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テロメラーゼ () は、真核生物の染色体末端(テロメア)の特異的反復配列を伸長させる酵素。テロメア伸長のテンプレート(鋳型)となるRNA構成要素と逆転写酵素活性を持つ触媒サブユニットおよびその他の制御サブユニットによって構成されている〔Jabion TERT 〕〔Jabion TERC 〕〔Jabion DKC1 〕〔Jabion TEP1 〕。 テロメラーゼ活性が低い細胞は、一般に細胞分裂ごとにテロメアの短縮が進み、やがてヘイフリック限界と呼ばれる細胞分裂の停止が起きる〔東京都老人総合研究所 「ヒト胎児肺線維芽細胞(ヘイフリックモデル) 」〕〔GEヘルスケア・ジャパン株式会社「バイオダイレクトメール vol.40 細胞夜話WI細胞〜Hayflick Limit発見の立役者 」〕。テロメラーゼは、ヒトでは生殖細胞・幹細胞・ガン細胞などでの活性が認められ、それらの細胞が分裂を継続できる性質に関与している。このことから、活性を抑制することによるガン治療、および活性を高めることによる細胞分裂寿命の延長、その両面から注目を浴びている。 酵素によりテロメアが伸長されることは、1973年にアレクセイ・オロヴニコフによって最初に予測された。彼はまた細胞老化に関するテロメア仮説およびガンとテロメアの関連について示唆を行った。 1985年にカリフォルニア大学のキャロル・W・グライダーとエリザベス・H・ブラックバーンは、テトラヒメナからこの酵素を単離したことを公表した。グライダーとブラックバーンはジャック・W・ショスタクと共に、テロメアとテロメラーゼに関する一連の研究で〔、2009年ノーベル生理学・医学賞を受賞した〔AFPBB News (2009年10月06日フランス通信社発信ニュース)「ノーベル医学賞、寿命をつかさどるテロメアとテロメラーゼ酵素とは? 」〕〔The Nobel Prize in Physiology or Medicine 2009 ; The Telomere– Function and Synthesis(pdf) 〕。 == 概要 == === 構造と機能 === テロメラーゼはテロメア配列の鋳型となるRNAと逆転写酵素、その他の制御サブユニットからなる複合体である。RNA構成要素はTERC、逆転写酵素はTERTと呼ばれる。このRNAの長さはテトラヒメナで159塩基長、ヒトで451塩基長、出芽酵母で約1,300塩基長と様々である。逆転写酵素の活性部位はRNA型トランスポゾンがコードするそれと相同性がある。過剰発現の実験から、テロメラーゼ活性自体はRNAと逆転写酵素の二つの構成因子で十分であることがわかっているが、テロメラーゼは生体内において巨大な複合体 (1MDa以上) を形成しており、正常な機能には他の構成サブユニットも必要である。 ヒトのテロメラーゼは、TERT〔、TERC〔、ジスケリン〔、TEP1〔などのサブユニットによって構成されており、それらは異なる染色体上の遺伝子座にコードされている。TERT翻訳産物(タンパク質)は、非翻訳RNAであるTERCと一緒に折りたたまれる。TERTは一本鎖テロメア反復配列を付加できるように染色体の周囲を覆う二股の構造をとる。TERTとテロメアの鋳型を含むTERCは隣接している。ヒトTERCでは鋳型配列領域は 3'-CAAUCCCAAUC-5'であり、これを元にTERTはテロメアの3'側へ塩基を付加する(脊椎動物では6塩基配列5'-TTAGGG-3'(GGTTAG)を付加するが、他の生物では別の配列)。テロメラーゼは、この塩基付加を繰り返し、染色体のテロメアの伸長を行う。 コクヌストモドキ TERTのタンパク質構造の詳細な解析が、2008年に行われた。このTERTは4つの保存されたドメイン(TRBD, fingers, palm, thumb)を含むタンパク質であり、レトロウイルスの逆転写酵素・ウイルスのRNAポリメラーゼ・バクテリオファージのDNAポリメラーゼ(ファミリーB)と共通の特徴を持つ環状構造をとっている。 テロメアおよびテロメラーゼの分子機構に関する実験には均一な細胞群を用いることが求められるため、主に出芽酵母やテトラヒメナといった単細胞生物、および哺乳類では培養細胞を用いて研究が行われている。テロメラーゼは細胞周期のS期(DNA合成期)にテロメアに誘導されて機能する。出芽酵母の研究では、テロメラーゼは細胞内で最も短いテロメアから優先的に伸長させていくことがわかりつつあり、長すぎるテロメアには抑制的に働く機構が見いだされている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「テロメラーゼ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Telomerase 」があります。 スポンサード リンク
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