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ダイバーシティとは、複数のアンテナで受信した同一の無線信号について、電波状況の優れたアンテナの信号を優先的に用いたり、受信した信号を合成してノイズを除去したりすることによって、通信の質や信頼性の向上を図る技術のことである。送信に対して適用したものは送信ダイバーシティという。工学分野では「ダイバーシチ」と表記する場合もある。 電波は物体にあたると反射する。そのため、たとえば大きなビルのそばで携帯電話を使うと、直接とどく電波と、ビルに反射してとどく電波があり、2つの電波はわずかに到達時間に差が生じ(マルチパス)、2つの電波が干渉して通信の質が落ちる。これを防止するため、2本以上のアンテナを使って複数の電波を受信し、最も強い電波を選択するあるいは合成する技術をダイバーシティと呼ぶ。 == ダイバーシティの種類 == ;空間ダイバーシティ〔参考文献:第2級陸上無線技術士試験問題 2009年2月〕。 :2本のアンテナが1/2波長以上離れていれば、それぞれのアンテナの受信状態の相関はないといわれている。 :;アンテナ選択方式 ::複数のアンテナを用意し、単に電波が強いほうのアンテナをスイッチで切り替える方式である。 :;最大比合成方式 ::複数のアンテナの間隔を適切に離して用意し、強い電波を拾ったアンテナ同士の位相を揃えて合成する方式である。上述のアンテナ選択方式はフェージング軽減が目的であり、電波そのものが強くなるわけではないが、最大比合成方式ではゲインを得ることができる。 ::また、最大比合成方式につき可変減衰器・位相器を用いて任意に指向性を変化させ(ビームステアリング)、またヌル点(不感点)を作り出し(ヌルステアリング)干渉軽減のために用いるのがアダプティブアレイアンテナ(ビームフォーミング)である。 ::さらに、複数の減衰器・位相器系を用いて、空間的に離れた複数のビームを形成(マルチビーム)することにより、同一時刻・同一周波数で多重通信を行うことができる。これがSDMAに応用される。 : ;偏波ダイバーシティ :偏波面が互いに90度異なるアンテナを用意し、受信信号を合成するか、電波が強いほうの偏波に切り替える方式である。偏波は反射や回折により変動するため、送信波と異なった偏波で受信したほうが良いことがある。また、携帯電話機のようにアンテナの角度そのものが実際に変動する場合にも有効である。 :また、複数の偏波のアンテナによりアダプティブアレイアンテナを構成し、反射波や回折波(交差偏波成分を含む)を抑圧し、直接波(送信時の偏波と同一)への干渉を軽減する。 ;角度ダイバーシティ :複数の指向性を持つアンテナを、別々の角度で設置して、受信信号を合成するか、受信出力が大きいアンテナに切り替えて受信する方式。 ;マルチパスダイバーシティ :アダプティブアレイアンテナのビーム・ヌル点形成をマルチパスに対して行うと、マルチパスダイバーシティとなる。すなわち、マルチパス数分の素子を用意することにより、干渉波を除去すれば選択性フェージング対策となる。なお、マルチパスに対してビーム・ヌル点形成を行うにはLMS(Least Mean Square)アダプティブアレイアンテナが必要。 :逆に、送信側・受信側共に複数のマルチパスに対して同一のビーム・ヌル点形成を行えば、マルチパスを多重化に用いることができる。これをMIMOに応用する。 ;サイトダイバーシティ :複数の送信局から同時送信した電波を受信側で合成する方式である。 ;周波数ダイバーシティ :異なる周波数ではフェージングピッチも異なるため、1本のアンテナでダイバーシティ効果を得ることができるが、2倍の周波数を占有する。ただしデジタル変調の場合は元のデータレートを半分にすることにより占有周波数を同等にできる。 ;時間ダイバーシティ :移動している場合、フェージングの状態が時々刻々と変わるため、時間をずらして同じ内容を送信することで、1本のアンテナでダイバーシティ効果を得ることができるが、受信完了までに2倍の時間がかかる。また、TDMAの場合は2倍のスロットを占有することになるが、デジタル変調では元のデータレートを半分にすることにより占有時間数を同等にできる。 ;送信ダイバーシティ :受信時に選んだアンテナを送信に使う方式である。送受信の周波数が同じであること、移動速度が遅いことが適用の条件になる。TDMA/TDDやTD-CDMA方式などで採用される。 ;再送ダイバーシティ : 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ダイバーシティ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Diversity scheme 」があります。 スポンサード リンク
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