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ネイチャーライティング()は、伝統的に、自然環境をめぐるノンフィクション文学と定義される。ただし、nature writingという英語が本格的に使用され始めたのは、20世紀初めのアメリカにおいてだと考えられている。一般的に、20世紀以降はnature writingという用語が使用されるようになったが、19世紀以前はnatural historyという用語が使用されていた。 ネイチャーライティングを特徴付ける要素として、自然界についての事実や自然、科学的情報に依拠する一方、自然科学系の客観的な自然観察とは異なり、自然環境をめぐる個人的な思索や哲学的思考を含むということが挙げられる。 トーマス・ライアン著『この比類なき土地―アメリカン・ネイチャーライティング小史』(村上清敏・訳)によれば、ネイチャーライティングとは次の3つの局面を備えた文学ジャンルということができる。 # 博物誌に関する情報 (natural history information) # 自然に対する作者の感応 (personal reaction) # 自然についての哲学的な考察 (philosophical interpretation) また、ライアンが示すネイチャーライティングのサブ・カテゴリーには、野外ガイドおよび専門的な論文、博物誌のエッセイ、自然逍遥(散策、散歩のこと)、孤独と僻地での生活をテーマとしたエッセイ、旅行と冒険についてのエッセイ、農場の生活に関するエッセイ、そして自然における人間の役割についての文章がある。 ライアンが挙げているそれぞれの代表的な作者と作品、およびその分類は、下記の表を参照のこと。 現代ネイチャーライティングの起源は、18世紀後半から19世紀にかけて欧米で流行した博物学(ナチュラル・ヒストリー)の作品にあるようだ。博物学(ナチュラル・ヒストリー)の代表的な作家は、イギリスでは『セルボーンの博物誌』(1789年初版)の著者ギルバート・ホワイトや『種の起源』(1859年初版)のチャールズ・ダーウィン、そしてアメリカではウィリアム・バートラム、ジョン・ジェイムス・オーデュボンが挙げられるだろう。 ネイチャーライティングが1つのジャンルとして確立されたのは、哲学や文学におけるロマン主義運動が、自然と人間との関係に対する考え方や個人の自然体験への見方に影響を与えた時期を経た18世紀の終わりとされる。このように成立年代が近接していることもあって、ネイチャーライティングとロマン主義とは、しばしば混同されがちである。2つが共有している価値観は、 # 世界と人間が同質であるとみなす視点、 # 合理主義、物質主義への懐疑的視点、ないしは否定、 # 自然を生命の源と考える姿勢、 # 素朴で、原初的なものへの傾倒などが挙げられる(ライアン, 2000)。 一方、異なる部分は、ネイチャーライティングが自然に対する科学的理論や観察、分析に依存する面が大きいのに対し、ロマン主義は自然を神話化することに重きをおく傾向にあるという点である。 ヘンリー・デイヴィッド・ソローはしばしばアメリカン・ネイチャーライティングの父と呼ばれる。その他代表的ネイチャーライターとして、ラルフ・ウォルドー・エマソン、ジョン・ミューア、アルド・レオポルド、レイチェル・カーソン、エドワード・アビー(アビー自身はそれを拒否しているが)などが挙げられる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ネイチャーライティング」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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