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デバイ振動数 : ミニ英和和英辞書
デバイ振動数[すう, かず]
=====================================
〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

振動 : [しんどう]
  1. (n,vs) oscillation 2. vibration 
振動数 : [しんどうすう]
 (n) frequency
: [どう]
 【名詞】 1. motion 2. change 3. confusion 
: [すう, かず]
  1. (n,n-suf) number 2. figure 

デバイ振動数 ( リダイレクト:デバイ模型 ) : ウィキペディア日本語版
デバイ模型[でばいもけい]

デバイ模型(デバイもけい、Debye model)とは熱力学固体物理学において、固体におけるフォノン比熱(熱容量)への寄与を推定する手法である。1912年ピーター・デバイにより考え出された。デバイ模型では、原子の熱による格子振動を箱の中のフォノンとして扱う。一方、先に発表されていたアインシュタイン模型では、固体を相互作用のない量子的な調和振動子の集まりとして取り扱う。
デバイ模型は低温における比熱が温度の三乗 に比例することを正しく予言する。また、アインシュタイン模型同様、比熱の高温におけるデュロン=プティの法則に従う振る舞いも正しく説明することができる。しかし、格子振動を単純化して扱っているため、中間的な温度における正確性には弱点がある。
デバイ模型についての厳密な取り扱いについては、を参照。
== 導出 ==
デバイ模型はプランクの法則に対応する固体状態の模型である。プランクの法則では電磁波を箱の中のフォノンの気体として取り扱う。デバイ模型では格子振動を箱の中のフォノンとして取り扱う(箱とはその固体である)。計算の大半の過程はプランクの法則における計算と非常に似通っている。
一辺の長さが 立方体を考える。井戸型ポテンシャルの項目より、箱内部の音の散乱の反響モード(ここでは1次元について考える)は以下で与えられる波長をもつ。
ここで は整数である。フォノンのエネルギーは
である。ここで はプランク定数であり、 はフォノンの周波数である。周波数は波長に反比例するという近似をすると、以下の式を得る。
は固体中の音速である。3次元では以下の式となる。
周波数は波長に反比例する(すなわち音速が一定である)という近似は低エネルギーのフォノンには良い近似であるが、高エネルギーではあまりうまくいかない(フォノンの項目を参照)。これはデバイ模型の限界のひとつであり、(高温や低温では正確な結果を出すのに対し)中間的な温度では結果が不正確になってしまっている。
箱の中の全エネルギーを計算しよう。
ここで は箱の中で のエネルギーをもったフォノンの数である。言い換えると、全エネルギーはあるエネルギーにそのエネルギーをもつフォノンの数をかけ、総和をとったものに等しい(ここでは1次元を考えている)。3次元では、以下を得る。
ここでデバイ模型プランクの法則に違いが生じる。箱の中の電磁波とは違い、フォノンの周波数は無限大になることができないためにフォノンのエネルギー状態が有限となる。フォノンの周波数は伝播の媒体(=固体の原子格子)に拘束される。横波のフォノンの図を以下で考える。
上の図で示すように、フォノンの波長の最小値が原子間隔の2倍であると仮定することは道理にかなっている。固体中には原子が 個あり、今考えている固体は立方体であるから、一辺あたりの原子の数は 個である。よって原子間隔は で与えられ、よって波長の最小値は
となり、さらにモード数 の最大値は(フォトンでは無限大なのに対し)以下である。
この最大のモード数 は3つのエネルギーの総和の上限である。
ゆっくりと振舞う正常な関数では、総和は積分で置き換えることができる。(このことはトーマス=フェルミ近似として知られている。)
ここまでの計算で、 (=エネルギー をもつフォノンの数)には言及しなかった。フォノンはボース=アインシュタイン統計に従う。その分布は有名な以下のボース=アインシュタインの公式で与えられる。
フォノンは3つ(1つの縦波と(フォノンのエネルギーにほとんど影響しない)2つの横波)の偏光状態をとることができる。そのため上の公式を3倍する必要があり、ここでの分布は以下となる。
(実際には、「有効音速」 を使うこともある。例えば、デバイ温度 (以下を参照)は単純にいうと に比例し、より正確には縦波と横波の速度を区別(それぞれ1/3と2/3の寄与)してT_D^\propto c_^:=(1/3)c_^+(2/3)c_^と表される。デバイ温度や有効音速は結晶の硬度の評価基準となっている。)
エネルギーを求める積分の式に を代入して以下を得る。
フォトンではこれらの積分は簡単に行うことができる。それは光の周波数が(少なくとも準古典的には)拘束されないためである。上の図が示すように、フォノンにおいてこれは正しくない。そこでデバイは3重積分を計算するため、球座標
を用いて、立方体を球の1/8と大胆に近似した。
ここで は球の半径(立方体と球の1/8とで粒子数が一致するように定める)であり、 立方体の体積は単位格子の 個分の体積である。
よって次を得る。
以上で正しい本来の積分を球の積分に置き換えたことにより、再び模型に不正確さが生じてしまっている。
エネルギーを求める積分は以下の式となる。
積分変数をx = に変えて
式を簡単に表記するため、デバイ温度 (定数をいくつかまとめたものであり、物質に依って異なる定数)を定義する。


以上より、比内部エネルギーを得ることができた。


ここで は3次のデバイ関数である。
に関して微分をすると、無次元量の熱容量を得る。これがデバイの比熱式である。


これらの公式はデバイ模型を任意の温度で扱っている。以下で導くより単純な公式は、高温や低温の極限における漸近的な振る舞いを記述する。既に言及したように、この低温や高温における振る舞いは(中間的な温度における振る舞いが不正確なのに対して)正確である。低温でデバイ模型が正確なのは、デバイ模型は低周波数の正しい分散関係 を与えるためである。また、高温で正確なのは周波数の間隔あたりの振動の数が正確な総和則(\int g(\nu ) \, \equiv 3N)に一致するためである。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「デバイ模型」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Debye model 」があります。




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