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『ゾウの時間ネズミの時間』(ゾウのじかん ネズミのじかん)は、動物生理学を専門とする生物学者、本川達雄の新書である。1992年に中公新書から発行された。動物のサイズから動物のデザインの論理が数理的に解説されている。1993年の講談社出版文化賞の科学出版賞を受賞した。 ==概要== 生物の分野の動物のサイズに関する以下のような知見が紹介される。 コープの法則:「同じ系統の中では大きなサイズの種は進化の過程でより遅れて出現する傾向がある」-サイズの大きさは表面積と体積の関係から例えば体温を保つなど環境の変化に強いという利点をもっていることから説明される。逆にサイズの小さいものが系統の祖先になりやすいのは小さいものは一世代の時間が短く、個体数も多いので変異の確率が高いことから説明される。 *島の法則:「島に住む動物と大陸に住む動物とではサイズに違いが生じる」捕食者という制約がなくなると、大きな動物は小さくなり、小さい動物は大きくなる。 *ベルクマンの規則:恒温動物では同じ種で比較すると寒い地方に住む個体ほど体が大きい。体積と表面積の関係は幾何学的に相似な図形の場合は表面積は体積(これは体重と比例する)の2/3乗になる。エネルギー消費量と関係する酸素消費量と体表面積の関係はルブナーによって大きさの異なるイヌを使って確認された。 *3/4乗則:エネルギー消費量などにおける体表面積の法則(2/3乗則)は動物の種類を増やし、関係を見るサイズの幅を広げると適さないことが知られるようになった。代謝量は体重の3/4乗によく比例する。 これは恒温動物の中だけでなく。変温動物、単細胞生物の種の間でも成立する。ただし恒温動物と変温動物、変温動物と単細胞生物の間にはエネルギー消費量が大きく異なる(比例定数が異なる)。3/4の由来については円筒図形を考えてサイズの増加により増加する重量を支えるためには柱の太さが相対的により太くなる必要があることが紹介される。弾性相似モデルと呼ばれるこのモデルでは体重は長さの4乗に比例する。筋肉のだす断面積あたりの力は一定なので動物の「時間」も体重の1/4に比例する。サイズの違いによる酸素の運搬の必要性によって呼吸器や循環系のデザインが変化してくる。肺を持つ動物の酸素消費量は体重の3/4乗に比例することは、肺の大きさは体重に比例し、呼吸に要する時間が体重1/4乗に比例することからつじつまが合ってくる。 以上のような手法で動物の体重と食事量、生息密度、行動圏の大きさ、歩く速度の関係が紹介される。走る、飛ぶなどの移動のコストがアロメトリー式(指数関数による近似式)で検討される。イルカなどの泳ぐ哺乳類の泳ぐのに使われるエネルギーの低いことが水槽のなかで無邪気に泳ぎ回れる理由である。泳ぐ生物についてサイズとレイノルズ数の検討から泳ぎ方の違いが考察される。 後半の章では昆虫、サンゴなどの動かない動物、ゆっくり動く棘皮動物のデザインも紹介される。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ゾウの時間ネズミの時間」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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