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チェンバロ(, )は、鍵盤を用いて弦をプレクトラムで弾いて発音させる楽器で、撥弦楽器(はつげんがっき)、または鍵盤楽器の一種に分類される。英語ではハープシコード ()、フランス語ではクラヴサン () という。 狭義にはグランド・ピアノのような翼形の楽器を指すが、広義には同様の発音機構を持つヴァージナルやスピネット等を含めた撥弦鍵盤楽器を広く指す〔E. M. Ripin, H. Schott, J. Koster, D. Wraight, B. K. de Pascual, G. G. O’BRIEN, A. Huber, W. Dowd, C. Mould, L. Whitehead, M. Elste, "Harpsichord," ''The New Grove Dictionary of Music and Musicians,'' 2nd ed., London, Macmillan, 2001.〕。 チェンバロはルネサンス音楽やバロック音楽で広く使用されたが、18世紀後半においてピアノの興隆と共に徐々に音楽演奏の場から姿を消した。しかし20世紀に復活し、古楽の歴史考証的な演奏に用いられ、現代音楽やポピュラー音楽でも用いられている。 == 構造 == === 発音機構 === 撥弦鍵盤楽器の大きさや外形は多様であるが、発音機構の基本は共通している。 奏者が鍵を押し下げると、他端に載っているジャックと呼ばれる薄板状の部品が持ち上がり、ジャックの側面に装着された鳥の羽軸などからできたプレクトラムが弦を下から上に弾いて音を出す。 奏者が鍵から手を放すと、他端が元の位置に戻り、ジャックも下がる。このときプレクトラムは弦を回り込んで落ちるための機構、「タング」の上に装着されているため、弦に強く触れない。そしてジャックの上に付けられたフェルト製のダンパーによって弦の振動が止められる。 以下では上記の基本原理をより詳細に説明する。 鍵(1)は単純な梃子で、鍵にあけられた穴に差し込まれたバランスピン(24)を支点として動く。 ジャック(17)は通常硬い木で作られた薄い長方形の木片で、鍵の端に垂直方向に立てられ、上下のジャックガイド(7・22、レジスターとも)で支えられている。ジャックガイドは、スパイン(左側の長い側板)側からチーク(鍵盤右の短いまっすぐな側板部分)側まで走るギャップの中に設置される、ほぞ穴のある細長い2枚の板で、このほぞ穴の中をジャックが上下に動く。アッパー・ガイドはしばしば可動である(図4を参照)。 イタリアのチェンバロでは、ボックス・スライドと呼ばれる厚みのある単一のジャックガイドが用いられる。 ジャックの上部には、タング(図2-3)という硬い木でできた小さい可動性の部品が、イノシシの毛や薄い真鍮板などで作られたバネを介して取り付けられている。タングからはほぼ水平にプレクトラム(図2-4)が突き出ており(通常はごく僅かに上方向に角度をつける)、プレクトラムは弦の下ぎりぎりの位置に設置される。歴史的にはプレクトラムはワタリガラス (raven) などの鳥の羽軸で作られていたが、現代では保守が容易なデルリン製のプレクトラムを用いる場合も多い。 プレクトラムが弦を弾く位置(プラッキング・ポイント)は音質を決定する重要な要素であり、ナット(図1-5、ブリッジに似た弦の振動長を決定する構造)からの距離で示される。ナットに近い位置で弦を弾くと倍音が強調され、「鼻にかかった」音色となる。一般にプラッキング・ポイントの距離は低音域に向かって漸増するが、弦の振動長(ナット-ブリッジ間距離)に対する比率は減少する。 A) 操作されていない状態のジャック。ジャックの一番上にはフェルト製のダンパー(図3-3)が突き出ており、鍵が押されていないときには弦の振動を止めている。 B) 鍵を押すことでジャックが上がり始めた状態。ジャックが上昇するにつれ弦に押し当てられたプレクトラムは徐々にたわんでいく。 C) プレクトラムは湾曲の限界点を超えて、弦を弾き、振動を起こす(音の発生)。ジャックの垂直に跳ね上がる動きはジャックレール(図1-6/3-1)によって止められる。ジャックレールの内側はジャックの衝撃を和らげるために柔らかいフェルト(図3-2)がつけられている。 D) 鍵から手を離すと、鍵のもう一方の端は自重で元の位置に戻り、それに従ってジャックも下に降りる。この際プレクトラムは弦に触れるが、弾力のあるタング(図3-6)の働きによって後方に退き、ほとんど音を生じることなく弦の下に戻る。その後バネ(図3-8)の仕掛けによってタングは元の位置に戻る。ジャックが元の位置まで降りるとフェルト製のダンパーが弦の上に乗り消音する。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「チェンバロ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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