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トリノ=ミラノ時祷書 : ミニ英和和英辞書
トリノ=ミラノ時祷書[とりの=みらのじとうしょ]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [とき]
  1. (n-adv,n) (1) time 2. hour 3. (2) occasion 4. moment 
: [しょ]
 【名詞】 1. penmanship 2. handwriting 3. calligraphy (esp. Chinese)

トリノ=ミラノ時祷書 : ウィキペディア日本語版
トリノ=ミラノ時祷書[とりの=みらのじとうしょ]

トリノ=ミラノ時祷書』(トリノ=ミラノじとうしょ、、)は、15世紀に制作が開始されたが、後に分割されて最終的には未完成に終わった装飾写本の分冊。厳密な定義からすると時祷書とは必ずしもいえないが、その並外れて高い品質と美術史上の重要性、さらに交錯した制作過程と後年にたどった歴史によって有名な作品である。この時祷書には、1420年ごろにヤン・ファン・エイクとその兄フーベルト・ファン・エイクが描いた、あるいはこの二人と関係がある芸術家によるものと思われる挿絵(ミニアチュール)が含まれている。さらにその後10年以上経ってから、バーテルミー・デック〔ファン・エイク兄弟の親族ともいわれている。〕も数点のミニアチュールを追加したと考えられている。数箇所の場所に分割して所蔵されていたが、そのうちトリノで保管されていたものが1904年に火事にあって焼失してしまい、現在では白黒写真しか残っていないものがある〔Walther & Wolf, p.238〕。

