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ジャン・バニエ(Jean Vanier)(1928年9月10日 - )はスイスのジュネーブに生まれた、フランス系カナダ人のカトリックの思想家。知的障がいや発達障がいなどの知的ハンディを持つ人々と持たない人々の共同体であるラルシュ(L'Arche)の創設者、ならびに知的ハンディを持つ人とその家族や友人が定期的に集まり、支えあうネットワークである信仰と光 (Foi et Lumière) の共同創設者。2015年、宗教分野のノーベル賞とも言われるテンプルトン賞を受賞した。 マザー・テレサやブラザー・ロジェの親しい友人であり、ヘンリ・ナウエンにも大きな示唆と影響を与えた人物である。信頼、障害、暴力、平和、共生などのテーマについて数々の著作があり、その多くは日本語にも翻訳されている。その霊的指導者としての功績からカトリックの司祭と誤って紹介されることが多いが、聖職者ではなく、レイ・パーソン(平信徒)である。 == ジャン・バニエの思想 == ジャン・バニエの思想は、障がいをもつ人の尊厳を大切にし、人間らしく暮らせるようにするという点では、他の障がい者福祉の思想とそれほど変わらないが、知的ハンディを持つ人とその関係者だけに留まらない広がりを持っている。知的ハンディの有無にかかわらず、人間らしく生きることの根源をすべての人に問うものである。 ジャン・バニエの思想で特徴的なのは、理性的に優れた人が立派な人間で、知的ハンディがある人が劣った人間であるという現代社会の人間観そのものに異を唱え、人間の可能性の中でもっとも大切なものは、理性的な能力ではなく愛する能力であるとしている点である。従って、強者が弱者を助けるようなノブレス・オブリージュや一方的な人道的支援の立場とは対極にある。 キリスト教のスピリチュアリティ(霊性)に深く根差したジャン・バニエの確信とは、世間から役に立たないと思われている存在にこそ、神からの特別な愛が注がれているということである。さらに、世間から弱者とされる人々は、確かに弱く、周り人々の助けを必要としているが、愛すること、心の交わりという別の面においては、わたしたちを解放する存在でもあるという。 それぞれ弱さを持つ人間が、ありのままの相手と自分の存在を喜ぶ関係が人間には必要であり、そのような関係性のなかで人間らしく成長することができる。知的ハンディを持つ人々とともに生活することで、そのようなあり方を学んでいくのだという。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ジャン・バニエ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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