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ジャーティ(Jāti、「出自」・「生まれ」の意)とは、インド亜大陸の地域社会において実際のカースト制度の基礎となる共同体の単位であり、ヒンドゥーの日常生活において現実的に独自の機能を果たす排他的な職業・地縁・血縁的社会集団、階層を示す用語である〔三宅(1992)〕。インド社会において、現在でも内婚集団として機能しており、その範囲内における浄性を共有し、水のやり取りや共食、婚姻を許容する集団であり、また、主として男系をたどる職業の継承体でもある〔藤井(2007)〕。 == ジャーティの枠組みと区分 == ジャーティの枠組みはヒンディー語で「ジャーティ・プラター」〔「プラター」とは、習慣・慣習の意味であり、ヴァルナの枠組みに対し変更可能という含意をもつ。藤井(2007)〕と呼ばれ、バラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラより成るヴァルナ(四種姓)、およびその枠組みである「ヴァルナ・ヴィャワスター」〔「ヴィャワスター」とは、ゆるがせにできないもの、定められたものという意味。藤井(2007)〕とならんで、いわゆる「カースト」を構成する要素のひとつである。現在でも大多数のヒンドゥーは、不可触民〔アウト・カーストとも称される。ヴァルナの枠外にあることから「アヴァルナ」(ヴァルナをもたないもの)の呼称もある。藤井(2007)〕〔不可触民のなかにも序列がある。占い師と医師を兼ねるバッルバンというジャーティは、不可触民のなかで最高位を占め、「賤民中のバラモン」と自称することさえある。『ミリオーネ全世界事典』(1980)〕に属する人びとも含め、自分がいずれかひとつのジャーティに帰属しているとの意識をもっている。 4ヴァルナの区分が社会の大枠を示したものであるのに対し、ジャーティの区分はたとえば「壺つくりのジャーティ」、「清掃のジャーティ」、「羊飼いのジャーティ」というように、特定の伝統的な職業や内婚集団によってなされる場合が多く、その数はインド全体で2,000とも3,000ともいわれている〔。ジャーティとヴァルナの間には、内婚、職業との結合、上下貴賤の関係など共通する性格も認められ、不可触民のジャーティを除いたほとんどすべてのジャーティは同時に4ヴァルナのいずれかに帰属している〔『南アジアを知る事典』(1992)〕。 ジャーティがインドの社会秩序においてどのような地位を占めるかの基準は、人格や専門性などではなく、その職業をおこなうにあたっての接触する物体の浄・不浄の度合いによって決められているとされる。汚物清掃人(バンギ)、洗濯人(ドービー)、皮なめし職人(チャマール)などは、不浄なものに触れやすいとして、特に低い地位におかれている〔『ミリオーネ全世界事典』(1980)〕。 ジャーティについては、当初バラモンを中心としたヴァルナの枠組みがあって、後世それが細分化されたものとする見解がある〔〔京大『東洋史辞典』(1961)〕。それに対し、ヴァルナの枠組みが成立していくのと平行して、ジャーティの細分化もまた進行し、あるとき両者が合体してヴァルナ概念により整理され、秩序づけられたのではないかとする見方もある〔応地(1992)〕。一方、ヴァルナの枠組みに包摂されない不可触民の存在などに着目し、インドにおいては伝統的に「ジャーティ・プラター」と「ヴァルナ・ヴィャワスター」とは、お互いまったく別のものとして把握されてきたことを強調する立場もある〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ジャーティ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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