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『ノルウェー民話集』〔山室静「少年少女のための北欧文学の歩み」(『少年少女世界の名作文学 第39巻 北欧編2』、1967年、小学館、ASIN B000JBPPIW)488頁で確認した日本語題。〕〔『ノルウェーの民話』333頁(訳者あとがき)。〕(ノルウェーみんわしゅう。『ノールウェイの民話』〔『太陽の東 月の西』260頁(訳者あとがき)。〕、『ノルウェーの民衆の冒険物語』〔『太陽の東 月の西』268頁(三瓶恵子「三度出会う物語」)で確認した日本語題。〕の日本語題も。、)は、ペテル・クリスティン・アスビョルンセンとによる、ノルウェーの伝承と伝説を収集した本である。収集した2人にちなんで『アスビョルンセンとモー』(Asbjørnsen and Moe)としても知られている。 == アスビョルンセンとモー == 動物学者であるアスビョルンセンと、聖職者であるモーは、15歳の頃に学校で出会って以来の友人であった〔。アスビョルンセンは学生時代から民話をいくつか記録しており、学校を卒業した後、3年間の家庭教師の仕事の合間にも収集を続けていた。1833年に聖職者のがノルウェーの民話をまとめて出版し、次の民話集の出版の準備に入った頃、ファイエの元に国立古文書館の助手から未収録の民話が送られたが、その中に、助手の友人であったアスビョルンセンが収集した民話が含まれていた。間もなくアスビョルンセンはファイエから「民話特命大使に任命する」という趣旨の言葉で締めくくられた礼状を受け取った。アスビョルンセンは他に収集していた伝説などをファイエに見せたが、自身でも民話集を刊行することを考え始めた〔『ノルウェーの民話』(パット・ショー「ノルウェーの民話と挿絵について」)9-10頁。〕。いっぽう、モーは卒業後に家庭教師となり、その傍ら民話の研究をしていた〔。二人は、グリム兄弟による『キンダー・ウント・ハウスメールフェン』を読んだことをきっかけに、共同しての民話集の刊行に本格的に乗り出した〔。 その著作物は、ノルウェーが新たに得た独立と、19世紀に国内に広まった国家主義のうねりと関連づけて見るべきである〔『ノルウェーの民話』(訳者あとがき)333-336頁。〕。14世紀の半ばのペストの流行によって人口の半分を失い、14世紀末にデンマークを中心としたスカンディナヴィア連合に加わったノルウェーは、1442年からデンマークの統治下となっていたが1814年にようやく独立した。その時代、ヨーロッパ各地では民族意識がわき起こり、特に北欧では、キリスト教を受け入れる以前の古い信仰が見直され、神話に基づく作品がさまざまに創作されていた。ノルウェーでも民族意識に基づいた自国の誇りを取り戻す様々な取り組みがなされていた。そこには言語の問題があったが、ノルウェーの本来の言語を取り戻すことは、デンマークと合併する前の偉大なるノルウェー民族の誇りの回復であった〔『ノルウェーの民話』(訳者あとがき)335-336頁。〕。 ノルウェー語の当時の正書法、すなわち書き言葉であるブークモールは、デンマーク語に非常に類似していた。しかし話し言葉はノルウェー語が使われていた。ノルウェーで民族意識が高まる中、デンマーク語の強制を離れて新たに再生されたノルウェー語として、各地の方言に基づいたニーノルシェクが成立していた。こうした背景の中、話し言葉によって語り継がれ、それらが今日あるよりさらに特有だった方言に基づいた情報源を持ったノルウェーの伝承を語り直すことには、書き言葉はあまり適していなかった〔。アスビョルンセンとモーは、ノルウェー語の口語に沿って物語を表現して文学として成立させ、デンマーク語とは異なった、独立的なノルウェー語の書き言葉を創出するのを促進することとなった〔。それはまた、アスビョルンセンとモーが、グリム兄弟の信条を適用することによって表現の問題を解決したことによる。すなわち、物語の原形を維持しつつ、方言の代わりに扱いやすい言語表現の様式を用いることとしたのである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ノルウェー民話集」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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