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ニレ立枯病(英名:Dutch elm disease、略称:DED)はニレ属(学名:''Ulmus'')の樹木に発生する感染症である。 子のう菌の一種を病原とし、キクイムシの媒介によって感染拡大する。病原菌はアジア原産と見られ、ヨーロッパ、アメリカ、ニュージーランドなどのニレ類に枯死を伴う激害をもたらしており、五葉マツ類発疹さび病、クリ胴枯病と並び樹木の世界三大病害の一つである。 英名のDutch elm disease(オランダのニレの病気)は1921年オランダ人植物病理学者シュワルツ(Bea Schwarz)、バイスマン(Christine Buisman)、ヴェシュタディーク(Johanra westerdijk)ら3人によって報告されたことに因む〔Schwarz, M. B.(1922) Das Zweigserbender Ulmen, Trauerweiden und Pfirsichbaume. Mededelingen Phytopathologisch Laboratorium. Willie Commelin Scholten5, 1-73. 〕〔Buisman, C. (1928). De oorzaak van de iepenziekte. Tijdschr Ned Heidemaatsch40, 338-345.〕。英名Dutch elm(オランダのニレ)と呼ばれる種(''Ulumus glabra''と''U. minor''の雑種)があるが、その種だけに特異的に発生する病気というわけではない〔Dutch elm disease in Britain UK Forest Commision〕〔Dutch Elm Disease. Plant Science Macmillan Science Library.〕。ちなみに日本でも英名の直訳でオランダニレ病と呼ばれることがある。 == 症状== 病原菌の侵入した時期と場所にもよるが、典型的な症状は晩春から夏にかけて樹冠上部にある葉の萎れと変色である。葉は初め黄色くやがて茶色へと変わり、時期外れの紅葉をしているようにも見える。このような場合病変部は次第に下方向へ拡大し他の枝も枯れ始める。ニレは落葉樹であり、冬は葉を落とし春に芽吹く。前年以前に感染していた場合は春先には葉や枝の異常が明らかになり、芽吹いてこないなどの症状が見られることもある。やがて他の枝も枯れ上がり葉は少なくなっていく。葉が少なくなると光合成による栄養分の全身への転流が減り、樹木は衰弱する。最終的に根が死に樹木は枯死する。いくつかの種では根が全滅せずに生き残ると言い、特に''U. minor''では良く見られるという〔。 また、弱っている枝や幹の樹皮を剥ぐとして観察すると、師部が侵され変色し多数の茶色い筋模様が見える〔How to identity and Manage Dutch Elm Disease. USDA Forest Service〕。 樹冠上部から侵入した場合の他に感染木は健全木の根の接触部分から菌が侵入して感染を広げる場合があり、樹冠からの感染は発病から枯死まで数年かかることもあるが、根からの感染の場合病気の進展は急速に進むという。 File:Dutch elm disease.jpg|枯れ上がった枝 File:Dutch Elm Disease affecting a mature English Elm at Wst Point, NY June 2010.jpg|このような感じで始まる File:Iepziekte op goudiep (Ophiostoma ulmi on Ulmus hollandica 'Wredei' 11 May 2008.jpg|だんだん枯れる枝が増える File:Grafiosis.jpg|最終的にこうなる。枯死した''U. minor'' File:Ceratocystis ulmi 1 beentree.jpg|ポーランドの枯死木 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ニレ立枯病」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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