== 来歴 ==
『トリノ=ミラノ時祷書』の制作が始まったのは1380年か1390年ごろのことである。おそらく制作依頼主は、後にこの時祷書の所有者となる、フランス王シャルル5世の弟で、当時もっとも多くの装飾写本を収集していたベリー公ジャン1世だったと考えられている。また他の説として、シャルル5世とジャン1世の伯父で、フランス宮廷の有力者だったブルボン公ルイ2世が依頼主ではないかとするものもある〔Châtelet, p.194〕。「時祷書」という名前で呼ばれてはいるものの、その内容は時祷書、祈祷書、ミサ典礼書が組み合わされたようなあまり例のない書物で、内容には多くのミニアチュールが使用されている。最初に制作にかかわった芸術家は、当時の第一人者で「ナルボンヌ祭壇画の画家」または「パルマンの画家」(:en:Master of the Parement) と呼ばれていた画家だった〔「ナルボンヌ祭壇画の画家」あるいはその工房によるミニアチュール。〕。おそらくジャン1世がこの時祷書を所有していたと思われる1405年ごろには他の芸術家も制作に関与するようになり、その後、未完成の状態だった装飾写本はジャン1世の財務担当官ロビネ・デゼスタンに下賜され、デゼスタンの手によって複数に分割された〔ジャン1世が分割したという説もあるが (Walther & Wolf, p.239)、デゼスタンが分割したという説が多い (Harthan (p.56) and Châtelet (p.194))。〕。分割された時祷書のうち、デゼスタンはミニアチュールの大部分が完成していた部分を手元に残し、これが後に『ベリー公のいとも美しき聖母時祷書』として知られるようになる〔よく似た名称の『いとも美しき聖母時祷書』と呼ばれる、同じくベリー公が制作させた時祷書がブリュッセルに所蔵されている。こちらの時祷書のミニアチュールは、主にジャクマール・ド・エダン (:en:Jacquemart de Hesdin) に手によるものである。〕。『ベリー公のいとも美しき聖母時祷書』は18世紀までデゼスタン家が所有していたが、19世紀にこの時祷書を所有していたロートシルト家から、1956年にパリのフランス国立図書館に寄贈された〔BnF 67 miniatures online – note Ms number & start at "Cote"〕。25点のミニアチュールが描かれた126枚の二折版で、ミニアチュールのうち最後に描かれたものは1409年ごろの作品であり、このなかにはリンブルク兄弟が描いた作品が含まれている〔Walther & Wolf, p.234〕。
ロビネ・デゼスタンはジャン1世から下賜された時祷書のうち『ベリー公のいとも美しき聖母時祷書』以外の部分は売り払ったと考えられている。このことから、当時の装飾写本ではテキストよりも挿絵たるミニアチュールが重要視されていたということができる。デゼスタンが売り払ったのは、文章こそ完成していたがミニアチュールはほとんど描かれていなかった部分で、これらはネーデルラントの芸術家を庇護した、ヴィッテルスバッハ家のバイエルン公ヨハン3世〔ヨハン3世は、ブルゴーニュ公フィリップ3世に仕える以前のヤン・ファン・エイク宮廷画家としていた。〕、あるいはその一族が1420年までに入手した〔Châtelet, p.27 ff. ホラント伯ヴィッテルスバッハ家はフランスとブルゴーニュのヴァロワ家と関係が深い一族だった。ブルゴーニュのヴァロワ家は、ヴィッテルスバッハ家の所領だったネーデルラントの諸伯領を相続している。ロビネ・デゼスタンが手放した装飾写本を最初に入手したのはヨハン3世の長兄バイエルン公ヴィルヘルム2世といわれている (Kren, p. 83)。しかしながらこの説に反対を唱える学者も存在する (Châtelet p.28、Harthan, p.56)。〕。そして、ヴィッテルスバッハ家が入手して以降、装飾写本には2度にわたってミニアチュールが追加されており、最後に手が加えられたのは15世紀半ば近くになってからのことだった。美術史家ジョルジュ・ユラン・ド・ルーは、この装飾写本には11人の画家のミニアチュールが確認できるとし、「画家 A」から「画家 K」までの作品として分類した〔Bernhard Ridderbos in ''Early Netherlandish Paintings'' , 240, Bernhard Ridderbos, Henk Th. van Veen, Anne van Buren, Amsterdam University Press, 2004 ISBN 90-5356-614-7〕〔Hulin de Loo biography 〕。
その後、この装飾写本はブルゴーニュ公フィリップ3世、あるいはブルゴーニュ宮廷の関係者の所有となっている。バイエルン公家の宮廷画家だったヤン・ファン・エイクが、ヨハン3世の死後にブルゴーニュ公家の宮廷画家になっていることから、ヤン・ファン・エイクがブルゴーニュ公国へと装飾写本を持ち込んだ可能性もある。
ブルゴーニュ公国へ持ち込まれた装飾写本の大半がもとの時祷書の祈祷書部分であり、これがのちに『トリノ時祷書』として知られるようになった。1479年にサヴォイア家の所有となり、1720年にサルデーニャ王ヴィットーリオ・アメデーオ2世がトリノ国立図書館へと寄贈した。しかしながら、1904年にトリノ美術館が火災にあい、所蔵されていた他の貴重な写本ともども、『トリノ時祷書』は40点のミニアチュールが描かれた93枚分が焼失、破損してしまった〔Finns Books 〕。火災にあう以前の1800年ごろに、イタリアの王族と思われるコレクターが、『トリノ時祷書』のうちミサ典礼書にあたる部分をフランスのパリへと持ち込んでおり、これがのちに『ミラノ時祷書』と呼ばれるようになったものである。そして1904年の火災の後、28点のミニアチュールが描かれた126枚分の『ミラノ時祷書』を、トリノが1935年に入手し〔トリノが購入したとも、あるいはトリノに寄贈されたとも言われる。〕、現在トリノ市立美術館の所蔵となっている。また、オリジナルの『トリノ時祷書』から、おそらくは17世紀に8枚分が除かれている。そのうち、5点のミニアチュールが描かれている4枚はルーヴル美術館が所蔵しており、この5点のミニアチュールのなかで、大きめの作品4点はフランス時代にフランス人画家が描いたもので、残る作品1点は後年になってからフランドル時代に追加されたものである (RF 2022-2025)〔ルーヴル美術館 〕。最後期になってから追加されたミニアチュールが描かれた1枚を、アメリカのJ・ポール・ゲティ美術館が所蔵しているが、これはベルギーのプライベートコレクションから、一説では100万米ドルで購入したものだといわれている〔Getty Museum Also No.1 in Kren & McKendrick. On the price, see this somewhat garbled report (last sentence, in French) 〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「トリノ=ミラノ時祷書」の詳細全文を読む




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