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ハワーリジュ派( )は、イスラーム教の初期に多数派(のちのスンナ派とシーア派)から政治的理由で分離することで成立した派。ハワーリジュは「退去した者」を意味し、単数形のハーリジー ( ) という呼称でも呼ばれる。 正統カリフ時代の末期にカリフのアリーが、反対派のカリフ位請求者であるムアーウィヤと妥協を結ぼうとしたことに反対したアリー支持派の一部が、アリーの陣営から退去して離脱したことで成立した。 教義上の先鋭性から穏健な多数派であるスンナ派とは政治的に厳しく対立することになり、しばしば異端とみなされた。現在、ハワーリジュ派の流れを汲む宗派で現存するのは、スンナ派と教義的にも近く、他派との共存を許容する穏健派であるイバード派のみであり、イバード派自身はハワーリジュ派と呼ばれることを好まないほどである。 ハワーリジュ派は、現在のスンナ派世界においてはイスラーム主義系の武装組織にみられるような政治的に過激な主張を行う人々に対するレッテルのように使われることがあり、この派の名前には非イスラーム教世界で用いられるワッハーブ派、イスラーム原理主義といった言葉と近しい意味合いが付与されている。 == 教義 == ハワーリジュ派の政治的・神学的な立場の特徴は、聖典『クルアーン』(コーラン)の規定を固く守り、イスラム共同体(ウンマ)の純粋性を保つことを重視する点にあり、共同体の指導者であるカリフの資格を厳しくみる点と、宗教上の罪を犯したムスリム(イスラム教徒)は不信仰者(カーフィル)としてムスリムの資格を持たないとする先鋭性をもつ。 ハワーリジュ派によれば、カリフは宗教的に敬虔で倫理的に高潔な、共同体の模範となる人物でなければならない。もし、カリフがアリーがムアーウィヤと妥協したように正しい道から外れるようなことがあれば、そのカリフは正統なカリフたる資格を失う。また、「たとえ奴隷や黒人であっても全てのイスラーム教徒がカリフたりうる」と主張しており、宗教的にすばらしく指導者に相応しい人物であれば、カリフはスンナ派が言うようにクライシュ族の一員である必要も、シーア派が言うようにアリーの子孫である必要もなく、血統的な出自は問われない。 信仰や行動がイスラーム教の理想から逸脱したムスリムは、共同体から彼は不信仰者(カーフィル)であるという宣告(タクフィール)を受け、ムスリムの同胞として扱わない。ハワーリジュ派は不信仰者に対するジハードを積極的に推奨しており、ジハードをムスリムの義務である五柱に含める場合もある。中でもハワーリジュ派の中でも先鋭的な宗派であったアズラク派(現在は消滅)は、ムスリムから出た不信仰者およびその家族は殺さねばならぬとし、スンナ派に対する激しい攻撃を行った。 なお、このようなイスラームのあり方に対するハワーリジュ派の厳格な思想は、近代のイスラーム主義の流れにみられるクルアーン論、ムスリム論との共通性が指摘されることがある。特にイスラーム主義の過激派に位置付けられるジハード団やイスラーム集団などの武装集団は、ハワーリジュ派のタクフィールによく似た思想をもってムスリムに対する「ジハード」を遂行しており、彼らに対するハワーリジュ派という言い方も単なるレッテルに留まらない面もある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ハワーリジュ派」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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