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本稿のダイヤモンドの物質特性(ダイヤモンドのぶっしつとくせい)では、ダイヤモンドの物理、光学、電気そして熱的特性について述べる。ダイヤモンドは炭素の同素体で、と呼ばれる特殊な立方格子で炭素原子が配列している。ダイヤモンドは光学的に等方性を持つ鉱物で基本的には透明である。原子どうしが強い共有結合をしているため、自然界に存在する物質の中で最も硬い。しかし、構造的な欠点があるためダイヤモンドの靱性はあまり良くない。引張強さの値は不明で、60GPaまで観測され、結晶方位次第では最大225GPaまで達すると予測される。硬度は結晶方向によって違う異方性で、ダイヤモンド加工を行うには注意が必要である。屈折率2.417と高く、また分散率は0.044と他の鉱物と比較してさほど大きくないが、これらの特性がカット加工を施したダイヤモンドの輝きを生み出す。ダイヤモンドの結晶欠陥の有無により主に4つに分類される。微量の不純物が炭素原子と置換され、時に格子欠陥をも引き起こすが、様々な色を帯びたダイヤモンドを作り出す。大抵のダイヤモンドは電気絶縁体であるが、優れた熱伝導体にもなる。他の鉱物と異なり、産地や不純物の有無を含め、全てのダイヤモンド結晶の比重はほぼ一定である。 == 物理的特性 == === 硬さと結晶構造 === ダイヤモンドは古代ギリシャ語で" ''ἀδάμας'' "(ラテン文字転写で" ''adámas'' ":「固有、独特」、「不変」、「壊れにくい」の意味)として知られ、時にアダマント(''adamant'', 日本語で「無砕石」と訳される〔 〕)と言われていた。ダイヤモンドのモース硬度は「10」で、地球上に存在する物質の中で最も硬い。結晶構造は、各炭素原子が隣り合う4つの原子を共有結合により結合しているため、極めて硬い構造を有する。窒化ホウ素はダイヤモンドと同じ閃亜鉛鉱構造をしている為、ダイヤモンドの硬度とほぼ等しい。現在はという仮想の物質がダイヤモンドと同じ、或いはそれ以上の硬度をもつと予測されている。ナノサイズの粒径を有する一部のダイヤモンド粉末は大きな結晶のダイヤモンドよりも硬く、靱性もある為、研磨材としての利用価値が高い.〔。ダイヤモンドテストに必要なこれらの超硬材料を利用するためには、ダイヤモンドの硬さに関する正確な数値を調査しなければならない。純粋なダイヤモンド結晶の方向">方向(立方晶の最長の対角線)に垂直な面をハイパーダイヤモンドの圧子先端で引っ掻いたところ、167GPaの硬度を計測した。一方、そのハイパーダイヤモンドの硬度は他のハイパーダイヤモンド圧子で測ると310GPaであった。この試験は検査対象物よりも硬い圧子先端で行っているため、正確な測定が可能である。恐らくハイパーダイヤモンドの硬度は最大でも310GPaと推測される。 ダイヤモンドの引張強さ は不明であるが、60GPaまで観測されている。そして結晶格子と結晶方向が欠陥もなく完全であれば、90GPaから225GPaまで耐えられるとされる。引張強度は、の結晶方向(立方晶の格子面に垂直な方向)が最も大きく、次に方向、そして方向に対して最も弱い。 立方晶ダイヤモンドは八面体の面に対して4方向に完全な劈開をもち、切れ味の悪い刃先でも簡単に割れ、滑らかな劈開面が現れる。また、ダイヤモンドは結晶方位によっても硬度が異なる。立方体の面の対角線方向が最も硬く、最も軟らかい十二面体の面のそれより100倍の差があり、八面体の面に対する硬度はこの2極値の中間に位置する。ダイヤモンドカット加工はこれらの性質を大いに利用している。特にカリナン・ダイヤモンドのような大きなダイヤモンド原石から傷ついた箇所を除去する時や原石から2つ以上の宝石を作り上げる際は、ダイヤモンドの劈開も役に立つ。 ダイヤモンドの結晶構造は、ダイヤモンド立方晶系(空間群ではFdmと表記)で、炭素原子で共有結合された四面体型で構成される。また六方晶のダイヤモンド(ロンズデーライト)が発見されたが、地球上に存在するのは非常に稀で、隕石中に含まれるか、研究実験により合成される。理論的にはロンズデーライトがダイヤモンドよりも硬いとされるが、ロンズデーライトの粒径サイズと質が十分でないため、この仮説を検証できないままである。ダイヤモンドの晶癖は自形で、形状は丸みを帯びた八面体あるいは滑らかな三角形の輪郭の八面体を取りやすい。他にも十二面体や稀に立方体も発見される。これは不純物である窒素がダイヤモンドを自形結晶に形成しやすくする役割を果たしているという事実が判明している。カリナン・ダイヤモンドといわれる史上最大のダイヤモンドは発見当初は形が不恰好であった。このようなダイヤモンドは純粋で、その為たとえ窒素でもほとんど含まれない〔。 八面体ダイヤモンドの表面には成長途中にできた三角形状の欠損や腐食による窪み(これらはトライゴン(''trigon'')といわれる)が存在しているため強い光沢を示す。ダイヤモンドの断口は、階段状または貝殻状で不規則な割れ目をしている。八面体の表面に多数の階段状を形成し、球状に近い形をしたダイヤモンドは一般的にゴムに似た鈍い光沢を放つ。この成長欠陥には、うろこ状や波状などの形状が見られる。ブラジルやコンゴ民主共和国で採掘されたあるダイヤモンドは多結晶で、また色は不透明で暗色、球形または放射状をしている。これらは「バラス」として知られ、単結晶ダイヤモンドの劈開面が無いものとして工業的に重要である。カーボナードは不透明なナノサイズの微細結晶を有する。バラスと同様、劈開面が存在せず、比重は2.9から3.5と幅広い。ブラジル、ベネズエラ、ガイアナで発見された「」といわれるダイヤモンドは、最も工業用ダイヤモンドとしての利用価値が高い。これもまた多結晶で半透明、不完全な形状をし、簡単に割れる〔。 非常に大きな硬度と強い分子結合を有する為、カット加工を施したダイヤモンドのカット面は最も平坦で、その面の縁は非常に鋭く尖っている。ダイヤモンドの表面は疎水性と親油性の性質を兼ね揃えている。前者の性質は、ダイヤモンドに水滴が置かれても、表面全体に拡散せずに水を弾くことを意味し、他のほとんどの鉱物はそのような特徴はない。そして後者の性質は、油やグリースはダイヤモンドに馴染みやすく、その他鉱物ではそれらは凝集する。この特性を利用してダイヤモンドがどうか疑わしい鉱物にグリースを塗布するグリースペンが開発されている。ダイヤモンド表面の炭素原子の末端が水素原子で結合している際は、ダイヤモンドは疎水性を、酸素原子とヒドロキシルラジカルでは親水性を示す。450°C以上で適切な反応ガスで処理すれば、ダイヤモンド表面の特性は完全に変化する。天然ダイヤモンドの表面の半分以下は酸素の単分子層で、残りは水素で構成されている為、疎水性を示す。この性質を利用した「グリースベルト」といわれるものを用いて、鉱山でダイヤモンドと他の鉱物を区別している。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ダイヤモンドの物質特性」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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