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ヅダ : ウィキペディア日本語版
ヅダ

ヅダ (ZUDAH) は、2004年から2006年にかけて公開されたOVA機動戦士ガンダム MS IGLOO』を初出とし、ガンダムシリーズ宇宙世紀(ユニバーサル・センチュリー、U.C.)系作品群に登場する架空のロボット兵器
人型機動兵器「モビルスーツ(MS)」のひとつ。「ジオン公国」の試作型MSで、「ザクI旧ザク)」の競合機種として開発された機体。性能ではザクIを上回っていたが、欠陥による事故が原因で競合に敗北したとされる。後に改良が加えられ、主要人物たちが所属する「第603技術試験隊」によって評価試験が行われる。漫画『機動戦士ガンダム 黒衣の狩人』でも、主人公の搭乗機として活躍する。
== 機体解説 ==

宇宙世紀0071年、ミノフスキー粒子散布下の戦場での有視界での近接戦闘の有効性が明らかになったことを受けて、ジオン軍当局は連邦軍との物量差を打破しうる新兵器の開発をジオニック社ツィマッド社MIP社に委託した。これに応えてツィマッド社が得意の推進装置分野の技術を活かし宇宙空間での機動性と推力を重視して設計・開発したのが「EMS-04 ヅダ」である。大出力スラスターとAMBACを併用して急激な姿勢制御を可能とする「広帯域推進技術」が盛り込まれており、そのために「水星エンジン」の試作を経て完成した「木星エンジン」が搭載された。これによりEMS-04は当時としては破格の運動性を獲得した。
宇宙世紀0075年初頭、本機はジオニック社の提出した「YMS-05 ザク」(後のザクI)と共にジオン軍での制式採用を賭けたコンペティションに臨んだ。格闘性能試験・飛行性能試験それぞれにおいてザクを凌駕し、軍上層部の一部からも「ヅダ勝利」の声が上がっていたが、飛行性能試験の場で空中分解事故を起こし機体を喪失、テストパイロットが死亡してしまう。大推力、高加速、AMBACシステムを併用した急激な方向転換で機体構造に大きな負荷がかかったのが原因であった。また、1機あたりの生産コストがザクの1.8倍近くに上り、国力・資源に限界のあるジオンにとってこの高コストは軽視できない問題であった。選考の結果、コストも安く信頼性・汎用性が高いザクが制式採用・量産化が決定された。なお、このコンペ並びに選考結果については、ジオニック社と政権の癒着や裏工作があったとテストパイロットのデュバル少佐が主張しているが、真相は明らかにされていない〔ヅダのデザインを担当した出渕裕によると、このエピソードはドイツの戦闘機He 100が他社の競合機よりも高い性能を示しながらも不採用に終わり、その後架空の部隊マーキングを施して対外宣伝に使用された実話がヒントになっているという。〕。
だが、ザクの量産開始後も本機の開発中止命令は出ず、一年戦争が勃発し戦場が地上に移ってからも開発は続けられた。オデッサ作戦の直前の10月、すでに制式採用が決定していた新型エンジンに換装し、新世代の素材、制御システムを採用した「EMS-10 ヅダ」が完成した。この新型エンジンは通称「土星エンジン」と呼ばれ、ドムおよびリック・ドムにも採用されたものである。このEMS-10はEMS-04とは外観が若干異なっており、特に肩、胸部、腰の装甲形状とバックパック、盾に格闘用のピックが付加されている点に違いがみられる。また機体構造にも大幅な改良が施され、劇中ではEMS-04とは全く別の機体であると喧伝されていた。
圧倒的なまでの加速性能は当時のMSの中でも群を抜いており、最大推力ではRX-78 ガンダムをも凌駕した。エンジンは背部に露出しており、バーニアノズルの向きを変えるだけで失速することなく急激な方向転換が行えた。また、隊長機と2・3番機、予備機は、モノアイスリットの形状などそれぞれ頭部パーツに若干違いがある。
しかし、EMS-10の実態は、戦況が逼迫しつつあるジオン公国が自軍や国民に対する戦意高揚および地球連邦軍に対する欺瞞、すなわちプロパガンダのために流した誇張情報である可能性が高い。実際マイ中尉の調査によればEMS-10のエンジン暴走時の数値はかつてEMS-04のエンジン事故で起こった際の数値と酷似していた。その上「改良点」も詳細不明で、スペック上もスラスターの最大推力は全く同一であった。この事実から改良は行われていなかったか、ごく細部でしか行われていなかったのではないかと推測されている。また、前述の理由からエンジンに至っては本当に「土星エンジン」に換装されていたかどうかすら疑問も持たれている〔OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO』第3話「軌道上に幻影は疾る」におけるオリヴァー・マイ技術中尉の分析と台詞より。〕。
なお、ヅダの劇中での登場シーンは宇宙空間のみであり、コロニー内や地球上での活動能力の有無は不明である。
しかしながら、エンターブレイン『機動戦士ガンダム MS IGLOO 完全設定資料集』には「ジオン公国軍はU.C.0071、国内の企業に「ミノフスキー粒子環境下の有視界戦闘」に対応した軍用汎用MSの開発を発注した。ジオン公国軍当局が、これらの兵器に求めた性能は、
# 地球から月周辺を含む、真空かつ、無重力空間における近接戦能力
# 1気圧1G環境下―つまり地球上―での、歩く戦闘車輌
としてのふたつであった。」とされており、その依頼を受けてツィマッド社はこの際EMS-04を開発している。そして、前述の通り宇宙世紀0075年初頭、ジオニック社の提出した「YMS-05 ザク」(後のザクI)と共にジオン軍での制式採用を賭けたコンペティションにEMS-04で臨んで、結果、選考で不採用となり敗れているが、その要因に機体の地球上の適性の有無が含まれていない。また、EMS-10はEMS-04を改良した機体であり、一年戦争が勃発し戦場が地上に移ってからも開発は続けられ、オデッサ作戦の直前の10月に完成した機体である。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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