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===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ 迷彩 : [めいさい] 【名詞】 1. camouflage 2. disguise
ダズル迷彩(ダズルめいさい、)は、艦船に用いられた迷彩塗装。特に第一次世界大戦中に多くみられ、第二次世界大戦とそれ以降でも数は減ったが存在している。イギリス人画家ノーマン・ウィルキンソン (:en:Norman Wilkinson (artist)) の発案によるもので、対照色で塗装された複雑な幾何学模様で構成されていた。日本では「ダズル (Dazzle)」の日本語訳から幻惑迷彩ともよばれる。 == 原理 == 迷彩とは本来、対象物を周囲に溶け込ませ目立たなくさせるためのものであり、その定義からすればこのダズル迷彩は逆に注意をひきつけるため、有効とは思えない迷彩である。 しかしこの迷彩は、常に変化するあらゆる天候において艦船を完全に目立たなくすることはできないという考えから編み出された。 ダズル迷彩は敵に対して、艦船の艦種、規模、速度、進行方向などの把握を困難にさせる。 光学測距儀(レンジファインダー)による艦砲射撃を妨害する目的で考案され、艦船を目立たなくさせるのではなく、敵を混乱させることを意図していた〔"Camouflage , Norman Wilkinson", Letters, ''The Times'', Apr 04, 1939〕。この迷彩が施された艦船は船首と船尾との識別が困難であるだけでなく、見る側に近づいて来るのか逆に遠ざかっているのかもわかりにくい〔Glover, Michael. "Now you see it... Now you don't," ''The Times.'' March 10, 2007.〕。 レンジファインダーは光学視差の原理によるもので、オペレータが2つの対物レンズから取り込んだ別々の画像を調整し、1つの画像に一致させることで対象物への距離を測定している。ダズル迷彩はこれを難しくするもので、複雑なパターンにより、対象物の2つの画像が一致した瞬間でも乱れているように見える。これは潜水艦の潜望鏡にこの種のレンジファインダーが装備されるようになるとさらに意義を増した。また、ダズル迷彩には偽の船首波も描かれており、艦船の速度を誤認させる効果もあった。 このダズル迷彩は、デザインや配色を変えることで迷彩効果を向上させる実際的な検証方法がなかったにもかかわらずイギリス海軍本部に採用された〔Williams, David. (2001). ''Naval Camouflage 1914-1945,'' p. 35. 〕。ダズル迷彩は他国の海軍でも採用された。その結果、迷彩効果をさらに高める配色方式についてより科学的な研究が進められることとなった。あまりに細かい模様を描く方式は、遠距離では個々の模様がまるで見えなくなるため、「幻惑効果」にプラスでもマイナスでもないとされた。いろいろな距離を考えた場合、迷彩を施した艦船のある距離での視認性は、表面の有効平均反射率、色相、彩度といった科学的に測定可能な要素だけで決まる〔Williams, p. 40. 〕。 イギリスでは陸軍が1916年の終わりに陸上使用のための迷彩研究の部署を設立した。海軍では1917年に、ドイツの無制限潜水艦戦によって商船の被害が大きくなり、迷彩が改めて注目された。海洋画家のノーマン・ウィルキンソンが乱れた縞模様を用いて艦船の速度、寸法を誤認させるシステムを考案した〔Fisher, Mark. "Secret history: how surrealism can win a war," ''The Times.'' January 8, 2006.〕。当時イギリス海軍の巡視艇の佐官だったウィルキンソンは、まずダズル迷彩の原型となるものを商船「インダストリー(Industry)」号に施した。イギリス海軍の艦艇で最初にダズル迷彩が施されたのは、1917年8月の「アルセイシャン」(Alsatian)である。 イギリスで使われたダズル迷彩に同じパターンは存在せず、当初は室内で小さな木造模型を用いて潜望鏡でのテストが実施されている。この模型の塗装はほとんどがロイヤル・アカデミー・オブ・アーツに在籍していた女性たちが手がけ、これらのデザインを拡大して本物の艦船に塗装した。迷彩のデザインは彫刻家、画家、舞台美術家などが行なった〔Paulk, Ann Bronwyn. "False Colors: Art, Design, and Modern Camouflage (review)," ''Modernism/modernity.'' 10:2, 402–404 (April 2003). DOI: 10.1353/mod.2003.0035〕。ヴォーティシズムの画家エドワード・ワズワースは、2,000以上の軍艦の迷彩を指導した。第一次世界大戦後のワズワースの絵画には、ダズル迷彩の艦船を描いた作品がある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ダズル迷彩」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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