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タ弾 : ウィキペディア日本語版
タ弾[ただん]
タ弾(タだん〔漢字の「夕」ではなくカタカナの「タ」。〕)は、次の2つの意味を持つ。
#大日本帝国陸軍が開発した銃器および火砲用の対戦車成形炸薬弾の秘匿名称。
#大日本帝国陸軍および海軍が開発した航空機搭載型の空対空・空対地クラスター爆弾に内蔵された成形炸薬弾頭をもつ子弾の秘匿名称。
本項目では両方について概述する。
== 対戦車用 ==
タ弾とは、ナチス・ドイツの成形炸薬弾に関する技術供与によって陸軍が開発した銃器および火砲用の対戦車用成形炸薬弾(陸軍では穿甲榴弾穿甲弾)、海軍では円錐〔『小銃 拳銃 機関銃入門』、161-163頁。〕〔『陸戦兵器要目表』、46、72画像目。〕と呼称)の秘匿名称である。
本弾はモンロー/ノイマン効果を利用する化学エネルギー弾である。弾丸炸薬が充填されており、炸薬の先頭部分が円錐形に開孔され、その表面に漏斗(ライナー。漏斗状の薄い金属製の内張り)が貼り付けてある。目標に命中すると弾頭信管が発火し、漏斗内の空間を伝って漏斗足底部にある起爆薬を起爆させ、炸薬を爆轟させる(弾底信管をもつタ弾の場合は、弾底信管から直接炸薬を爆轟させる)。炸薬の爆轟波によりユゴニオ弾性限界を超える超高圧に晒された漏斗は、その中心部から流動性をもった金属(メタルジェット)となり、前方に収束する。メタルジェットが装甲に接触すると、超高圧により装甲材も流体のような振る舞いをするため、これを吹き飛ばしながら穿孔していく。メタルジェットが装甲を貫徹すると、燃焼ガスと共に内部に吹き込まれ被害を与える。なお成形炸薬弾には、弾丸が高速で旋動(スピン)しているとメタルジェットの収束が阻害され貫徹力が低下する欠点があり、旋動安定式タ弾は威力がやや低下している可能性がある。またタ弾は弱速で命中させるほど効力があり、大初速では効力が小さい〔『日本陸軍の火砲 高射砲』、55頁。〕。したがって存速が大きい近距離では威力が低下する〔射距離による鋼板貫通限界厚の値は、四一式山砲タ弾で60mm/100m、75mm/500 - 1,500m。九一式十榴タ弾で80mm/500m、120mm/1,000m。〕。
ドイツでは成形炸薬の研究が進んでおり、1942年(昭和17年)5月、日独軍事技術交流の第一歩として、ドイツ陸軍省兵器局の弾薬班長パウル・ニーメラー(''Paul Niemoeller'')大佐が封鎖突破船により横浜に到着し、成形炸薬弾の図面と模型が陸軍省陸軍次官木村兵太郎中将に手渡された。その後ニーメラー大佐と、万一の場合に備え大佐とは別の船で来日したヴァルター・メルケル(''Walter Merkel'')少佐の2名に陸海軍は共に指導を受け、陸軍はタ弾委員会を設置し、地上・航空兵器への応用研究に着手した。同年6月には研究計画を策定し、小銃用の30mmおよび40mmタ弾の静止破裂試験を、翌月には発射試験を行なった。また、並行して四一式山砲用のタ弾についても設計を始めた〔『大砲入門』、277頁。〕〔『日本陸軍の火砲 迫撃砲 噴進砲 他』、261頁。〕。同年11月、これらの功績により、ニーメラー大佐とメルケル少佐に対し叙勲が検討された〔『独国陸軍総司令部兵器局課長陸軍大佐「パウル、ニーメラー」外一名叙勲ノ件』〕。
タ弾の名称の由来は、対戦車用弾頭であったためその頭文字から略称として「タ弾」と呼ばれたという説と、当時もたらされた図面に「エリプシェ・ターゲル」と記されていたことからこれを「楕円弾」と訳したが、「ダエン弾」では秘匿名称としては長すぎるので「ダ弾」と略し、さらに「ダ」を「タ」に変えて「タ弾」となったという説〔がある。(後者の場合、ドイツ語としては「エリプティッシェ・クーゲル」elliptische Kugel という表記が正しい)
タ弾は山砲や歩兵砲など低初速の火砲にも装甲貫徹能力を与えることが出来た。そのため大戦後半には各種火砲でタ弾が開発・整備された。九四式山砲や四一式山砲用に開発された二式穿甲榴弾(タ弾)は、終戦時に完成品及び半途品を含めて合計約99,000発以上存在していた〔『日本陸軍の火砲 野砲 山砲』、406、443頁。〕。
以下は実際に整備・生産されたタ弾である。
以下は試製・研究に終わったタ弾、もしくは整備・生産状況が不明なタ弾である。
1944年(昭和19年)4月、ニューギニアにてオーストラリア陸軍による鹵獲された四一式山砲の射撃試験が行われており、射距離150ヤード(137.16m)からマチルダII歩兵戦車の車体正面(装甲厚75mm)を射撃している。四一式山砲の一式徹甲弾(鋼板貫通限界厚は射距離100mで50mm)と思われる徹甲弾ではマチルダII戦車の車体正面を貫通できなかったが、二式穿甲榴弾(タ弾)と思われる成形炸薬弾では車内まで貫通した貫通孔写真が確認できる。


抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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