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ハトラ : ウィキペディア日本語版
ハトラ

ハトライラク共和国北部のニーナワー県モースルの南西約100km、サルサル・ワジ川のほとりの砂漠地帯に残る歴史的な都市遺跡1985年世界遺産に登録された。別名を「神の家」という。パルティア帝国の重要な要塞都市で、ローマ帝国の度重なる攻撃に曝された。2015年3月にイスラム過激派ISILに破壊された〔fighters destroy another world heritage Iraqi site Al Jazeera, 07 Mar 2015〕。2015年の第39回世界遺産委員会はイラク文化財を守るための国際的な協力を呼びかけつつ、ハトラを危機にさらされている世界遺産(危機遺産)リストに加えた〔The World Heritage site of Hatra in Iraq has been inscribed on the List of World Heritage in Danger due to damage inflicted to the property by armed groups. (2015年7月2日閲覧)〕。
== 歴史 ==
紀元前3世紀ごろ、セレウコス朝の支配下にあったカスピ海の東部平原で騎馬遊牧民族のパルティア人が独立し、アルサケス朝パルティアという王国を築いた。砂漠の隊商都市を次々と攻略し、領土を拡張していったパルティア人は、紀元前2世紀ごろにはメソポタミアに進出し、チグリス川のほとりにあったセレウコス朝の都市セレウキアの対岸にクテシフォンという都市を建設した。これによりセレウコス朝の領土の大部分がパルティア王国の実質的な支配下に入り、飛躍的な拡大を遂げたミトラダテス1世(在位前171‐前138)は自ら「大王(バシレオス・メガス)」と称した。
パルティア人はいくつもの隊商都市を掌握し、鉄製の鋏によって柔らかい羊毛とそれによる上質の毛織物の生産技術を得て、裕福になっていき、家族と財産と家畜を防衛するための武装化が進んだ。もともと騎馬遊牧民族である彼らは騎馬の扱いに長け、弓を得意とした。長距離戦闘には弓を使う軽装騎射騎兵を、近接戦闘には長槍と盾を使う重装突撃騎兵を用いる戦法で毛織物の販路を確保して、交易によってますます繁栄し、ミトラダテス2世(在位前123‐前88)の治世に最盛期を迎える。
ミトラダテス2世の死後、王位継承をめぐって国内で紛争が起きると、豊かなメソポタミアの地を狙うローマ帝国の侵攻が始まる。アナトリアシリアエジプトを次々と屈服させて膨張を続けたローマ帝国は、パルティア王国にとって最大の脅威であった。ローマとパルティアの戦いは100年以上も続いた後、和議が結ばれ、小康状態を保つ。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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