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『シランクス』()は、クロード・ドビュッシーにより1913年に作曲された無伴奏フルート作品。19世紀末から20世紀前半に活躍したフランスの名フルート奏者、ルイ・フルーリーに献呈された。 当初は、ガブリエル・ムーレの未完の劇『プシシェ』(''Psyché''フランス語でプシュケを意味する)の付随音楽として、舞台袖で演奏すべき小品として作曲された。当初は『パンの笛』(''Flûte de Pan'')と名付けられたが、すでにドビュッシーの連作歌曲『ビリティスの歌』(''Chansons de Bilitis'')に同名の作品があることから、混同を避けてシランクスと改名された。 シランクスとは、ギリシャ神話のニンフにしてアルテミスの従者、シュリンクスの名をフランス語読みにしたものである。彼女は牧神パンに一目惚れされてにじり寄られ、恐怖に駆られて逃げ惑ううちにラドン川のほとりで逃げ場を失い、川の妖精に祈って葦に姿を変えたと言い伝えられている。葦になったシランクスの声に聴き惚れたパンは「少なくとも、あなたの声と共にいることができた。」と喜び、その葦を手折って葦笛シュリンクスパンフルートを作り、自らのトレードマークとした。 == 楽曲構成 == もともと『シランクス』は、ドビュッシー自身は出版の意思を持っておらず、1927年にマルセル・モイーズの校訂によりジョベール社から出版された。従来の出版譜の多くはジョベール版を踏襲していたが、1993年に自筆譜のファクシミリ版が出版され、最後から2小節目のB♮音に従来付けられていたアクセントが実はディミヌエンドであったことが判明し、現在では自筆譜どおりの演奏が一般的になりつつある。 楽譜には変ロ短調の調性記号が付いているものの、調性感は極めて稀薄である。冒頭では、変ロ短調の主音であるB♭の音を中心にして揺れ動く。小休止を挿んだ後の第2フレーズでは、一瞬ピアノの黒鍵に相当する五音音階が現れ、変ト長調(変ロ短調の下属調平行調)の響きも聞こえるが、すぐに半音階的なフレーズに掻き消される。最後は全音音階によって、余韻を残したまま、終結感の弱い終止に至る。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「シランクス」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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