまでの岩礁の、主としてカジメやアラメなどの大型褐藻の生育域に棲息する。岩の表面や大型褐藻類の表面に付着し、海藻や岩上の無節石灰藻などを餌にしている。摂餌は主に夜間に行われ、日中は日の当たらない岩の裏側や石の下縁近くにいる個体が多いが、日中でも摂餌行動をする個体もあり、明瞭な日周活動は観察されていない〔山川, 1996〕。 生活史は十分に明らかにされていないが、千葉県における研究〔では、次のようなことが報告されている。雌雄異体で海水中に放卵放精して受精し、浮遊幼生を経て底生生活に入る。千葉県での産卵期は初夏から秋にかけて長期間にわたると推定され、生殖線の発達のピークが6-7月と9-10月に2度見られることなどから、産卵の最盛期が年2回ある可能性もある。秋に産卵期が終わり、11月になって海水温が低下すると、生殖線は急激に縮小し、翌年の1月頃から徐々に回復する。 稚貝は1年目で殻高約10mm、2年目で殻高20mm前後まで成長する。また、殻高が8-13mmに成長する段階で生殖線も発達し、殻高14mm以上になると生殖線で完全に雌雄の識別できるようになる。この性的成熟に伴うように、若齢期に過ごした比較的小さな転石環境から、直径1m以上の岩の表面や岩礁域にまで棲息範囲を広げる。しかし2年目に殻高20mm前後に達したあとの成長や寿命などに関してはよくわかっていない。 ;分布 日本の北海道南部から九州南部の大隅半島および甑島列島までの太平洋沿岸に分布する。ただし北海道南部や津軽海峡付近では非常に少なく、ある程度まとまった個体群が見られるのは宮城県~福島県以南の地域である〔。瀬戸内海の大部分には生息しないが、太平洋から豊後水道を経て流入する海水の影響が強い場所では見られることがある。亜種とされるオオコシダカガンガラは、本州~九州の日本海沿岸部、済州島、朝鮮半島南部に分布する。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「バテイラ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Tegula pfeifferi 」があります。 スポンサード リンク
|