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チーズの歴史 : ミニ英和和英辞書
チーズの歴史[ちーずのれきし]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [ちょうおん]
 (n) long vowel mark (usually only used in katakana)
歴史 : [れきし]
 【名詞】 1. history 

チーズの歴史 : ウィキペディア日本語版
チーズの歴史[ちーずのれきし]

チーズは古くからある食べ物であり、加工食品としては最古の歴史を持つため、その起源は先史時代まで遡る。自然にレンネットの恩恵に与ることのできる、反芻動物でつくった囊にいれてを運搬する習慣があるところには必ずついてまわるといってよい。チーズづくりの発祥の地がどこであるかを示す決定的な証拠はなく、ヨーロッパ中央アジアあるいは中東かは定まっていない。中欧ポーランドでは紀元前5500年ごろのスウィデリアン文化時代におけるチーズづくりの道具が発見されており、これが現在のところ最も古いチーズ製造の証拠である。そこから下って紀元前3100年ごろになるとサハラメソポタミア牧草地帯でエジプト人シュメール人によって酪農が営まれていたという有力な証拠が存在する。またチーズづくりがヨーロッパで古くから定着していたことはヘレニズム初期の神話からも読み取ることができる〔ギリシア神話における文化の英雄は アリスタイオスである。彼はギリシア養蜂とチーズづくりを伝えた神である〕。大プリニウスによれば、ローマ帝国が成立する時代には経済活動としてすでに洗練されていて、高価なチーズは上流階級のローマ人の舌を満足させるために長い距離をものともせずに取引されていた。

