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スリップウェア(Slipware)とはヨーロッパなど世界各地で見られた、古い時代の陶器の一種。器の表面を(エンゴーベ)と呼ばれる泥漿(でいしょう、水と粘土を適度な濃度に混ぜたもの)状の化粧土で装飾する方法が特徴。近年でも陶芸家によって作品が作られている。 == 作製方法 == まず先述のスリップを準備し、生乾きの鉢や皿の全面に地色となるスリップをかける。さらにこの上にスポイトから細く垂らしたり、筆で描いたり、更にこれを櫛状の道具で引っかいたりして文様を描く。このあと場合によっては型に押し当てて成型し、窯に入れて焼く。完成後、スリップをたらした部分は盛り上がって素地とは違う色の文様が浮かび上がることになる。 スリップは白い粘土や鉱石の調合で作られ、「化粧土(engobe、エンゴーベ)」とも呼ばれる。器がスリップで均一に化粧掛けされる場合もあるが、これは荒い素地を色の淡いスリップでカバーし、滑らかで美しい表面に仕上げるためや、スリップを部分的に削って素地の色を出し模様にするためである。ヨーロッパなどで建築の壁の装飾に使われたズグラッフィート(Sgraffito)という手法は陶芸でも使われており、表面が生乾きの間に着色したスリップの層を線で引っかいて、下側の異なる色のスリップの層や素地となる陶の色を露出させて模様を描く。 スリップは、陶の上に色を一層または数層に重ねて絵を描く手法としても使われる。このうち、スポイトから垂らす手法は日本の作陶における「筒描き」と同じ手法であり、スリップを垂らしては流す事を繰り返して矢羽根文様を作ることもできる。 また近年ではスリップを塗ってから一度素焼きを行ない、その上に釉薬や異なる色のスリップを流したりした後に本焼成する。古来の一度だけ焼成を行なう方法では温度は1,000℃前後なのに対し、現在では本焼成を約1,300℃で行なっている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「スリップウェア」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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