== 最初期 ==
チーズの起源として想像しうる最古の年代は山羊家畜化される紀元前6000年前後であり、したがって正確な年代は確定できない。紀元前3000年ごろには酪農がエジプトシュメールで行われた記録があり、サハラの草地ではさらに早くから行われていたことをうかがわせる〔F.J. Simoons, "The antiquity of dairying in Asia and Africa", ''Geographical Review'', 61.3 (July 1971).〕。チーズをつくっておくことは高温気候でも乳が保存できる唯一の方法であるため、チーズづくりはそもそも酪農が営まれていなければ始まらない。動物の皮と空気を吹き込んだ内蔵とは古代からさまざまな食料を貯蔵しておく容器の役割を果たしていた。おそらくチーズづくりの歴史とは、反芻動物の胃でできた入れ物に留め置いた乳がどうなったかを偶然に発見したことに始まる。胃にのこっているレンネットによって乳がカード(凝乳)ホエー(乳清)とに変化することに気づいた人間がいるのだ。アラブ人の伝説がチーズの発見者とたたえるのはこのようにして乳を貯蔵した紀元前12世紀ごろのアラブの商人である〔Jenny Ridgwell, Judy Ridgway, ''Food around the World'', (1986) Oxford University Press, ISBN 0-19-832728-5〕〔Vicki Reich, ''Cheese'' January 2002 Newsletter 〕が、すでにシュメール人たちの間ではチーズはよく知られた食べ物になっていた〔古代シュメールの時代には、牧夫が納めるチーズの割当が定められていたという記録がある。''はかり'' には決まった量の液体が入る壺が使われていた(伝統的な穀物用の''はかり'' でもある)。これは古典期にはチーズが固形物として計量されていたことを考えると対照的である (S. Carmona, M. Ezzamel"Accounting and accountability in ancient civilizations: Mesopotamia and ancient Egypt", ''Accounting, Auditing & Accountability Journal'' 20. (2007:177-209).〕。例えば、紀元前21世紀頃のシュメール王朝、ウル第三王朝シュルギ王の時代に記された粘土板文書には、年間63リットルのチーズが生産されていたことが記録されており、また、紀元前18世紀のハンムラビ王の時代には、市場で売買されているチーズに高い税が課されていたことがハンムラビ法典の碑文に記されている〔トゥーサン=サマ (1998) 112ページ。〕。そしてチーズづくりは西アジアから大きく三つの世界へと拡がったというのが従来の説である。ホロートビヤスラグといった種類のチーズが生まれたモンゴル、次にパニールやチャーナが発祥のチベットインド、最後にギリシャイタリアなどを入り口とするヨーロッパ、ということになっていた。
ところが、近年〔http://www.afpbb.com/articles/-/2916512?pid=9989394〕になってこの従来の説を覆しかねない大発見があった。人類最古のチーズ製造の痕跡は意外なことに欧州ポーランドで発見されたのだ〔http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2916512/9989394?ctm_campaign=txt_topics〕〔http://mainichi.jp/feature/news/20121213reu00m030007000c.html〕。これは陶器の破片で、イギリスブリストル大学などの国際研究チームがこれに付着していた物質を詳細に分析したところ、山羊の乳のチーズであること、この陶器がチーズの漉し器であること、が判明した。これは約7500年前のものでスウィデリアン文化にあたり、メソポタミアシュメール人の時代よりも古く、上記のチーズ発明の推測時期とほぼ合致する非常に古いものである。これをもってポーランドがチーズの起源と断定することはできないが、少なくともこの紀元前6000年紀のチーズ製造という大発見により、中東や北アフリカに起源を求めていた従来の定説が、根底から覆される可能性が浮上したのである。そもそもチーズの起源を求めるときは、当時の世界各地の気候条件や植生が現在のものとは大きく異なっていたことを考慮すべきであった。当時のポーランドは、酪農およびチーズ製造に適した気候条件にあったのだ。
実際のチーズづくりには、より貯蔵に適した状態にするためにと凝固した乳にして押し固めることは絶対条件ではない。乳を動物の胃のなかにいれたほうが、結果的に風味もよくなりしっかり凝結することを観察することが、意図的にレンネットを加えることにつながったのだろう。ヌーシャテルの湖上に建てられたアーンフィールド文化期の水上住宅からは、チーズの漉し器とおぼしき穴が開けられた陶器の破片が見つかっているが〔Toussaint-Samat 2009:103.〕、チーズ(''GA.UAR'')とはっきりわかる最初期の痕跡は紀元前2千年紀ごろのシュメール人の楔形文字の文章である〔In NBC 11196 (5 NT 24, dated Shu-Sin 6), the 'abra's of Dumuzi, Ninkasi, and I'kur receive butter and cheese from the 'abra of Inanna, according to W.W. Hallo, "The House of Ur-Meme", ''Journal of Near Eastern Studies'', 1972; a Sumerian/Akkadian bilingual lexicon of ca 1900 BCE lists twenty kinds of cheese.〕。チーズづくりの絵画的な史料としては古代エジプト墓所に描かれた壁画があげられるが、これは年代としては紀元前2000年ごろにあたる。その頃のチーズはきわめて酸味塩気が強いものである可能性が高く、風味の似通ったものを探すならば田園風のカッテージチーズか、フェタチーズ、あるいは脆いが味わいのあるギリシアのチーズあたりになるだろう。青銅時代の後期、ミノアミケーネ文明のころのクレタでは、線文字Bによる銘板にチーズ(''tu-ro'')の目録がつくられているし、羊の群れを放牧して育てる人間がいたこともわかっている〔Michael Ventris and John Chadwick, ''Documents in Mycenaean Greek'', 2nd ed. (Chambridge University Press) 1973:572, 588; implications of modern pre-industrial Cretan pastoralists and cheese production for interpreting the archaeological record, are discussed by H. Blitzer, "Pastoral Life in the Mountains of Crete", 1990 .〕。
中東よりも涼しい気候のヨーロッパでつくられたチーズは保存のために必要な塩は少なかった。塩分や酸味が抑えられているということは、チーズが有益な微生物にとってよい環境になり、成型も容易になるということでもある。そして時間をおいたチーズにはっきりとした、それでいておもしろい風味が加わることにもつながった。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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